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Cafe Shelly

Cafe Shelly 思い出にひたりながら

作者: 日向ひなた

カラン・コロン・カラン

 扉を開けると、心地よいカウベルの音がする。それと同時に聞こえてくる女性の「いらっしゃいませ」の声。少し遅れて、渋い男性の「いらっしゃいませ」の声。

 その声が聞こえると、今度はコーヒーの香りに包まれる。その香りの中に、甘いクッキーの香りも混じって、とてもいい気持ちにさせてくれる。

 なるほど、あいつが言っていたとおり、このお店は癖になりそうだ。また来たくなる、入店してすぐにそんな気持ちにさせてくれる。

「お一人様ですか?」

「はい、知り合いから紹介されて初めて来ました」

「そうなんですね。ありがとうございます。よかったらカウンターへどうぞ」

 お店の中はそれほど広くはない。窓際に半円型のテーブルがあり、そこにはイスが4つ。お店の真ん中には丸テーブルがあり、イスが3つ。そして今通されたカウンターはイスが4つ。10人も入れば満席になる小さなお店。けれど、狭さは感じない。ちょうどいい空間、というのがぴったりのところだ。

「いらっしゃいませ。初めてお越しになられたのですね。ありがとうございます」

 このお店のマスターだろう。丁寧に挨拶をしてくれる。笑顔の印象がとてもいい味を出している。

「ここにおもしろいコーヒーがあると聞いて来たのですが」

 私にこの店を教えてくれたあいつ。一度騙されたと思って行ってみろと、何度も私にこの店をすすめてくれた。ここのコーヒーを飲むと、今までのコーヒーの概念が変わるぞ、とまで言ったくらいだから。

 けれど、私はなかなか行こうとはしなかった。仕事が忙しかったこともあるのだが、ちょっと話がおおげさで胡散臭かった、ということもあった。

「はい、シェリー・ブレンドのことですね。このコーヒーには魔法がかかっています。飲んだときの味の感想を、ぜひお聞かせくださいね」

 コーヒーの味の感想を聞くというのもおもしろいな。よほど、このコーヒーに自信があるのだろう。

「ではそのコーヒーをお願いします」

「かしこまりました」

 マスターは丁寧にお辞儀をして、コーヒーを淹れる準備にとりかかる。

 あらためてお店の中を見回す。店内は白と茶色で統一され、とてもスッキリとした印象。壁には小さな額縁が飾ってある。装飾物はゴテゴテしておらず、空間とぴったりマッチしている。

 カウンターの端には2色のボトルがたくさん置いてある。たしかこれはオーラソーマとかいうやつのボトルじゃなかったかな。

「これ、オーラソーマとかいうものですよね」

 目の前のカウンターのマスターにそう尋ねたのだが、答えは私の後ろから返ってきた。

「はい、よくご存知ですね」

 答えたのはこのお店の女性店員。確かあいつはマイさんとか言っていたな。髪が長くて、とてもきれいな女性。モロあいつの好みである。

 だが、残念なことにすでに結婚しているらしい。そしてその結婚相手がなんと、ここのマスターだというのだから驚きだ。あいつのお気に入りのこのお店の唯一の欠点だと、笑って言ってたな。

「夜7時を過ぎると、カラーセラピーのお客様をとることがあるんです。予約制で一日一人限定ですけど。私のもう一つの仕事としてやらせていただいています」

 とても笑顔がステキな女性だ。このお店は常に笑顔で包まれている。それにマスターもマイさんも、とても話しやすい。だからあいつも居心地がよくて、よく通っていたのか。

「お待たせしました。シェリー・ブレンドです」

 マスターが私の前にコーヒーカップを置く。その途端、コーヒー独特の香りが鼻を刺激する。今までいろんなところでいろんなコーヒーを飲んできたが、こんなに期待が高まるのは初めてだ。どんな味がするのだろう。

 カップを手にする。そして口に近づける。すると、先ほど漂ってきた香りがさらに強くなる。なんだか気持ちが安らいでくる。

 いよいよこのコーヒーを口の中に入れる。カップを唇につけると、熱が伝わってくる。熱い、けれどそれは心地よさを感じさせてくれる。いや、期待感と言うべきか。

 そして熱い液体を口の中へと注ぎ込む。同時に感じるコーヒー独特の苦味…いや違う、なんだこれは?

 今まで飲んだことがない味。それは懐かしさを感じさせる。と同時に後悔の香りがした。

 なんに対しての後悔なのか、それは自分が痛いほどよくわかっている。あいつにたいしての後悔だ。

 あいつが好きだったこのコーヒーを、あいつはもう味わうことができない。そして、そうしてしまったのは私の責任。私があいつを救えなかったから。あいつにもう一度、ここのコーヒーを味あわせてあげたかった。そんな思いが湧き出てきた。

 ここでふぅっとため息。そうか、これがあいつが言っていた魔法のコーヒーなのか。飲んだ人が望んでいる味がする。あいつはそう言っていた。ということは、あいつに対しての後悔の念が今望んでいることなのか?

