「第三十四章」「日菜乃と叶恋とアールさん(4)」
「元気にしとったかいな。」
「はい。今、二輪免許の真っ最中です。」
「なんか、悪い事したな・・・いろいろ押し付けてしもうて。」
「いいえ、自分で選んだ選択なので。むしろ、お孫さんのバイク、任せてもらって嬉しいです。これから色々ご迷惑もかけるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。」
もう一度、日菜乃は深々とお辞儀をした。
叶恋のお婆さんは、すこし残念な目をした。
この子は大人になってしまった。
もう、叶恋とふざけてバイクを洗っていた子供とは違う。
今回の色々な出来事が、この子を無理矢理、年齢不相応な大人にしてしまった。
無邪気な日菜乃はもう何処にも居ない。
その事が、老婆には悲しく寂しかった。
「ええから、中に入んな。」
そう言ってお婆さんは家の中へ入っていった。
日菜乃は少し早く来すぎたようで居間に通されてお茶を出された。
それにしても間もなく10時である。
(二人は遅れているのだろうか・・・・)
ちらっと時計を見た日菜乃に気がついて、お婆さんは言った。
「他の人はまだけーへんよ。ウチラのために時間とってくれたんや。」
「え?」
「これからのバイクのことについて、話し合う時間くれはったんや。」
「そうですか。」
二人はそのための時間を開けてくれたのだ。
「明日からバイクはあんたの名義になる。それはこちらの希望やったし大歓迎や。ただ、杏樹ちゃんの話やと、それはそれで日菜乃ちゃんには問題有るんとちゃうんやろか。」
よく意味が解らなかった。
「バイク・・・置いとく場所や。」
その言葉に、日菜乃はドキッとした。
考えていなかった。
家のガレージは父親の軽自動車で精一杯で、バイクなど置くところもなかった。




