死んだ元アラサー、異世界で伯爵令嬢として転生する
「……え?」
初夏の頃だった。
雨がはらはらと静かに降る日だった。悲劇的な恋愛には、おあつらえの日だったとも言えた。
喫茶店の中は静かだった。クラシックの音楽は流れているというのに、ろくに耳に入ってこなかった。
瑠華の声はカラカラに乾いていた。
信じられなかった。
けれど目の前に座る、6年付き合った恋人はもう一度、はっきりと言った。
「別れよう。瑠華」
座っているのに合わせた足が震えそうになった。どんな顔をしていいか分からない。
瑠華は懸命に、胸の底から込み上がってくる悲しみを抑えながら、言った。
「……私のこと、嫌いになった?」
恋人はすっかり冷めたコーヒーを口にして言う。
「そうだね。もう、君といることが嫌になった。他にも理由があるけど」
きっぱりと、迷い無く告げられた。瑠華はその言葉が信じられなかった。けれどこちらを見る恋人の目は、嫌悪の眼差しだった。
「他の理由……それって、何か私が、した……?」
別れ話を切り出された上に嫌いと言われたというのに、理由を聞くなんて自分でも惨めったらしいと瑠華は思った。もう修復不可能なところまできているのに、まだどこか期待して、無様に縋っている自分が情けなかった。
いつも温和なまなざしで瑠華を見てきた恋人──田島優人は、冷え切った声色で瑠華に向けて言い放った。
「いや別に。ただ君に飽きたのと、他に好きな人ができただけ。だから君はもう、いらない」
いらない、と。
そう追った優人の目は突き放すような、そんな温度のない色をしていた。
それでも瑠華はまだ信じたくて、震えだしそうな声で言葉を紡ぎ、引き留めようとする。
「待って、よ。結婚しようって、そう約束したよね……?」
「約束は確かにした。でも、もう僕が好きな人は瑠華じゃない。瑠華との生活も何もかも、もううんざりしたんだ。今だってこうして会うのが苦痛だ。それくらい分かってくれよ」
その言葉で十分、瑠華の心が割れるのが分かった。
同時に、脳裏にひとつ、過去の記憶が蘇った。
本当は──こうなることも、ほんの少しだけ予想していた。不安に思っていた。それは一度だけ、優人が綺麗な女性と一緒にいるのを見たことがあったからだった。自分じゃない他の女性と楽しそうに歩いているのを見てしまった。その時の優人はとても楽しそうで、その眼差しは自分に向けるものとは違っていた。変わり始めた、と言った方が正しいのかもしれない。
それでも瑠華は信じた。
たった一度きり見ただけ。ただの友だちだと自分に言い聞かせた。愛する人と共に生きることができるのは自分だと、ある意味安心しようとしていた。だって結婚しようって優人は言ってくれた。結婚しようと瑠華もいった。お互い笑っていた。
それなのに。
「ねえ。私は、本当にもういらないの?」
瑠華は精一杯、笑った。泣いたってもう無駄だ。それでも瑠華はやっぱり優人が好きだったから、笑うしかなかった。笑っていればこの胸の痛み誤魔化せると思った。
けれど優人の反応は希薄だった。
「悪いけど、そうなんだよね。必要ないし見たくも無い。それじゃ彼女との約束があるから行かなくちゃ。早く君から離れたいしね」
それだけ言うと優人は席を立った。一方的だった。待って、という瑠華の言葉は無視され、先に自分の会計だけ済ませると優人は何事もなかったかのように去って行った。その足取りは、まるでゴミを処分したような軽快さがあった。
カラン、と喫茶店のカウベルが鳴った。喫茶店の扉は静かに閉じた。隔たれた扉が、瑠華にとっての全ての終わりを告げたようだった。
本当に静かな雨の日だった。
頼んだアイスティーの氷が崩れて水に落ちた。
瑠華は暫く、その場にいた。
ここは二人のお気に入りの喫茶店だった。沢山笑って、時間を共にした。
けれど今は、二人が別れた喫茶店になってしまった。捨てられたのだな、と思った。瑠華がどんなに縋っても、優人は冷ややかな目で突き返すのだろうと、簡単に想像できた。
ぐっと瑠華は拳を握りしめた。泣くまいと思った。泣いたらもっと惨めになる。嫌だ。