 そんなはずはない。後悔を望んでいるだなんて。

「お味はいかがでしたか?」

 マスターの言葉で我に返った。そうだった、今は喫茶店にいるんだった。

「なんだか複雑な味ですね。懐かしさを感じたと思ったら、その後すぐに後悔の香りがしました」

「後悔?差し支えなければ、どんなことに対しての後悔なのか教えていただけますか?」

 この話をすることを一瞬ためらったが、あいつが信頼し愛した喫茶店のマスターなのだから。話しても問題ないだろう。

 ふぅっとため息を付いて、そして大きく息を吸った。

「実は、この喫茶店のことを教えてくれた友人に対してなのです。そして、その友人はもうこの喫茶店には来ることができません」

 私のこの言葉で、マスターは悟ったようだ。誰のことを言っているのかを。

「そうだったのですか。お客様は岩谷さまのご友人でしたか」

「はい、そして彼をそのようにしてしまったのは、私なのです。私が彼をそうさせてしまった。だから後悔しているのです」

「それはどういうことですか?岩谷さまは交通事故でお亡くなりになったと聞いていますが」

「確かにあいつは事故で死にました。けれど、あいつの心の状態をそうさせてしまったのは私なのです。私が悪いのです」

 私はうつむいてそう言った。

 岩谷、あいつは私の親友だった。小学生の時からの腐れ縁で、中学、高校、そして大学まで同じ。その後の就職も、ここ地元に残ることになり、なんだかんだでずっとつるみ続けていた。

 あいつとは何度もケンカをした。だがそれは、お互いの思いをぶつけ合っているだけで、相手を憎んでのことではない。いや、むしろこうやって思いをぶつけ合うことで、お互いが成長しあっていた。そんな気がする。

 お互いに同じ人を好きになったことも合った。そのときには、なぜかお互いに譲り合ってしまって。結局、告白もできないまま相手は私たちの前から去っていった。こんな苦い恋の思い出もある。

 いろんなバカもやった。特に大学生時代は羽目をはずして、後からこっぴどく叱られるなんてこともあった。けれど、やったことに後悔はしていない。岩谷とは楽しい青春時代を一緒に過ごした仲である。

「あいつとはそんな感じで、付き合いも二十年近くになっていました」

 気がついたら、岩谷と私の関係をマスターに話していた。マスターは頷きながら、ときおり「そうなんですね」と相づちを打ちながら私の話を聴いてくれていた。だから、ついあいつのことを口にしている自分がいた。

「でも、そんなあいつを死に追いやったのは自分なんです」

 思い出話を一通りしたあと、やはり襲ってくるのは後悔の念。あいつのことを思い出せば出すほど、あのときにやってしまったことを悔やんでしまう。

「差し支えなければ、どんなことを起こしてしまったのか話してみませんか?」

 このことはまだ誰にも話したことがない。話したくても話せる人がいなかった。けれど今なら素直に話せるかもしれない。いや、心の中ではずっと誰かに話したかったのだ。やっとそのときがやってきた。

「ありがとうございます。実は、岩谷の気持ちを追い詰めたのは私なんです。あの日、あいつはかなり悩んでいました」

「岩谷さまに悩みがあったのですね」

「はい。めずらしくあいつから相談があるからと電話があったんです。けれど、私は今抱えている仕事が忙しくて…」

「それで断ってしまった。ということですか?」

「はい。断ったといっても、今は忙しいから落ち着いたら連絡するからと伝えたんです。けれど、あいつはどうしても今じゃないとダメだって。そう言ったんです」

 あいつはかなり焦っていた。電話口でのあいつの言葉が頭から離れない。あいつの声が今も鮮明に思い出される。


「もしもし、オレだ」

「なんだ、岩谷か。どうしたんだ?」

「どうしても今日中にお前に相談したいことがあるんだけど。時間取れないか?」

 あのときの岩谷はいつものあいつではなかった。すごく焦っている。そして何かに怯えている。そう感じ取れた。

「うぅん、悪い。今仕事が立て込んでいて、今日も下手すると徹夜になるかもしれねぇんだ」

 けれど私の返事はこれだった。私は工業デザインを手がける会社に勤めていた。私はデザイナーではないが、プロジェクトを任されていろいろな人を使って企業のイメージアップを行っている。今回はとある企業のコンペを目前に控えて、そのプレゼン資料の作成中だった。

