第82話『ウルフバンカー』
久しぶりの投稿です。
「マスターお昼の時間です」
「もうそんな時間か、まあ、こっちもだいたい仕上がった」
朝に冒険者ギルドに行ってそのまま、家の修理依頼を受けてここにやってきたのだが、修理は殆ど手伝わずに設計ばかりしてしまった。
「おう坊主も区切りがいいのか」
シルヴィアが昼食に用意してくれたサンドイッチを食べていると、ダラスさんたちも区切りがついたようで休みにやってきた。
「手伝いもせずにすみません」
いつの間にか人数分用意していたサンドイッチをシルヴィアが配って回る。
「いいって事よ、それよりも俺たちのスィンバンカーの改造よろしく頼むぞ」
「任せてよ、設計は終わったから、午後に一人ずつ俺の元に来てくれる。改造していくから」
カリンたちの三機に加え、スィンバンカーの改造案もまとめ終わった。フゥオリジンやヴィアイギスを改造するとなると設計図だけでも数日かかるが、形や性能がシンプルなスィンバンカーは改造が簡単なのが利点だな、作った時にはそんなこと考えなかったけど。
「もうできるのか」
「材料さえあればね、余りそうな廃材とかある」
「ああ、倉庫一つを解体したからな、けっこう資材はあまるぞ」
「カリン、それを少し分けてもらっていいか」
「もちろん、おじいちゃんたちに私から頼んでおくね、私たちの機体の材料にもなるんでしょ」
「その通り」
軽量化のため内側を木材で作ってコーティングすれば問題ないはずだ。
「シルヴィア、昼食が終わったらコーティング剤を買ってきてくれるか」
「了解ですマスター」
俺が受けたはずの家の修繕は完全にウルフクラウン任せになってしまったが、本人たちが納得しているので問題ない、はずだ。
改修図面が完成したので、一人一人交代で改修していく。
簡単に素材が手に入る環境はすばらしい。
シルヴィアたちが買ってきてくれた豊富な素材で徹底的に仕上げました。緊急事態で制作したスィンバンカーは色々と妥協したけど、今回は違うリクエストも加えて満足な仕上がりだ。
もはや新型と言っていいかもしれない。
俺がウルフクライン用に仕上げたのはこの二種類だ。
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■製造番号AW-04Ⅱ-F・機体名『ウルフバンカーF型』
◇中量級前衛型 ◇カラー「ウルフグレー」
◇素材 軽量鉄材
◇機体構成
「コア(C)」中級魔結晶
「ヘッド(H)」ウルフヘルム
「ボディ(B)」アイアンプレート
「ライトアーム(AR)」バンカーアーム
「レフトアーム(AL)」ブレードアーム
「レッグ(L)」アクセルグリープ6(最大6倍)
「バックパック(BP)」突撃ブースター
◇武装
・メインウェポン(AR)……魔導式ソード
〃 (AL)……アイアンシールド
・サブウェポン・・・…右腕部内臓パイルバンカー
〃 (B)……連射型魔導式ボーガン
〃 (L)……ワイヤーアンカー
◇補足
カズマがウルフクラウンのメンバーに依頼され制作した量産型AW-4MPスィンバンカーの改良発展機。素材を悪魔像から鉄材と木材へと切り替え、コアも中級魔結晶にしたことでアクセルグリープも6倍まで出せるようになっている。突撃ブースターと併用して突撃からの強力な一撃を繰り出すのが特徴、また各種パーツがカズマの趣味で狼をモデルにデザインされた。
F型(Fはフォワード)は前衛用に設計されており、右腕にはウルフクラウンに大人気のバンカーに加え、左腕には内臓ブレードが新たに追加された。
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■製造番号AW-04Ⅱ-B・機体名『ウルフバンカーB型』
◇中量級後衛型 ◇カラー「ウルフグレー」
◇素材 軽量鉄材
◇機体構成
「コア(C)」中級魔結晶
「ヘッド(H)」索敵アンテナ内臓ウルフヘルム
「ボディ(B)」アイアンプレート
「ライトアーム(AR)」バンカーアーム
「レフトアーム(AL)」軽量アイアンアーム
「レッグ(L)」アクセルグリープ6(最大6倍)
「バックパック(BP)」魔力生成ユニット(小)
◇武装
・メインウェポン(AR)……マジックランス
〃 (AL)……アイアンシールド
・サブウェポン(AR) ・・・…右腕部内臓パイルバンカー
〃 (BP)……連射型魔導式ボーガン
〃 (L)……魔導式ショートソード
◇補足
カズマがウルフクラウンのメンバーに依頼され制作した量産型AW-4MPスィンバンカーの改良発展機。素材を悪魔像から鉄材と木材へと切り替え、コアも中級魔結晶にしたことでアクセルグリープも6倍まで出せるようになっている。また各種パーツがカズマの趣味で狼をモデルにデザインされた。
B型(Bはバックス)は後衛用に設計されており、前衛のF型にはない魔力生成ユニットが搭載されている。このB型にもウルフクラウンに大人気のバンカーは標準装備、槍としても魔法の杖としても使えるマジックランスが主力武装になる。
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改修に使われた中級の魔結晶六個はウルフクラウンが自腹で買ってきた。タイランチュウラが特殊個体と認定されたので、かなりの報酬が入ったそうだ。
改修していて気が付いたが、悪魔像の素材は予想以上に痛んでいた。スキルで無理やり固めていたが、それでも各所で崩れ始めていた。このままではあと数日で紫の砂になっていたかも。
改めて悪魔像はボディなどには向かないと再確認させられた。
「すげぇなボウズ、スィンバンカーより重たいはずなのに、スィンバンカーより動きやすいぞ」
「魔力が増幅、いや生成されているのか、あり得るのかこれ」
喜ぶ前衛でリーダーのダラスさんと性能に困惑している後衛で副リーダーのテルザーさん、対照的だな。
内訳はF型が四機にB型が二機になる。
「いいじゃねぇかテルザー、細かいことは気にするな、これからウルフクラウンの伝説が始まるんだぜ、この鎧があれば三ツ星ランクいや最高ランクの星座線だって夢じゃない」
新機体に喜んでくれたウルフクラウンの皆さんがさらに勢いがつき、たった一日で家の修繕を終わらせてしまった。ウルフクラウンの機体改造の依頼もこれで達成されたことになるので、三つ受けた依頼の内、早くも二つ終わってしまった。
「家の修繕と機体の改造、あと一つの依頼ってなんだっけ」
「ギルドマスターの義足ですマスター」
「ああ、そうだった」
アクティブの設計が楽しくて完全に忘れていた。宿に戻ったら寝る前に作っておこう。
俺は義足分の廃材をもってシルヴィアと宿へと帰った。
今週中にもう一話の投稿を目指しています。