それなのに、一滴だけ。
ぽたりと透明な雫が、白い瑠華の手の甲に落ちていった。そうしたら堰を切ったように次々と涙が溢れて、瑠華は他の客に気付かれないように下を向いた。
好きだった。
結婚しようとも言っていた。
幸せだった。
描いた未来は希望に満ちていた。
けれど全部それが今、壊れてしまった。
瑠華は立ち上がって会計を済ませた。
その後のことは覚えていない。
ただ自分は深く愛した人に捨てられたのだということだけは分かった。
亡き父と母の位牌に向かって、結婚するよ、と報告した自分が無様だった。
それが小宮瑠華、享年31歳の最初で最後の恋だった。もう誰も愛せなかった。
その数ヶ月後、瑠華は心臓麻痺で死んだ。
寒い冬のなか、ひとりぼっちで。
そして、
「──ルカ様、そろそろ起きないと朝食の時間に間に合いませんよ?」
ぼんやりとした意識から浮上してルカ・フォン・ランケは自室のベッドで目覚めた。
爵位は伯爵の、謂わば伯爵令嬢だ。前世の世界──小宮瑠華の世界──では全く違う世界に生まれ変わってもう18年になる。くわとあくびをして、侍女のアメリアが開けてくれた窓から差し込む光に目を細める。見えるのは活気づいた近隣の村と、その先に広がる草原と、輝く海。
ここは「アクアフィール王国」。平和が形になったら、こんな形をしているんだろうなと思うくらい、ルカの日常は安穏としていた。前世がアラサーの社畜だった為、こんなに穏やかな暮らしは贅沢すぎる。
ただ問題は16の時に学園を卒業してからもう2年が経つことだった。半ばニート状態だ。
そう、この2年。
この世界では卒園の16歳と共に結婚を考える歳になる。謂わば結婚適齢期だ。反してルカは現在18歳と、適齢期である16歳をとうに越してしまっている。伯爵令嬢として由々しき事態だ、と思っていてもルカはあまり結婚に興味がない。ここでも未婚のまま終わる可能性は大だ。
だって、前世であんなふうに結婚しようと言われた男に捨てられたのだ。結婚に関して逃げ腰になるのは仕方ない。
幸い今世の両親はルカの結婚を急くことなく、いずれ好きな殿方と出会えたらと思ってくれている。本当に、優しい両親だ。前世でも優しい両親に育てられたが、今世も愛情深い両親に育てられて本当に良かったと思う。
正直、このまま両親と穏やかに暮らしたい。
けれど結婚という形で両親を安心させて、恩返しがしたい。
その二律背反で悩むこの頃だ。
「ルカ様?」
「ああ、ごめん。ちょっと考えて事していて」
「何か悩み事ですか? わたしで良ければ聞きますよ?」
「いやいや大丈夫。心配してくれてありがとう」
そうですか、とほっとしたように微笑むのは侍女のアメリアだ。侍女と言ってもアメリアはルカより2つ上の20歳。二十歳だ。前世のアラサーの自分には眩しすぎる若さである。そう、アラサーだった自分から見ると、この国の殆どの令嬢は皆若くしてしっかりしていている。偉いなぁと微笑ましくさえ思う。
そう思うのは、そもそも前世がアラサーなので物心ついた頃からルカの心は元社畜のアラサーだからだった。小さい頃からルカは「大人びている」と周りの大人から言われたが、その度に「そりゃ前世でアラサーでしたからね」と心の中で答えていた。
身体は18歳、心はアラサーなのだ。
享年31歳のアラサーなのだ。
だから、
「ほら、ルカ様。早く着替えないといけませんわ」
「…………はぁ……」
「本当にルカ様は小さい頃からドレスがお嫌いですわね。お美しいのに勿体ない」
「はははは……ありがとう、アメリア。その気持ちはとても嬉しいよ」
立ち上がって渋々ルカはドレスに袖を通す。今日は海色をベースとしたものだ。レースや花の刺繍があしらわれた普段着用のドレスなのだが、これだってルカは両親に「できるだけ派手じゃなく、動きやすいもの」を必死になって頼み込んだのだ。アメリアに手伝ってもらってようやく着て、ルカは姿見の前に立つ。ひくり、と口元が歪む。侍女のアメリアはその微々たる変化に気付かず「今日もお美しいです!」と無邪気に喜んでいる。