「そ、そうか…でも、どうしてもダメか?」

「お前の頼みだからなんとかしてあげたいけれど、今会社を抜けるわけにはいかないんだよ。ホント、悪い」

 正直なところ、岩谷と電話をするこの時間すら惜しいくらいの状況だった。

「そうなんだ…忙しいところ悪かった」

 落胆した岩谷の顔が浮かんだ。あいつがこんなに気落ちすることなんて、私の記憶では思い出せなかった。あいつはいつも陽気で、仲間たちの間ではムードメーカーだったから。

 そして事件は起こった。

「えっ、警察!?」

 その電話を受けたときに、私は驚いた。こんな夜の時間に警察から電話とは。さすがに身に覚えがないので意味がわからなかった。しかし、電話をかけてきた警察の次の言葉でその意味がはっきりした。

「岩谷さんの携帯の最後の発信履歴があなただったので、電話をさせていただきました。岩谷さんのお知り合いですか?」

「はい、そうですが。岩谷がどうかしたのですか?」

 このとき、私は嫌な予感がしていた。警察がこういう電話をかけてくるというパターンというのはそんなにはない。だから、この予感が外れて欲しいとこのときは願った。

「大変申し上げにくいのですが、岩谷さんが事故に遭いまして。それで県立病院に緊急搬送されました。けれど、おそらくは…」

 この時点で頭が真っ白になった。岩谷が事故。緊急搬送。おい、そんな、冗談だろう。

「い、今から行きます!」

 確か県立病院とか言っていたな。私は事情を会社の連中に話して、大急ぎで県立病院へ車を走らせた。

 頼む、岩谷、無事でいてくれ。

 頭の中は、岩谷との思い出でいっぱいになった。あの岩谷が私の前から姿を消してしまうなんて…今までそんなこと、考えたこともなかった。

 病院に着くなり、私は警備の人に緊急搬送された岩谷のことを尋ねた。すると警備の人が説明する前に警察の人が私の前にやってきた。

「さきほど岩谷の事故で電話を受けたものですが」

 私がそう言うと、警察の人は「こちらへ」と言うだけで歩き出した。エレベーターのボタンは地下が押された。そして、薄暗い廊下を歩き、突き当りの部屋で立ち止まる。

 その部屋の奥に岩谷がいる。だが、そこが何の部屋なのかは私にもわかっている。

 部屋に入ると、白い布を顔に被せられたあいつがいた。それを見た途端、涙が溢れてきた。そして、大声で泣いた。周りの目も気にせず、とにかく大きな声で泣いた。

 どのくらい時間が経ったのだろう。ようやく気持ちも落ち着いて、現実を受け入れられるようになった。そのときに、警察の人が説明をしてくれた。

 岩谷は信号無視をしていたらしい。赤になった交差点に突っ込んで、トラックの横に衝突。かなりスピードを出していたようだ。

「そんな、そんなバカな。あいつの運転は慎重すぎるくらいだったのに」

 あいつの運転でドライブに行ったことがある。そのときは「もっと飛ばせよ」と煽らないといけないくらい、あいつの運転は慎重だった。

 岩谷がどうしてそんな無謀な運転をしたのか。それは後日警察から聞くことができた。その理由を知った時、私は愕然としてしまった。


「あのときのあの相談にのってやれば、こんなことは起きなかったのに…」

 マスターの前で私はポロリとそう言葉を発した。

「差し支えなければ、岩谷さんはどのような相談をしようとしたのか、教えていただけますか?」

「本来は岩谷のプライベートのことですから、人に話すことではないのですが。岩谷に時間の余裕があれば、きっとマスターにも相談しただろうことなのでお話させていただきます」

 そう言いつつ、実は自分が背負った罪を誰かに明け渡したい。そんな気持ちのほうが強かった。マスターならきっと、私が背負った苦しみをわかってくれるはず。そんな根拠のない思いが湧いてきた。

「あの日、岩谷は彼女の秘密を知ってしまったんです。あいつには結婚を前提とした彼女がいました」

「それなら私も存じ上げています。以前、お店にも連れてこられたことがありました。ショートヘアーでとてもかわいらしい方だったという印象があります」

「はい、その子です。私も何度か会っています。けれど、あの子にあんなことが起きていたなんて…」

「一体、何があったのですか?」

 ここからは警察経由で聞いた話になる。

 岩谷の彼女の父親は事業を営んでいた。個人経営で何かの工場をやっていたという。その工場、運営が思わしくなくて多額の借金を抱えていたらしい。

 そしてその借金はとうとう闇金にまで及んでいた。その返済が滞っていたらしく、その筋の人達が彼女に目をつけた。そして、利息分として彼女をソープランドで働かせてたという。

