ナイフ使い、異世界へ!
「んっ……ここは?……」
目の前には白い空間のみで何もない。この白い空間に気が付いたら一人でいた。
「おっ、来た来た」
俺以外誰もいないと思っていたが先客がいたらしい。そちらへ意識を向ける。
「突然ですまない」
その先客は、雰囲気が人間とは違った。黒髪の人間とは思えない美貌を持った女性だった。
「私は……神だ」
俺は神など信じていなかったがなんとなく神であることを理解させられた。
「君に用があって読んだのだが……いいか?」
無言で頷く。いや、頷かざるを得なかった。
「まず君、ここに来るまでのこと思い出せるか?」
「はい」
記憶を遡る。
俺の親は、屑だった。色々なことをされた。手足を包丁で刺されたり、指の生爪を剥がされたり、身体を縛られサンドバッグにされたりした。学校に通わせてもらえず、自分で金を稼いで勉強していた。だがそんな俺でも好きなものがあった。俺の支えはナイフで、ひたすら働き様々なナイフを集めていた、だがそれが親にばれ自分たちを殺すつもりだと言いがかりをつけられ殺された。
「思い……出せたか?」
「……はい」
今まで地獄のような生活をしていたが何かやっと解放された気分だった。
「それでっ!」
俺を気遣ってか少し声のトーンをあげてくれた。
「君を呼び出したのは、転生するきはないかと思ったんだ」
「はい?」
呼び出された?そして自分は消えてしまうものだと思っていたので戸惑ってしまう。
「君の人生は酷いものだった、だから違う世界で生きる喜びを味わって欲しいんだ」
自分の人生をやり直せる、答えは、決まっている。
「お願いします」
この人生をやり直すチャンスを逃すわけにはいかなかった。
「さてっ!白銀 蒼魔君、君はどんな力が欲しいんだ?」
少し考えるあんな生活をしていても友達はいた。その時よく話していたのがどんな力が欲しいかだ。俺は、親から逃げる為の力が欲しかったがこれから行く世界には親はいないとすると……。少し迷い考えを口にする。
「ナイフを買えるようにして貰えませんか?」
「その程度の物でいいのか?」
「はい」
「とすると、他には……ナイフのホルダーを腰と太ももに着けておこう、また太もものは投擲用だから無限に取り出せるようにしておこう」
「ありがとうございます!!」
「よしっ終わったな異世界について教えておこう」
このあと神から説明を受けいよいよ転生の時。
「幸せになれよ」
「ありがとうございました」
目の前が光に包まれる。