鏡に映った自分をルカは見る。さらりとした長い漆黒の髪、陶磁器のような白い肌、深海のような青い双眸。ここまでは確かに綺麗だ。だが、かといって美人かと言えばそうでもない。
自己評価だと「並」だしその地位は揺るがないように思えた。だがルカを取り巻くランケ家の者は、ルカを溺愛しているので、こぞって美しい装飾品や衣装や化粧品を贈ってくれる。好意は嬉しい。でも明らかに自分のキャラに似合わないから、「ド派手」──フリルやレースがふんだんにあしらわれ、金銀細工できらめきを足し、髪だってふわふわに結い上げられて──とかは勘弁してほしい。
けれどその贈り物戦争も最近落ち着きをみせている。
と、いうよりルカの両親が我がランケ家の財を削って、近隣の村で流行った病気に対する特効薬を買い、無償で配ったからだ。子どもだけが罹るその「幼熱病」の特効薬は正直言って、平民が簡単に手に入れられるほど安くない。だがルカの両親は村の子どもたちの為に、ランケ家の財を削り、高価な特効薬を分け与えたのだ。それからランケ家の食事はほんの少しだけ質素になったが、ルカは両親の行いを誇りに持っていた。
だから思うのだ。
親孝行したい。
結婚すれば両親も喜ぶ。
でも結婚が怖い。
ここまでくると思考はループしっぱなしである。
「結婚かぁ……」
小さくルカは呟く。前世でアラサーだった頃の自分は結婚なんて結局できないまま心臓麻痺で死んだ。両親も先に亡くなっている天涯孤独の身だから、幸い悲しむ者も少なかっただろう。別れを切り出したあの人──元恋人は、ルカを捨ててまで好きだと言った人と結ばれたのだろうか。それを思い出すと、チクリとルカの心を棘が刺して痛みを与える。
けれど前世のことを引きずっても仕方がない。ルカは無理矢理思考を切り替えて、侍女のアメリアと共にダイニングルームへと降りていった。そこで違和感に気付く。
「あれ?」
誰もいない。食事は用意されているのに、父も母もいない。何事かと思っていると玄関から何やら声が聞こえてきた。野太いその声は父と母を前に向けられていた。決して好意的な形ではないものだった。ルカはすぐにアメリアにそこにいるよう告げると、玄関へと出た。
玄関へと出ると王国の紋章が記された黒い馬車と軍人らしき男が数名見られた。その中でも最も屈強そうな男が父と母を睨み付けるように立っていた。母マリアは父ヨセフの背に隠れる形で怯えているのが分かった。思わずルカは叫ぶ。
「父様! 母様!」
「ルカ……! お前は奧にいなさい。この方たちには私が説明するから……」
「説明? 弁明の間違いだろう?」
男はずいと父に近づくと一枚の羊皮紙を突きつけた。
「ヨセフ・フォン・ランケ。貴殿は殿下に無断で、また報告もなく辺境の村人たちに幼熱病の特効薬を分け与えたと聞いたぞ。しかも無償で、だ。まさかと思うがランケ卿。貴殿は本当に私有財からそのようなことをしたのか? よもや国に納めるべき爵位税から逃れる為に、私有している財産減らす為にわざと特効薬を配ったのではあるまいな?」
「そんな……! 税金のことなど考えておりません。ただ私は、苦しんでいる子どもを救いたい一心で」
「ふん、善人の皮を被っていられるのも今のうちだぞ。ランケ卿。貴殿には王宮に来て貰おう」
「やめてください、夫はそのような人ではありません! 誤解です!」
懸命に母は連れ去られそうになる父を引き留めようと懇願するが軍人らしき男は「連れていけ」と言う。
その無骨な手が父にかかる前に、ルカは声を上げた。
「待ちなさい」
「! ルカ!? お前は下がっていなさい」
「いいえ、お父様は何一つ悪いことなどしていませんもの。貴方、お名前は?」
ルカが父を詰問した無骨な軍人に問えば「ジャイロ・ヤード」と軍人の男は答えた。
それを聞いたルカは父と母を庇うようにして立って、ジャイロへと立ち向かった。
「ジャイロ様ですね。話は聞きました。つまりは、わたくしの父が殿下に無断で、また報告もなく村人に特効薬を配ったことに問題がある。加えて高価な特効薬を配ることで富裕層にのみかかる爵位税の納税から逃れようとした。この二点が問題であるという事でよろしいでしょうか?」