 だが、彼女は一日だけ働いて、二日目に岩谷にそのことを打ち明ける電話をしてきた。岩谷はいてもたってもいられなくなり、あわてて私に電話をしてきたのだ。

「私はその相談の電話を、仕事が忙しいからといって切ったんです。岩谷の気持ちを知ってあげることができていれば、こんなことにはならなかったのに」

「そうだったのですか。それで岩谷さんはあわてて彼女のもとへと向かった。そのときに事故に遭われたのですね」

「はい、そのようです。警察沙汰になったため、彼女の父親の工場の方は弁護士がついて闇金からの利息の催促はなくなったようですが。彼女も胸に傷を負ってしまったようで、それからうつ状態になっていると聞いています」

 場の空気が重たくなった。

「こんな言い方をしてしまうと、彼女さんにも岩谷さんにも失礼に当たるかもしれませんが」

 重たい空気の中、マスターが口を開いた。私はその声で顔を上げた。

「そうなった原因はあなたにはありませんよね」

 確かにそうだ。彼女の家に多額の借金があったこと、それに対して彼女自身が大変な目にあったこと。そのことを気に病んで岩谷が何とかしたいと焦ったこと。これらは全て私には責任はない。

「マスターのおっしゃるとおりです。私には何の責任もないことではあります。けれど、そんな岩谷に何もしてあげられなかった。そのことが悔しくて…」

 私はまた顔を下に向ける。マスターの言葉はなんの励ましにもならない。

「こんな話があります。とある旅人の話です。旅人はとある村を通りました。けれど、その村はとにかく寂れていて、道端にはお腹をすかせた子どもが座っていました」

 マスターの話を耳にしながら、頭のなかでは映画で見たことあるような光景が広がっていた。

「その旅人はお腹をすかせた子どもに何か食べさせるものはないかと荷物の中を探しました。けれど残念なことに、今は何も持っていません。その子に何もしてあげられない旅人は悩んでしまいました」

「旅人はどうしたんですか?」

 マスターはただ、首を横に振るだけ。

「えっ、何もしなかったのですか?」

「しなかったのではなく、できなかったのです。結局その子どもは、旅人の目の前で死んでしまいました」

「それはかわいそうなことをしてしまいましたね」

 その話の中に出てきたお腹をすかせた子どもと、そこに居合わせた旅人に同情をしてしまった。

「では、この旅人は何か罪を犯してしまったのでしょうか?」

 マスターの質問に、私は考えてしまった。旅人は罪は犯していない。何もしてあげることができない状況だったのだから。だから、旅人が悔やんでも仕方ない。

 マスターはさらに私に質問を投げかけた。

「旅人はこの後、どうするべきなのでしょうか?」

「どうするって…どうしようもないですよね。せめて、そんなことが起きないように何らかの働きかけを起こすことが、亡くなった子どもに対しての供養になるんじゃないでしょうか」

「私も同感です。事態について悔やむよりも、同じ過ちが起きないようになんらかの動きをとる。それしかないと思います。私たちは過去には生きられません。けれど、過去の出来事から学び、未来に向けての行動を起こすことはできます」

 事態を悔やむより、未来に向けての行動を起こす。マスターが私に言いたいことはもうわかっていた。

 私は岩谷の死を自分の責任だと悔やんでいた。けれど、それは本当は違う。私が岩谷の相談を受けることができなかったから岩谷は死んだのではない。それは直接の原因ではない。

 そんなことはわかっていた。けれど、そうでも思わないと自分の気持ちがおさまらなかったのだ。

「マスター、私が今やるべきことは何なのでしょうね?岩谷のような、岩谷の彼女のような人を増やさないという活動をするべきなのでしょうか?」

「私はそれは少し違うと思います。今回の問題は、岩谷さまの彼女さんの家庭の事情が大きな問題ですから。残念なことに、こういった話は世の中にごまんとあります」

「だったら、私は未来に向けてどのような行動を起こせばいいのですか?」

「逆に質問させてください。あなたの気持ちをどのようにしたいですか?」

 自分の気持ちをどのようにしたいのか。そんなこと、考えもしなかった。私は自分の気持ちをどのようにしたいのだろうか?

「答えが見つからなければ、シェリー・ブレンドに聞いてみるといいですよ」

 答えはシェリー・ブレンドに聞け、か。

 少し冷めてしまったシェリー・ブレンド。まだカップの半分以上残っている。今度は私にどんな味を感じさせてくれるのだろうか。

 先ほどと同じようにコーヒーに口をつける。

「えっ、どうして?」

 おかしい、冷めたコーヒーのはずなのに熱く感じる。いや、湧き上がってくる熱気。それとともに思い出されたのが、あいつと語った熱い思い。

「オレ、絶対に大物になってやる!」

 そのセリフをあいつから初めて聞いたのは、確か中学二年生の頃だった。大物シンガーに憧れて、楽器の真似事を二人で始めたときだったな。あのとき、私たちは本気でデュオシンガーに憧れていた。そのときにあいつは本気でその世界で成功することを夢見ていた。もちろん、私も。

 とっくに忘れていた思い。これを思い出させてくれた。けれど、未来に向かって自分の気持ちをどうしたいのか、これを教えてほしいと思っていたのだが。まさか、いまさら唄を歌えということなのか?

