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「第二十二章」「バイク用品店(3)」



まるで電気の大型量販店のように電気の煌々と輝く店内。

県内最大の販売店ということで、とんでもない量のアイテムが展示されていた。

ヘルメット、グローブ、バイクパーツ、タイヤまで。


杏樹が希望していたライダースジャケットとパンツも、様々なブランドの商品が多数展示されていた。

化学繊維のものから合成皮革や本皮まで、様々アイテムが、それこそ数倍の値段差で、様々に展示されていた。


「ウチもこの店は前から来たかったんやけど、歩きだと遠すぎてな。それにしても凄い品揃えやで。」

かなり叶恋はテンションが上っていたが、逆に一番来たかった杏樹のほうが、テンションは微妙であった。

「なんかこう前回も思ったけれど、似たようなのが多いわね。」


多少のデザインの違いやロゴののデザインは違うものの、確かに似通った色合いばかりであった。

バイク乗りからすれば、逆に安定して安心できる色合いなのだろうが、お金持ちのお嬢様でしかもオシャレに一番気を使っている女子高生には、さすがに単調なデザインと色合い過ぎた。


「そうかな~。こんなもんやと思うけどな~。」

「こんなに似たようなのばっかりだと、選ぶのに苦労しそうだわ・・・。」


よく考えてみれば、こういう時のために叶恋を呼んだのである。確かにそれは呼び出す理由に過ぎなかったが、せっかく居てくれるのだからアドバイスを聞かない手はない。


「どれがいいかしら。叶恋のおすすめとかはない?」

「個人の趣味の世界やからな~。難しいところやけど、ま~私ならコミネにするな~。」

「あ~この辺のたくさん並んでるやつですわね。選んだ理由は?」


「まず、コミネがプロテクターが一番しっかりしとる。強化樹脂に衝撃吸収材ついとるハードタイプやからな。結構どのジャケットにも強度の高いプロテクターが付いとるから、あとは追加で買い足したり、背中のプロテクターもハードプロテクターとかにすれば、かなり安く安全な装備になるで。安全でとにかく安いのが最高やわ。それにレディース用のサイズもどのメーカーよりも取り揃えてるんや。」

「へ~そうなんだ。」

いくつかデザインのあるコミネのジャケットを、杏樹は見て回り始めた。

「メッシュみたいなのと化学繊維なのと革なのは、どれがいいの。」

「これからの季節考えると、ハーフメッシュかフルメッシュかな~。」

「この網みたいな奴ね。でもこんなので転んで大丈夫かしら。」


「むしろ初心者はあんまりレザーはいらんと思うで。革は速度出てて滑ったりする摩擦にには凄い強いけど、初心者がバイクが滑っていくような速度で転けへんやろ。どっちかというと立ち転けとかエンスト転けで、低速か止まって転けることが多いんやから、プロテクターしっかりしてて軽いメッシュでええんやないか?革はむっちゃ高いしな~。ウチなら候補にもあがらん値段や。」


そう話している叶恋の背後から「これは良いよ!」という顔で、黒い革で高そうなツナギの上半身みたいなのを持ってこようとした父親が居た。

杏樹がとても残念そうな顔で睨みつけると、父親は商品を手にとぼとぼと戻っていった。



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