第一章 4 〇ティア
しばらく歩いて、風月は叫んだ。
「あ、あー、もしかして、これってかなりきつい?」
坂を見上げるとまだ中腹にも至っていないことが分かる。山が高すぎて、遠近感が狂っている。簡単に頂上まで辿り胃つけると思ったら大間違いだ。
ふと横合いに市場を見つけ、道も坂ではなく段差がついて平坦になっている。
「ちょっと見ていくか」
何の気なしに歩きだし、段差を上ると景色は全く違った。入り口は狭く見えたが、徐々に広がっていき、店や露店が立ち並んでいる。先ほどのパレードでもできそうなレベルの大通りとは違って座って食べるような店やカフェ、金品や装飾品などを取り扱う店が多くなっていた。
「おお、うまそうな匂いだ!」
豚肉のような脂身も、牛肉のような赤みもない不思議な質感の肉が火にかけられ、落ちる肉汁とタレが焦げる。にんにくとも違う香辛料が鼻をついた。朝食以外食べていない風月は口に溢れてくる唾液を飲み込む。こうした異国の食べ物を楽しむのも旅のだいご味だ。
威勢のいい声で売買される肉。それを見て、今度は忌々しい気持ちになってしまう。
ああ、異世界に来たんだ、グルメ旅はしてやるぞ。絶対に。いつか!
心に誓うが先立つ金が今はない。
「まず、この無一文状態を何とかしないとな・・・・・・」
財布には一万三〇〇〇円と五百円玉二枚とコンビニで買い物した時の釣銭が少し。通帳にはバイトで稼いだお金がそこそこ入っていて、カードも合わせれば三日は露店の飯で豪遊できそうだった。ただし、通貨が使えればの話だ。
「やっぱ異世界に来て金で迷うのはテンプレかぁ」
屋台に目を移す。
「四五エルだぞ、坊主」
「高いよ、おっちゃん。負けて!」
「ったく、しかたねぇな。四〇でどうだ?」
どこからどう見ても円などという通貨は使われていない。輝きのあまりない錆びた一〇円玉を彷彿とさせる硬貨が流通していた。そして、ここは日本とは違い商品の質や大きさは見るからにバラバラで、それに合わせて値段を決められている。しかも、完全交渉制。
「うぅん、やっぱスルのが簡単なんだが……」
思わずそう言ってみるが、そこかしこを歩き回っている鎧の男たちが目に留まってしまう。
鋼鉄製のジャラジャラとした何十キロもありそうな重さの鎧を着たまま、街を歩く人間よりも早く軽快に足を動かしている。しかも犯罪が行われていないかもしっかりと確認しながらだ。その光景は一般化されているようで誰もが受け入れているように見えた。
「俺の見た目はこの世界じゃ目立つからなぁ、やめておこう。何が悲しくて異世界で男に追いかけられる
なんて経験をしないといけないんだ。つうか、テンプレのようにナイスバディのお姉さんとの遭遇イベントとかあったり――んあ?