「お味はいかがでしたか?」

 今回もマスターの言葉で我に返った。

「あ、いや、驚きました。覚めたコーヒーのはずなのに熱かったんです」

「ほう、めずらしいですね。味ではなく熱を感じたのですか。私も初めて聞きましたよ」

「はい、そこで昔のことを思い出しました。私と岩谷は中学生の頃、本気でシンガーとしてデビューすることを夢見ていました。岩谷がギターを弾いて、私がキーボード。私は小学生の頃、ピアノを習っていましたからね。そのときの熱い思いが一瞬よみがえりましたよ」

「へぇ、シンガーですか。なかなかかっこいいですね。で、それはどうなったんですか?」

「まぁ、子どもの頃の気の迷いとでもいいますか。高校受験を控えるようになってから、そんな遊びのようなことをする暇もなくなって、いつの間にか熱が冷めてしまいましたけどね。でも、あの頃が一番何かに熱中していたかもしれないなぁ」

「とてもいいですね。私、実はこの喫茶店をやる前は高校の教員をやっていまして。そういった熱中的な生徒ほど、個性があって面白い存在でしたよ」

「へぇ、マスターは高校の先生だったんですか。そういえば、高校のときにも岩谷とちょっとだけ熱中していたことがあるんです」

「ほう、どんなことですか?」

「今度はお笑いをやりはじめたんです。といっても、本格的にお笑い業界でデビューしようなんてことは思いませんでした。文化祭の出し物としてやってみようと思って取り組んだんです」

「今度はお笑いですか。なかなかおもしろいですね」

「えぇ、以前楽器をやっていたので、歌ネタでいこうと思って。いろいろと考えましたよ。おかげで、文化祭ではちょっとしたスター気分が味わえました。いやぁ、なんか懐かしいなぁ」

 頭のなかでは、高校生時代の私たちがいた。岩谷と私、二人で本当にいろんなことをやった。あの頃が一番輝いていたかもしれない。いや、思い出した。もう一つあったぞ。

「そうそう、岩谷との思い出でもう一つ忘れてはいけないことがありました」

「よかったら聞かせてください」

 マスターはカウンターから身を乗り出して、私の話を聴こうとしていた。私もちょっとうれしくなって、思い出したことを語り始めた。

「これは大学時代のことです。あいつとは学部は違いましたが、同じ大学に行っていましたから。なんだかんだで一緒につるむことが多くて。入ったサークルも同じでした」

「どんなサークルに入ったんですか?」

「名前は『経済教育研究会』。すっごい堅い名前でしょ」

「なんか真面目そうなサークルですね。でも、きっとそうじゃないんでしょ?」

「あはは、バレましたか。経済教育研究会といっても、何かを研究するわけじゃないんです」

「どんなサークルなのですか?」

「まぁ、いろんな馬鹿なことをやっていました。みんなで飲みに行ったり、遊びに行ったり。けれど、一つ理念はあったんです」

「どんな理念なのですか?」

「はい、世のため人のためになることを必ずやろうって。だから、街なかの掃除をやったり、イベントのスタッフをボランディアで手伝ったり。そういったことを熱心にやりましたよ。そのあとに飲みに行ったり、打ち上げと称してみんなで遊びに行ったりしていたんです」

「半分遊び、半分真面目といった感じですね。そういうの、私も好きですよ。そこでは岩谷さんとはどんな感じだったのですか?」

「実は恥ずかしながら、ここで一人の女性を取り合う関係でした」

「おや、それは聞き捨てならないですね。もうちょっと詳しく教えて下さいよ」

「あはは、これも青春時代の思い出ですね。彼女は私たちの一つ後輩でして。ちょっとボーイッシュで活発な感じの女性だったんです。私もあいつも一目惚れしちゃいまして。うちのサークルに入部してその日の夜に、お互い彼女にヒボ目ぼれしたことを告白し合いました」

「それはなかなか興味深いですね。それから?」

「そこでお互いに協定を結んだんです」

「協定?」

「はい、もしあの子がどちらかを選んだときには、嫉妬やジャマをせずに応援すること。そして、抜け駆けしてあの子をデートに誘うということはやめよう、という協定です」

「へぇ、なかなかフェアですね。その結果どうなったのですか?」

「あはは、恥ずかしながら彼女は今の私の妻になりました。岩谷は最初は悔しがりましたが、そこはきちんと私たちを祝福してくれましたよ」

 頭のなかでは、大学時代に岩谷と彼女を取り合っていたときの光景が展開されていた。

「そうそう、あの頃は岩谷と彼女のことを探ろうと、いろいろなことをやりました。わざとらしいアンケートを取って、彼女の趣味などを聞き出したり。それと、最初の頃は三人でデートもしましたね。まぁ、仲のいいサークル仲間って感じではありましたけど」