「あ、ああ……そうだ」
「そうですか。私はランケ家の第一子、ルカ・フォン・ランケと申します。ジャイロ様、先の問題に対しわたくしが両親に代わってお答えしましょう」
ルカの強い、射貫くような視線にジャイロはたじろぐ。
ルカは呆れたといったように溜息をついた後、毅然と目の前にいる男に向きあった。
「まず一つ。無断でという点に関しては急を要する事案だったからです。幼熱病の致死率はほぼ100%。その上病気の進行が極めて早く、もって3日前後。ですが特効薬はまだまだ高価なもので、そう容易に手に入るものではありません。それなのにいずれこの国を支える未来ある子どもたちの命を、貴方たちは看過しろと言うのでしょうか? 勿論、迅速な報告がなされていなかった事はこちらの落ち度でした。その点に関しては謝罪するほかありません」
「だが、その、そうだ。貴殿の爵位税逃れは──」
「事実無根の噂に過ぎませんわ。大方、我が家のことを快く思っていない子爵や男爵たちの噂でしょう」
やれやれと言ったようにルカは溜息を吐き出し、更に言葉を紡ぐ。
「そもそも爵位税というものは一定の私有財を持つ貴族のみが徴収され、またその所有する財によって徴収額が変動する税ですから、高価な特効薬を配ったと嘘の申告してランケ家が納税する額を減らすというのは愚策ではありますが、あり得ない考えではないでしょう。しかしジャイロ様。あなた方は本日、確固たる証拠を持って、父の納税逃れを摘発しにいらっしゃったのですか? ジャイロ様、そうでなければ、それは邪推というものです。王宮に仕える者として、きちんとした手続きを踏んでから我がランケ家を摘発すべきではないでしょうか? わたくしから見るに、今あなた方がしている事は正義とは到底言い難い行いです」
言葉の弾丸を容赦なく放ったルカは最後にジャイロに告げた。
「何よりこれは私事ですが、わたくしの両親は誇りを持った気高い人間です。そんなわたくしの愛する両親への侮辱とも取れる発言、許し難いものがあります。わたくしのこの発言に間違いがあるなら、父を連れて行くのではなくわたくしを連れていきなさい。どんな罰も受けましょう」
そこまで言うと不意に、艶めいた黒い馬車の扉が開いた。すっと、その扉から長い足が地に降りる。
ジャイロが慌てた様子で、殿下、と言うのが聞こえた。
殿下、とルカは口の中で繰り返す。
そして優雅に降り立った男にルカは目を見開く。
馬車から降りた青年は──とても、形容しがたいくらい、美しい男だった。
黒曜石のような艶めいた黒髪、すっとした鼻梁、酷薄そうな薄い唇だが形は良い、何より繊細な睫毛に縁取られた燃えるような赤い瞳がルカを見ていた。明らかに上質そうな黒い外套を纏った青年が歩くと、軍人たちは道を開けジャイロもまた退いた。
ルカはというと、勿論、その美貌に見とれた。だがそれも一瞬のことだった。
──なんでこの人は、こんなに寂しい目をしているのだろう。
それが不思議でならなかった。人を容易く退けるような圧倒的な威厳を持っているというのに、なぜ、この人はこんなに目を──と思っているとルカの両親たちが慌てて膝を突いて挨拶する。
ぽかんとするルカに慌てた様子でジャイロが声を張る。
「貴様……! 殿下を前にしているというのに、その態度は何だ!?」
「ジャイロ。いい」
すらりとした長い指の手で、美しい青年は噛み付かんばかりのジャイロを制すると、ルカをじっと見下ろした。
ルカはその瞳を見ながら、きれいだなあ、と思った。
思ったと同時に、どこかで見たことのある顔だと思った。
僅かな思考。
次いで、それこそ電光石火のように目の前の青年が何者か思い出した。
「あ…………ラゼル、殿下……?」
「そうだ」
目の前の青年──ラゼル・アクアフィール王子が無表情に頷いた。
ルカはさあっと血の気が引く思いがした。
やばい。
やっちまった。
まずい。目の前の人、王族じゃん!