背後の腰あたりにボスンと衝撃が伝わる。振り返えってみるが、誰もいない。
「あ、あう・・・・・・」
今度は足もとから声が聞こえた。そこにはフワフワとした銀髪が印象的な小さな女の子がいた。腰のあたりでぶつかった後、跳ね返ってしりもちをついたことは状況からわかる。近くには抱きかかえていたであろうクマの人形が落ちていた。
銀髪は長く腰のあたりまであった。その美貌は十年先を見通すことも容易で、誰もが目を奪われる女性になるだろう。服はそのつくりと生地の質から高貴で豪奢なものだったことがうかがえる。しかし張り裂けたり、煤か何かで汚れていたりと印象はよくない。もしかしたら見た目に似つかず、お転婆な性格なのかもしれない。だが、それにしては年齢に似つかわしくないタイプの甘ったるい香水の匂いが妙に鼻につく。
呆気にとられる俺の口から時間を空けて言葉が漏れた。
「あ、遭遇イベントあった」
それと同時に胸にしていた少しの期待という文字が音を立てて崩れ去っていく音を聞いた。
「でも、ナイスバディのお姉さんどころか美少女でもない。正真正銘完全無欠の美幼女だ。 この遭遇はまずいな・・・・・・この子はイベントでついて行ったら鎧を着たガチムチの衛兵の手でお縄につくこと間違いなしなタイプの幼女だ。これだけちっこいと年齢のごまかしようがないだろ」
そこまで言って、足もとでしりもちをついている幼女が泣き出しそうなことに気付く。だんだんと大きな瞳に溜めた涙の粒を大きくしていた。
あ、あああ。泣くな泣くな。こっちが非難される。
「あ、すまんな。こっちの不注意だ」
軽く頭を撫でて、近くに落ちていたクマの人形を拾い、土を払ってから幼女に渡す。右手のビニール袋からイチゴ牛乳を取り出して付属のストローを突き刺すとそれも幼女に渡した。
その動作の一つ一つを衛兵や住民にじろじろと見られていた。
監視されているみたいでいい気はしないが、続けてきた歩きスマホで慣れつつある白い目で鍛えられた胆力によって耐えることは容易だ。そして目線を受け切った。
「お詫びと言っちゃあショボイがこいつで我慢してくれ」
幼女は恐る恐るといった感じでストローに口を付ける。しかし、すぐに口を離して今度は世界の終わりを目前にしたような顔で同じ目線の俺を見た。
「ええい、そんな顔でこっちを見るな。吸え、吸うんだよ。それは飲み物だ」
幼女が再びストローに口を付けて息を吸うと管の中をピンク色の液体が上って行った。ぱああ、顔が明るくなりうれしそうな顔をする。
「そう、その顔、その反応だよ、お兄さんが見たかったのは」
もう、嬉しくて嬉しくて仕方がないようなその表情に俺は安心した。正直、泣かれるのが一番困る。ほっと一息ついてから立ち上がった。
「じゃあ、俺はいくから・・・・・・」
そう言って踵を返す。しかし、その足にギュッと抱きつかれた。
誰に抱きつかれたのかなど言うまでもなく分かるが、その嫌気を顔に出さずに疲れたように笑って見せる。
「つれてって。ひがしへ」
「ったく・・・・・・、懐かれたんかねぇ」
困り顔で、しかし笑みを絶やさずに無言で周りに助けを求めてみる。しかし、街ゆく人は目が合っても暖かい視線を投げかけてくるだけで、声を掛けることもしてはくれない。さっきまでの白い目はどうした。
「あら優しい、でもそれはそれで辛いものがあるのよ。というかテメェ等さっきまで監視と言わんばかりに見てただろうが。こんな時だけそんな孫を見守るお婆ちゃんのような目で見るんじゃない!」
未だに微笑ましい視線を送ってくる街の人たちに、俺の決意はあっさりと崩れ落ち打って変わって外国の人にやさしくしないことを心に決めた。
「幼女が知らない異国の人間について行ってるのに誰も止めねぇのかよ・・・・・・」
