表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/362

「第三十八章」「日菜乃は歩き始めた(1)」



翌日から、杏樹は日菜乃の為に動き出した。


田村や露草の意見を聞きつつ、日菜乃の予定表を作成した。

つめつめだった教習所の予定は夏休み最終日までに、普通二輪免許を取れる予定に変更した。


大型二輪免許は、夏休みが開けて、最初の試験期間が終わった後に予定を入れた。


「どうかしら。」

少し得意げに、杏樹は日菜乃の部屋までわざわざ来て、その予定表を見せた。


「ありがとう。」

その得意げな顔が子供みたいで、日菜乃は少し笑ってしまった。


「それともう一つ。」

「なに?」


「夏休みの課題、全然終わっていないんでしょう。」

「半分はやっているわ。」

自分も努力していたことを主張したくて日菜乃はそう言った。


「私も結構今回の件で課題は進んでいないの。一緒にやりませんか?」

「え?学校が違うのに?」

「一人で黙々とやるのが好きなら、無理にお誘いはしませんけど。」

一緒に課題をやろうなんて言い出したのは、叶恋以来で日菜乃は戸惑った。

最も、叶恋の場合は写させて欲しくて来ていただけであるが。


「いいけど、どこで?」


そうですわね~という顔で、杏樹は人差し指を頬に当てて考えた。

図書館は最適だが、夏休みのこの時期はどこも学生で一杯だろう。

かといって、ファミレスは五月蝿いし、喫茶店は長居すると申し訳ない。


静かで、勉強できる環境があって、誰にも文句を言われなくて、二人の距離が同じくらいのところ・・・・。




暫くの沈黙の後、杏樹はパンと手を叩いた。



「教習所よ!」



日菜乃は目を丸くした。

その様子にも構わず、杏樹は続けた。


「貴方も私も、送迎バスを使えばたいして歩かなくても行ける場所だし、お金もかからない。おまけに、空いている教室は一つはあるはずよ。冷暖房完備で、自販機やパンの販売機もあって、勉強してる人が多いから自習室も静かだし、休憩室もレディースルームもあるわ。ウチの教習所は託児所もあるのよ。ま~でも日菜乃は子供は居ないわよね。」

「い、居るわけ無いでしょ!」


「これで確定ね。」

杏樹は自分のアイデアに大満足のようで、何度も頷いていた。


「教習外のことで送迎バスや、教室使っていいの?」

「そこはほら、こう見えてもオーナーの娘なんだから、話を通すのは簡単よ。」

杏樹は胸を叩いた。


「そか・・・・うん・・・・。そうする。」


最初は驚いた提案だったが、改めて考えると助かる話だった。

自宅で一人で勉強などしても、おそらく、色んなことが思い出されて頭になど入らないだろう。


むしろ外へ出て、誰かとやったほうが勉強には集中できる気がしてきた。



(私が家に籠もるのをあまり良いことと思わなくて、杏樹は気を利かせてくれたのかも知れない。)

日菜乃は、そうも思った。




「それに休憩中に他の人の走りを見るのは、きっと勉強になるわ!」

次の瞬間、嬉しそうに手を叩いて杏樹は言った。



日菜乃は少し額を手で覆って考えを改めた。




(この子もただのバイク馬鹿でした・・・・。)






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