「そういうのいいですね。なんだか青春しているなぁって気がしますよ」

「はい、岩谷と一緒だったからこそ楽しめたことでもあります。これが私一人だったら、彼女は今、私の妻にはなっていなかったでしょうね」

「それはどうしてですか?」

「彼女がね、私に気があると感じたときから、岩谷はやたらと私のことを持ち上げてくれるようになりまして」

 ふと、あの頃岩谷が私にしてくれたことを思い出した。とにかくこいつはいいヤツだ、付き合わないと損だと彼女に言ってくれていた。二人でデートをするように仕向けたのもあいつだし。おかげでトントン拍子で私たちはうまくいき、結婚までこぎつけることができた。

「岩谷って、ホントいいヤツでした。自分のことは二の次。常に周りに気をつかう、そんな男でしたよ」

「このお店でもそうでした。自分の自慢話とか一切せずに、会社の同僚のことやお友達のことを話してくれていました。そんな中、頻繁に登場していたのがあなたのことだったんです」

「えっ、私のことを話していたんですか?」

「はい、子どもの頃からの腐れ縁で、ずっと一緒に過ごしてきたヤツがいるって。自慢の友達だって言っていました」

「まったく、あいつはいつもそうだからなぁ」

 ここでなぜだか涙が出てきた。ホント、どうして岩谷という人間が先立たなきゃいけなかったんだ。神様は不公平だ。あいつが何か悪いことをしたというのか?

「あいつがこのお店でどんな事を話していたのか、詳しく教えていただけないでしょうか?」

「はい。岩谷様はこのお店にやってくると、いつもにこやかな顔をしていました」

 マスターのその言葉に、あいつがいつも私に見せていたあの笑顔を思い出していた。そうだ、あの笑顔にいつも私は救われていた。落ち込んだときも、悩んだときも、あいつはいつも笑顔で私と向かい合ってくれていた。

「そして、岩谷様は自分の周りで起きていた楽しかったことや面白かったことを私たちに話してくれました。そして、シェリーブレンドを飲んだときには、その感想も愉快に話してくれましたよ」

「例えば、どんな味の感想が出てきたのですか?」

「そうですね。私が印象深かったのは、チョコレートの味がすると言ったときです。ブラックで飲んだのにですよ」

「チョコレートの味?ひょっとしたらバレンタインデーの日だったとか?」

「そう、まさにその通りです。確か岩谷様が彼女さんとおつきあいを始める直前だったはずです」

「そうそう、あいつ、好きな人ができたけど、相手が自分のことをどう思っているのかすごく気にしていた時期がありましてね。バレンタインの前はチョコレートをもらえるだろうか、むちゃくちゃ気にしていましたから」

「そして、バレンタインデーの翌日にやってきて、シェリーブレンドを飲んだらバラの香りがすると言っていましたよ」

「あはは、あいつらしいや。よほどバラ色の人生が目の前に見えていたんだろうな。念願の彼女ができて、これからだっていうときに…」

 そう、これからというときにあいつは死んでしまった。あいつの死は私に何をもたらしたのだろうか。何を教えてくれたのだろうか。私だけじゃない、周りの人たちにどのような影響を与えたのだろうか。

「岩谷様はとてもいい人でした。それだけは間違いなく言えます。だからといって、岩谷様の死を私たちが悔やんではいけない。私はそう思っています」

 マスターの言葉は意外だった。岩谷の死を悔やんではいけないとはどういう意味なのだろうか?

 マスターの言葉は続いた。

「おそらく、多くの方が岩谷様の死を悲しんだと思います。私も、あなたも、岩谷様の彼女も、そしてご友人、職場の方々、もちろんご家族の方も」

 たしかにそのとおりだ。誰一人、あいつが死んでよかったなんて思うヤツはいない。

「あんなに正義感があふれていて、人を楽しませて、喜びを与えてくれた人はそんなにはいないでしょう。だから今度は、岩谷様の役目を私たちが引き継いでいかなければいけない。今度は周りのみんながそうする番だ。私はそう思っています」