これがルカの心境だった。舞踏会に殆ど参加しなかったルカはここで過去の自分を殴りたくなった。
ラゼル王子の顔を知らない訳では無かった。一度渋々出た舞踏会で、ちらっと見たことはあった。
だが、その本人が自分の前にいるなんて。
内心焦りまくりのルカは、無言で見下ろしてくるラゼルに──完全に混乱していだ。
混乱していたのだ。未だにラゼルの赤い瞳はルカを見ている。
そうしたらその赤い瞳に魅せられて、つい、
「林檎飴みたいに赤くて綺麗な瞳だなぁ……」
それなのに何故寂しさの色を過らせるのか。
勿体ない、どうしてだろう、なんて。そんなことを考えて、周囲の空気が完全に固まっていることに気付いて、さあと血の気が引いた。
今、自分はとてつもなく頓珍漢な発言をした。
殿下に向かって林檎飴みたいだなんて、不敬なことを。
凍ったような沈黙の中、ルカはギギギと壊れた機械のように、未だに何も言わないラゼルを見た。ラゼルは僅かに目を見開いていたが、そのあと、じっとルカを見てきた。その表情や視線が何を語っているのかは分からない。
だが時既に遅し。
それだけは分かった。
「ルカ・フォン・ランケといったか」
その声も凜としていて、まるで水晶みたいに綺麗だった。
ルカはその言葉に頷く。
「そうです。先程は不敬な発言、失礼致しました。ですが、これまでの発言や行動は全てわたくしがしたことです。どうか殿下の寛大な心で、我がランケ家への罰はお許し下さい」
「それは……何もかも己のみに罰を課せと言うことか?」
「はい。家族や使用人には何の罪もありません。先程も申し上げましたが、我が家に関することもわたくしの不敬も、すべてわたくしの所為です。どうか罰するのならわたくしだけを罰してください」
頭を垂れてルカは言う。ルカ、と心配するような両親の声が聞こえたが、心の中で「大丈夫だよ」と答える。家族やルカに優しくしてくれる使用人たちは、皆、自分が守る。
「そうか。安心しろ。お前の家族には手を出さない」
「ありがとうございます」
「ただ」
「?」
「悪いがお前には王宮に来て貰う」
それは罰を与えるということなのだろうか。
いずれにせよ沈黙から解放され、世界が時が動き出した頃には、もうルカの運命は決まっていた。黒い外套を纏った王子は部下に向かって告げる。
「……この女を連れて行け」
このアクアフィール王国の王子、ラゼル・アクアフィールは無慈悲にそう言ったのだった。
少しでも楽しんで頂ければ幸いです。ここまで読んで下さってありがとうございました!
追記:間違ってガールズラブのタグつけてしまいましたが間違いです。男女間の恋愛です。
追記2:冒頭、終わりあたりを少し変えました。
追記3:誤字脱字報告ありがとうございました!自分でもびっくり誤字脱字だったのでありがたいです~
宜しければブクマ、高評価お願い致します!
追記:誤字脱字報告ありがとうございました!
Twitter→@matsuri_jiji