最後に衛兵と目が合ったが、厄介ごとはごめんだからさっさとどこかに行きなさい、どういうようにしっしっと手を振られた。
「あれぇ? まさか保護者に仕立て上げられた? てか、それでいいのか衛兵!」
苦笑いもできない状況。情けを掛けたのが運のつき。
「情けは人のためならずとか言ったの出てこい、巡り巡って帰ってくる前に一歩間違えれば社会的地位が失墜するんですけど!?」
思わず頭を抱える。
幼女を引き離そうにも足にがっしりとしがみついていて離れそうにない。まいったように俺は首をコテンと倒した。
その時だった。
「見つけたぞ、このクソ餓鬼!」
たった今走りこんできた大柄で白ひげを蓄えた男の怒鳴り声に肩が跳ねた。牙が上唇まで突き出していて、顔も毛深く茶色っぽい。服も汚れと汗で清潔そうには見えなかった。
「うげ、まさかさっきの青い奴の仲間!? あの青っ鼻め、あれだけで懲りてなかったのか。今度見つけたら刺身にしてやるっ」
「何言ってんだ、そっちの餓鬼に用があるんだ、部外者は引っ込んでろ」
スリと詐欺まがいの方法で追っ払った奴の仲間かと身構えるが、それは杞憂だった。
男が指さしているのは風月の足にしがみ付いている幼女だ。
「あ、あー。明らかに厄介ごと持ってこられたな、こりゃ」
俺は口にするものの嫌そうな顔をせずに薄っすらと笑みを浮かべている。いや、浮かべてしまっていた。
「おい兄ちゃん、そこの子供を渡してもらうぜ」
「いや、さすがに目の前で誘拐は見ていて気持ちよくないぜおっさん。どういう理由か聞かせてくれよ。俺もアンタも周りの人たちも納得できるように」
ただでさえ目立っていた風月の周囲だ。駆け込んできた男によって犯罪などを目の前で見過ごす雰囲気ではなくなっている。
この空気の中で誘拐はさすがにないっしょ。
その場をしのごうとしていた俺の予想はあっさりと裏切られる。
「そうだな、いきなり怒鳴り散らして悪かった」
「おおっと、コイツは・・・・・・」
(大変そうだ。ここであっさり引く奴はしっかりとした理由をもってんだよなぁ。最悪、見捨てるしかない状況になっちまう。後味悪いからそういうのは避けたいなあ)
「そいつの首を見てくれ」
幼女の長く柔らかい銀髪が風に揺られて首元が見えた。細く力を込めて握れば簡単に息が止まり、骨が折れてしまいそうなほどか弱く見える首を赤い首輪が戒めていた。
「そして、これだ」
男は一本の南京錠よりも簡単な作りのカギを取り出す。
「何を意味するか、分かるだろう?」
「おお~・・・・・・、おん?」
頷いたり、感嘆の声が上がった。周りの住人には分かったようだが、俺にはさっぱりだった。困ったような顔で周りの人間に目配せするも、当然と言ったような反応しかない。
この世界は俺に対して親切心がかけらもないんですが。
外国では自分から声を掛けないと対処してくれないという話を聞いたがそれが事実だったことを日本で暮らし始めてから初めて理解した。
「ああ、すまん。俺この国に来たばっかでさ。そういう制度とかよく知らないんだよ。ほら、あんまり見ない格好と髪だろ?」
「ああ、そういわれればそうだな。あんまりどころか見たことねぇよ」
「うんそうそう、そうなんだよ。つまり? そのカギと首輪ってどういうことなんだ?」
近くにいた衛兵がジャラジャラと鎧を鳴らしながら出てきた。
「首輪は奴隷を。それを解放できるカギを持っているってことは奴隷商人てことさ」
その言葉は俺に決して少なくない衝撃を与えた。人間が奴隷ということ以上に、年端もいかない、それこそ自分よりも一〇は幼い女の子が奴隷という立場にあることがとんでもなくショックだった。
「えっと、この子の主人ってことか?」
今度は衛兵が首を傾げた。
「何言っているんだ。奴隷の主人はカギを取られて首輪を取られたら奴隷と証明できなくなるからカギを処分してしまうんだよ。だからカギを持っているのは奴隷商人なんだ」