 マスターの言葉は私のこころに大きく響いた。この店に来る前までは、自分のせいで岩谷が死んだと思って自分を嘆いていた。

 けれど、あいつが目の前にいたら私のことを非難するだろう。

「バカヤロウ、そんなふうに思ってくれなんて誰が頼んだ。オレはみんなに幸せになってもらいたいだけなんだよ」

 きっとこう言うに違いない。

「だから、今度はお前がオレのやっていたことを受け継ぐ番だ」

 ふとそんな声が聞こえてきた気がした。いや、間違いなくその声は私の耳に入ってきた。

「そうですね、そうですよね。岩谷の意志を継いで、今度は私が周りの人を喜ばせ、楽しませていく。それをやらなければいけない番ですよね。あいつがまだやりきれていなかったことを私が受け継ぐ。それがあいつの望んでいることですよね」

「はい、私もそう思います」

 このとき、私は無意識にカップの中にわずかに残っていたシェリーブレンドを口にした。もう完全に冷めてしまったコーヒー。けれど、口に含んだ瞬間に今まで感じたことがない衝撃を受けた。

 口の中で展開するこの感じはなんなんだ。味がどんどん広がっていく。遠くまで、奥深くまで。この味の広がりは無限に続いていく。

「広げる、か」

 ふと口にしたこの言葉。それで気づいた。岩谷がやりたかったこと、それは広げることだったんだ。自分の笑顔を、喜びを、多くの人に広げて同じように笑顔になってもらい、喜んでもらう。

「シェリーブレンドが教えてくれたようですね。私も、岩谷様の想いを継いでいけるよう、この店に来たお客様に笑顔になってもらい、喜んでもらえるようにしていこうと思っています」

「マスター、気づかせてくれてありがとう。そうなんだよ、岩谷は自分の死の責任を私に押し付けようとは思っていないはず。私がいくら悔やんだところで、岩谷はもう戻ってこないのだから。だから、私がやるべきことは岩谷の想いを継いで、つなげていくことだけですね」

「はい、ぜひそのようにしてください。それが岩谷様に対しての一番の供養になると思いますよ」

 あいつの思い出話をすることで、あいつが本当に大切にしたかったことが今になってようやくわかった。こんなに長く一緒にいたのに、今までどうして気づかなかったのだろう。

 きっと、あいつに甘えていたんだろう。あいつが当たり前のように私にそうしてくるから。だから今まで、あいつの良さに気づかなかったのかもしれない。

「マスター、ありがとう。このお店に来て本当によかったよ。私はあのままだったら、岩谷に対してずっと自責の念にかられていたはずです。そして、ずっと落ち込んだまま一生を過ごしてしまうところでした」

「そんな生き方はもったいないですよ。亡くなった方は何も言いません。けれど、私たちに何かを残してくれたはずなんです。だから、残してくれたものに目を向けて、その意志をくみ取ることが大事だと私は思います」

 マスターの言うとおりだ。私は危うく大事なものを見過ごしてしまうところだった。

「では、岩谷様の意志を継ぐのであれば、早速何から始めてみますか?」

「そうだなぁ、そこが難しいよなぁ。意思を継ぐと言っても気持ちだけでは意味が無いからな。何か行動を起こさないと…」

 そこが難しい。いざ行動を起こすとなると、何から手を付ければよいのかさっぱりわからない。その答えを知りたくても、残念ながらシェリーブレンドのカップはもう空になっている。

 すると、マスターは注文も入っていないのにコーヒーを淹れる準備を始めた。私はしばらくそれを眺めている。そしてマスターは私に一杯のコーヒーを差し出してくれた。

「これは私からのプレゼントです」

「えっ、いいんですか?」

「はい。岩谷様の意志を継いでいただくのは、私からの願いでもあります。岩谷様と同じことをして下さい、ということではありません。やり方は人それぞれでいいのです。まずは自分ができることを探してみる。だから、その願いも込めて、このシェリーブレンドをプレゼントさせていただきます」

 差し出されたコーヒーをじっと見つめる。漆黒の液体の表面に映し出される私の顔。その顔が岩谷の顔とだぶって見える。

 そうか、それがあいつの望んだことなのか。あいつが私に託したものなのか。

 そうしてカップを手にとり、あらためてこのコーヒーの香りを楽しむ。うん、何か掴めそうな気がする。まず自分がやるべきこと、それが見つかりそうな気がする。

 ゆっくりとその液体を口の中に流し込む。すると、今まで味わったものとはまた違う、新たな衝撃が私の舌を刺激する。

 例えるなら温かい毛布に包まれている。さらにそこには人のぬくもりがある。そんな感じがする。そのぬくもりを伝えるのが自分。そうだ、包まれているのではなく包み込むのか。それが自分のやるべきことなのか。でも、どうやって?

