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「第二十二章」「バイク用品店(4)」



「叶恋はどんなのにするの?」

「ウチはコミネのレディースか、奮発してシンプソンっていうブランドの女性向けのエンジェルハートっていうブランドかな~。ピンク入っている奴にするわ。」

「ええええ。ピンク?」

その声に叶恋の目が細くなった。

「なんや。ウチにはピンクが似合わんて言いたいんか。」

「いえいえ、そうじゃないけど、なんとなくイメージ的に男勝りというか女と思って舐めないでよね。みたいな雰囲気あるから、てっきり男性みたいな格好にするのかと思っていましたわ。」

あわてて杏樹は取り繕った。


「か~乙女心を解ってヘンな~。ウチにも可愛いとこはあるんやで。バイクのジャケットにちょいピンクくらい入れて女の子アピールもしたい年頃なんや。」

「そ、そうでしたか・・・・。」

いずれにしても端正な顔立ちである。

父の言っていた、バイク界での若い女の子の超絶過疎化状態の中に、叶恋のようなボーイッシュではあるが、若くて端正な顔の少女がピンクの入ったジャケットなど着ていたものなら、何十年も女性に縁のない禁断状態の中年バイク男どもが、軍隊アリが押し寄せてくるように群がって来るだろう。


その性格故に、簡単に叶恋に駆逐されてしまうであろうが・・・・。


「わたしも地味なのは嫌ですから、多少デザインは残念ですが、ブルー系の入ったものにしようかしら。」

「なんや、杏樹の方がピンク大好きそうなイメージ有るけどな。」

「逆にバイクでまで女の子出したくない感じですわ。かといって男性みたいなのも嫌ですけれど。」

「なるほど~そういうもんかいな。」


結局、二人は3時間かけけて、バイクジャケットと追加交換用のハードプロテクターなどを買い込んだ。


さすがに女子高生二人の買い物は長い・・・・。

すこし待ちくたびれた父親が車で待っていた。


車に乗った二人はまた話し始めた。

「あとはヘルメットに、グローブに、ライディングシューズですわね~。」

「何言うてんねん。ツナギはねーちゃんの借り物って言ってたけど、ヘルメットとグローブとブーツは、ごっつうええん持ってたやん。」

(う・・・あれですか・・・・)


あの一件以降、あまり着たくはなくて部屋に放置していいたが、たしかにツナギ以外はさほど文句はないアイテムたちであった。安全性も高いし、買ってくれた父親にも、全部使わず買い直させるのも忍びなかった。


「そうですわね。あれでいいですわ。」

その言葉に、運転席の父親は、嬉しそうにホッとした顔を見せた。


「それにしてもガエルネのレーシングブーツとかほんま羨ましいわ~~。」

「そ、そう。叶恋も好きなブランドなの?」

「う~ん好きやけど、試着したらうちの足の形には今ひとつ合わへんのや。悔しいわ~。」

「それは残念ですわね~。」


「よかったらだけど、明日にでも叶恋ちゃんの靴選びに何店舗か回ろうか。ここも含めて。」

軽く後ろを気にしながら父親が言った。


「嬉しいけど、うちは予算がきつくて、靴までは手が回りまへん。ほんとはあかんのやけど、普通のブーツでなんとかしますわ。」

「だめよ、あれだけ安全のこと私に言うのに、危ないじゃない。」

「そ~はいってもな~、ヘルメットとブーツだけは安いのでも高すぎてもう少しバイトがんばらんと買われへんわ~。」


「いいバイトが見つかるといいね。」

父親は笑顔でそう言った。




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