俺は面倒な制度に少なからず顔をひきつらせた。
理解はした、奴隷がいて回っている世界だということを。だが、どうも受け入れることに躊躇いを感じてしまう。
「……、こんな幼い子が、奴隷?」
「ほかの国から来たならそう思うかもな。世知辛い世の中さ。だが、この国ではそういうルールになっている、従ってくれ」
俺の視線が思わず脇道にそれる。そして、怯えた目をしてギュッと抱きつく幼女を一瞥した。それは逃げる経路の確認のためだった。そして、誘拐という二文字が脳裏に過る。
「なあ。あんまりいらん勇気を振り絞らない方がいい。仕事を増やさないでくれ」
見透かしたような衛兵の声にゾッと嫌な予感を覚えた。
腰にある剣に手を掛けた衛兵の姿を見て今度こそ、一瞬だけ俺の表情から笑みが消えた。
「あ、ああ。そうだな。なんか、おかしかったわ」
じんわりと嫌な汗が出てきて、それを軽く拭う。
「もっとスマートな方法があるのに、安易に犯罪に逃げるのは恥だ」
「は?」
今度は衛兵の顔から余裕が消えた。
俺はバッグから財布を取り出す。
「奴隷の相場っていくらだ?」
「五万ってとこか」
奴隷商の男は買うつもりがあると感じたら案外素直に話に応じてくれた。
「えっと、五万エル?」
「ああ、だが、そこの子供はかなり質のいい奴隷だ。既に買い手がついている。そいつよりも高値を提示すれば売ってやる。八万だ。もちろんキャッシュで」
「いや、悪い。俺は無一文だぜ?」
「おとといきやがれ!」
奴隷商はいきなり態度を崩して、ずんずんと歩いてくる。そのまま俺にわざとらしく肩を当てると、幼女の腕をつかみ強引に引きはがした。
「い、ぃやっ。たすけっ」
幼女が風月に手を伸ばすが、その手をついに取ることはなかった。だが、幼女を連れて行こうとする奴隷商の動きは止まった。
「誰が、買わないなんて言ったんだ?」
その言葉を聞いて動きの止まった奴隷商の男の手を振り払って幼女は俺にしがみ付く。
「銭なしの貧乏人がなにを買うだってえ!?」
キン、奴隷商の眼前で輝く何かが跳ねた。それが俺の手の中へ納まる。そのまま何かを握りこみ、ひらりと手を開くとそこには何もない。そのまま流れるような動きで金品の売買をしている店のフードを被った男に声を掛ける。
「おい、そこの旦那。金品の鑑定はできるかい?」
戸惑って周りを見て、ようやく呼ばれたのが自分であることに気付き、フードを下ろした。鋭角的なトカゲの顔をした男だ。
「ああ、できるが・・・・・・」
ピッ、とトカゲ男に中指と人差し指を突きだした手で指す。その間には黄金色に輝くコインが挟まれていた。
「コイツはいくらくらいだ?」
恐る恐る手に取ったそれを見て、トカゲ男は言葉を失った。その様を見て、奴隷商が口をはさむ。
「ものと奴隷の交換はしてねぇぞ」
奴隷商の言葉を無視して俺は続ける。
「純金にしては軽いだろう? ニッケル黄銅、銅を主成分にされた五百円ニッケル黄銅貨だ。俺としては白銅、銅を主成分とした五百円白銅貨の方が好きなんだけど発行終了してるし珍しいしで持ってないんだよね」
俺にはただの五百円玉の価値がどのくらいのものかはわからない。だが、この世界では絶対に高値がつくという確信があった。
「さらりと店の中を外から見たときに、あまりにも彫金技術がおざなりだった。ましてや、金銀銅、鉄程
度しか製錬出来ていないようだしな。アルミを目にしていないあたりナポレオン時代よりも製錬技術はおざなりか。それどころか、混じり物も多いし、精錬の方もままならないとみた、色もくすんでいる」
しかも、それだけではない。
この世界の貨幣はすべて鋳造技術だが、ムラがひどすぎて、その気になれば個人で創り出すことも容易だ。