 もう一度シェリーブレンドを口に入れる。

「笑えばいいんだよ」

 えっ、何? 今、声が聞こえた気がした。

 シェリーブレンドを飲んだ瞬間、間違いなく声が聞こえた。気のせいではない。そして、その声はあいつ。そう、岩谷の声だ。

「笑えばいい、そう、笑えばいいんだ」

 このとき、岩谷の笑い顔が頭に浮かんだ。いや、思い起こせばあいつの印象はいつも笑った顔だった。

 そりゃ、真剣に悩み、悲しみ、怒り、苦しんだ顔もある。けれど、それは本来のあいつの顔ではない。岩谷といえばやはり笑顔。笑った顔がいつも思い出される。

「笑えばいい、ですか。まさに今すぐ始められることですね」

 マスターのその言葉で、自分が言ったことの意味を再確認できた。

「そうなんです。今、そのことを岩谷が教えてくれました。笑えばいいんです。どんなときでも、常に笑顔でいること。そこからあふれてくる自分の中の喜びを、周りにおすそ分けしていく。それがあいつのやっていたことだって、今あらためてわかりました」

「では、早速笑顔から始める。そういうことですね」

「はい、常に笑って過ごす。それが私のやるべきことです」

「とても素晴らしいことだと思います。ぜひそうしてください」

「はい、ありがとうございます」

 特別なことをする必要はない。普段から笑顔で過ごせばいい。そのことを胸にきちんとおさめて、一日を過ごしていこう。

「マスター、今日はありがとうございます。これで私の心も晴れました。そして、岩谷の思いも受け止めることができました」

「いえ、私こそありがとうございます。岩谷様の意志を、思いを確認することができました。私も常に笑顔を忘れないよう心がけていこう。そう思いましたよ」

「こうやってあいつの思い出にひたることで、あいつが何をやろうとしていたのかを知ることができたし。そしてなにより、マスターとシェリーブレンドに出会えたことが最大の喜びです」

「そう言っていただけると、私もとても嬉しいですよ」

 このとき、二人で笑顔になっていたことにあらためて気づいた。これが岩谷が私に教えたかったことなんだろうな。

「さて、そろそろ行きます。本当に今日はありがとうございました。そしてシェリーブレンドごちそうさまでした」

「また気軽においでください。そしてどのようなことができたのか、ぜひ教えて下さいね」

「はい、そうさせていただきます」

 お金を払ってお店を出る。カウベルの音が私の新しい出発を祝ってくれているようだ。

 家に帰ると、妻が真っ先に私の変化に気づいた。

「おかえりなさい。あれっ、なんだかうれしそうね」

「あはっ、わかるかい?」

「うん、だってすごくニコニコしているから。心配したのよ、岩谷さんが亡くなったことを自分のせいだって嘆いていたから。今朝はすごく暗い顔していたから、どう声をかければいいか迷っちゃったわよ」

 そうか、落ち込んでいると周りにも迷惑をかけてしまうのか。こういうのは自分の問題だと思っていたが、そうじゃないんだ。自分の気持ち次第で、周りの人を不幸にさせてしまうこともあるのか。

 だから岩谷は周りの人を幸せな気分にするために、自らを笑顔にさせていたのか。よし、私もそれを心がけていこう。

 この日、カフェ・シェリーであったことを妻に話した。妻はめずらしく私の話を黙って聴いてくれた。いつもは立場が逆なのにな。

「へぇ、岩谷さんが行っていた喫茶店って、そんなところだったんだ。今度ぜひ私も連れて行ってよ」

「あぁ、今度は一緒に行こう。きっと君も気にいるよ」

 笑顔で話をすると、妻も笑顔になる。それを見ると私も幸せな気持ちになる。

 あ、そうか、そうなんだ。ここでもまた一つ、新たなことに気づいた。

 岩谷は周りの人のためだけに笑顔になっていたわけではない。周りの人の笑顔を見ることで、自分も幸せな気持ちになれる。これを味わっていたんだ。

「情けは人のためならず、か」

「えっ、なに?」

 ふとつぶやいた私の言葉。妻はそれを聞き逃さなかった。

「いや、岩谷がどうしていつも笑顔でいられたんだろうかってことがわかったんだ。あいつが学生時代に、私とおまえのことを心から応援してくれただろう。おかげで私は今、おまえというパートナーと一緒にいられる」

「そうよね。岩谷さんとあなたが私のことを争っていただなんて、結婚してから知ったくらいだもん。岩谷さんって、ホントいい人っていうより、人がいいって感じだったわ」

「そうなんだよ。どうしてそれができていたのか、それが今わかったんだ」

「それが、情けは人のためならずってこと?」

「そう、そうなんだ」

 この日、私と妻は岩谷の思い出を語り合った。ここでもまた、岩谷が何を目指していたのかを感じることができた。

 あいつの思い出にひたりながら、私自身のこれからの生き方を学んだ。死んでもなお、周りに影響を与えられる。私もそんな人間でありたい。そう思わせてくれるひとときであった。


<思い出にひたりながら 完>

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