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第68話『1/60プラモを手の平サイズの精霊に着せたら1/1アーマーフェアリーになった件』

評価&ブックマークありがとうございます。

「ノネ様、これから同じ主を持つ者ですね。よろしくお願いします」

「様はいいよ、私のことはノネと呼んで欲しいのネ」

「了解しました。ノネ、よろしく」

「こちらこそ、なのネ」


 従者たちが仲良く挨拶をかわしている。


 俺はヒマつぶしで作った金属モデルとノネを見比べる。

 大きさは同じくらい、だったらやることは一つしかないよな。


 俺は金属モデルの武装をこさえる。しょせんはヒマつぶしだったので、武器など作っていなかったが、光魔法が使えるのならば、アレを作らずにはいられない。


 昔作った物をそのまま再現してもいいが、それでは面白みに欠ける。


 オリジナルを入れてこそ、真の作り手と言えるだろう。


 俺はアクティブが装備しても似合うデザインの大型銃を金属モデルサイズでこさえた。


「なあ、俺はいつから光魔法が使えるようになるんだ」

「契約したら使えるよ、ちょっと待ってなのネ」


 ノネは俺の頭の上にふわふわとやってきた。よく見れば彼女の背中には透明で実体のなさそうな羽が付いていた。繭から助け出した時には無かったので魔法か何かで作り出しているのだろう。


 細い腕を機敏に動かし、複雑な模様を空中に描いていく。


「契約の魔法陣が完成したのネ。私は光の精霊族ノネ・ネオン・ノーネ、我が主となる者よ、貴殿の名を示せ、なのネ」

「この魔法陣に名前を言えばいいのか」

「そうなのネ」

「俺は(みょう)銀一(ぎんかず)()だ。名前はカズマの方ね」

「カズマね、主人の名前はカズマっと」


 名前を告げるとノネが魔法陣に俺の名を刻みこんだ。すると、魔法陣が砕け光の粉となって俺とノネに降り注いだ。


「これで契約は完了なのネ、三年間だけよろしく、なのネ」

「よろしくな、それでさっそくなんだか、アクティブを着てみてくれないか」

「あくてぃぶって何なのネ」

「俺が自作した魔導甲冑だ、シルヴィアが着ているみたいな」

「あの見たこともない鎧、ご主人が作ったものだったの、てっきりダンジョンの戦利品かと思っていたのネ、だって宿ってる魔力がとんでもないのよ」


 やっぱり魔力を感じられる者が見れば一発でわかるモノなのか、今後は内包魔力を隠ぺいする方法も考えないとダメかもな。


 でも今はそれよりも。


「俺が作った自信作だ、それをノネ専用に作ってやるよ」

「私専用」

「そうノネ専用、専用機だ」

「なんか、刺激的な響きなのネ。ご主人お願いしたいのネ」

「おう、まかせろ」


 俺は金属モデルの中をくり抜き、ノネが着られるように改造した。頭部を無くしアンテナをヘアバンドにして、背中のジャンプユニット型バックパックに魔結晶を変形させて押し込み、動きやすいように関節周りをだいぶ削り落としたので原型がわからなくなってしまったが、これが超小型のアクティブアーマーだ。


「できたぞ、試着してみてくれ」

「わかったのネ」


 ノネは羽を消して、胴体、下半身、腕と装備していき最後に専用のライフル型の銃を持てば装着完了である。


「おお、プラモが動いているようだ、リアルプラモ」

「あわわ、これにもすごい魔力が宿っているのネ」

「痛い所はないか」

「ちょっと肩のあたりが、きゅうくつなのネ」

「わかった」


 それからノネの注文を受けて微調整していく、元々が着るために作ったわけではないので、いくつかの修正箇所が出てしまったが、それが終わればノネ専用アクティブアーマーの完成である。


「完成だ」

「さっきよりずっと動きやすくなったのネ」

「ノネ、持っている銃を人のいない方向に向けて、細長い光の魔法ってヤツを使ってみてくれないか」

「お安いご用なのネ」


 ノネは誰もいない後方にライフルを向けて、銃口から光の細長い魔法を発射した。


「お、おおおー!」


 それはまるで銃からビームが発射されたかのような絵柄であった。


「感動です。ありがとうノネ、俺の夢の一つが形となって降臨した」

「おおげさな、ご主人なのネ」

「そんなことは無い。ノネ、ちょっと銃を斜め上に向けてポーズとってくれないか」

「ポーズ、こう?」


 手で動かさなくてもリアルプラモが勝手にポージングしてくれているようだ。


 言葉にするなら、そう『1/60プラモを手の平サイズの精霊に着せたら1/1アーマーフェアリーになった件』である。


 日本にいた頃に流行っていた擬人化美少女をまさにリアルで再現したような、動画を撮って動画投稿サイトに投稿したい、この感動を同好の士と分かち合いたい。


 俺は初めて異世界に転移したことをちょっとだけ後悔しかけたが、日本にいたらこんな感動を味わえなかったので、無いモノねだりだと自覚はある。


「ノネ、背中のバックパックのノズルから光を出せるか」

「ノズルって、この筒みたいなの、余裕なのネ」


 外見だけジャンプユニットのノズルから、まるでロケットエンジンが点火されたかのように光を放つ。


「そのまま、飛べるか」

「光を出さなくても飛べるのネ」

「いや、光を出したままでお願いします」


 まるでジャンプユニットが本物になったかのような演出で空を飛ぶアーマーフェアリー。


「そのままポーズを!」

「こう?」

「おお、かっこいいぞノネ」

「え、私かっこいいの」

「ああ、世界最強だ!」

「せ、世界最強、エヘヘ、いくら私が光の精霊だからって言いすぎだよご主人」


 テンションマックスでノネを褒め称えていたら、ノネも次第に乗り気になってきて、こちらが注文しなくても、宙返りした後にオリジナルのポーズを決めるなどノリノリになっていった。


「なんだそれは!?」


 それからどのくらい時間がたっただろうか、疲労感があったことなど忘れ、ノネと遊んでいたら戻ってきたリンデが金属カラーの精霊が飛び回る姿を見て驚いている。


「紹介しようリンデ、新しく仲間になった精霊のノネだ」

「ご主人のリードフェアリーになった光の精霊ノネなのネ」


 ノネが俺の手の平に舞い降りて、一番お気に入りになった銃を斜め上に構えるポーズであいさつをした。


「え、リードフェアリー、それも、光の精霊って、伝説の精霊よ存在したの!?」

「そして、これこそがノネ専用のアクティブアーマー、その名は『メタルノーネ』だ」

「メタルノーネなのネ」


 テンションが高くなっていて止まらなかった。リンデがテンパって騎士の言葉使いじゃなくなっていたけど、勢いでアクティブの説明までしてしまっていた。


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■製造番号AW-05F・機体名『メタルノーネ』

◇極小級精霊型 ◇カラー「メタル」

◇素材 鉄材

◇機体構成

「コア(C)」上級魔結晶&ノネ本人

「ヘッド(H)」メタルアンテナ

「ボディ(B)」メタルボディ

「ライトアーム(AR)」メタルアーム

「レフトアーム(AL)」メタルアーム

「レッグ(L)」メタルレッグ

「バックパック(BP)」ジャンプユニット

◇武装

・メインウェポン(AR)……光魔法式疑似ビームライフル

◇補足

 コアに魔結晶を埋め込んではあるが、動きのほとんどは装着者のノネ自身がやっている。疑似ビームライフルからビームが出せるのも、空を飛べるのもノネが光の精霊だからである。

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