「この世界からざっと五〇〇年未来の鋳造技術で作られた名品ってところか。光のかざす位置によっては縦線模様や『500円』の文字が浮き出るようになっている。まして、そんな小さな代物に竹やら桐やら掘り込むことがこの世界でできるわけがない」
その説明は周りの人間にはほとんど分からないだろう。しかし、金品の売買を生業にしている店主にはどういうことを言っているのか理解していた。
「……これ一枚で三〇だ」
トカゲ顔なのに、どこか青ざめた感じの顔でそう言った。
「あ、あー」
想像以上に圧倒的に足りていない。露店で売っている肉など日本で買うならば四五〇円ほどだろうが、この国の物価では四〇エル。日本の物価の約十分の一。
そんな悲しそうな目で見ないでくれ幼女よ。今一番気まずいのは俺なんだ。
「お、おいおい。そんなわけないだろ。この国じゃ誰に頼んでもこんなものは作れっこないんだぜ?」
俺は一瞬、店主が奴隷商を恐れて偽の金額を提示したのかと邪推した。
「……けっ、変なこと言うんじゃねぇよ。ただのガラクタじゃねぇか。桁が足りてねぇぜ」
「いや、エルズだ」
そこで、風月が首を傾げた。
周りの者たちは全員がぎょっと目を向いて驚いていた。
「エルズ? エルじゃなくて?」
隣の衛兵が声を掛ける。
「今月のレートだと十万エルで一エルズ。文字通りのけた違い! アンタ、すごいもん持っているな!? 出す人間はこの倍なら出すかもしれん」
「えっと、うん。うん?」
金額のレートがあまりにもぶっ飛んでいて風月も目を丸くしていた。せいぜい五万行けばいい方だと思っていたのだ。どころか金額がでかすぎてさっぱりだった。
「売りさばき方でどうとでもなると口八丁手八丁でだまし値段を吊りあげようと画策していたのがすべて無駄に・・・・・・。まあ、手間が省けたと思えばっ」
「おまえ・・・・・・、そんなことを思っていたのか」
この後の計画を口から滑らせると、呆れ声で対応する衛兵。実際、それをしても犯罪にはならない。事実、この国では値段交渉が売る側と買う側で行うことを認められていることは確認済みだ。税の取り立てもあるだろうが、基本、消費税などはないはずだ。
自然と勝ち誇った顔で奴隷商を見る。
「でぇ? 銭なしが、なんだって?」
機嫌が悪そうに舌打ちをしつつ目をそらす奴隷商。
「まあ、いいか。店主、そいつを買い取ってくれ」
「いやいやいや、無理だ」
トカゲ顔の店主は慌てて首を横に振った。
「こんな大金今用意できないよ。うちの置いてあるのは高くて精々数万エル程度の金品。こんなものを買いとれるほどの金は手元にないな」
「嘘だろ? ここで問題発生かよ。まさか高すぎて買い取れないとかそんな言葉を聞くと思わなかったよ」
無理に笑みを浮かべてみるが、少々引きつっていた。そのためか、何かしらの不安を感じ取った足もとの幼女は泣きそうな顔で見上げ、泣き出しそうな声で俺に言った。
「う、うぅ。私、売られるの?」
思わず手を額に当てる。
「そんなせがむような顔で、こっちを見上げないでくれ。お前が売られる様なんて俺も好き好んで見たくはないんだ」
一度、買い取れると期待が膨らんだだけにその落差は大きかった。
「だから、そんな声出すなよ……」
「なあ、うちで買い取ろうか?」
勢いに乗れず弱った俺に声をかけたのは他でもない奴隷商の男だった。
「しっかりと鑑定の証言があるなら文句ねぇ。うちの店までくればその値段で買い取ってやれる。物と奴隷の交換はしていねぇが買い取ってからなら構わねぇ」
「お、おお本当か!? できる人だねお兄さん! よし、なら買い取ってくれたらその場でこの子を先ほどの言い値で買い取ろう。このコインは転売しても構わんから」
「煽てるんじゃねぇよ」
奴隷商の獣男は手を出した。
「交渉成立だ」
俺もその手を取る。
周りからは感嘆の声と共にいくつかの拍手が上がった。