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「第三章」「はじめてのバイク屋(1)」


一年点検のバイクを取りに行くのに、叶恋が歩きだからと付き合うことにした。

叶恋がバイクで日菜乃は自転車という関係上、高校に入ってから、一緒に帰るというのは入学直後の数日だけだった。


自転車を押して歩く自分の横を、高校の制服を着た叶恋がニコニコ話しながら歩く姿は新鮮だった。

主にバイクの話というのが残念ではあったが、それは今に始まった話ではないので慣れっこだった。


「ぐりっぷ」とか「とらくしょん」や「さすぺんしょん」などの意味不明な単語が次々に叶恋の口から飛び出してきたが、これだけマシンガンのように単語が出てくるのに、叶恋の英語の成績は何故あんなに赤点続きなんだろうと疑問を持たざるをえない。

おそらく、英単語に触れる機会は叶恋の方が数倍多いだろうに。


「あ、あそこやで~。」

叶恋が目的地のバイク屋を指さした。

まだまだ遠方で全容は見えてこない。


言うまでもないが日菜乃にとってバイク屋というのは初めての経験だった。

大きなバイク屋が大きなショーウインドウの中にバイクを数台並べているのはたまに見かけることがあったが、叶恋がバイクを購入したのはこじんまりとした個人店のようだった。


日菜乃の脳内イメージでは、薄暗い狭い室内で、壊れた部品が山積みになっていて、ホコリを被った動くかどうかわからないパイクがいっぱいあって、頑固で無口で怒鳴ると怖いオヤジが店長という感じだ。


おそらくは叶恋がいなければ、絶対に関わることも入ることもないような店だろうし、一般の女子高生からすれば、人生を終えるまで、そんなところにバイク屋なんてあったかな?という感じであろう。


(私は部外者だし変なこと言って怒鳴られないようにしないと・・・・)

日菜乃は小さく身震いした。


そんなことを思っている間に、バイク屋の前に到着した。


小さい店ではあったが、ガラス張りで綺麗で、中にもピカピカのバイクが所狭しとギチギチに並べられていた。

(すごい、こんな複雑にどうやって並べたのだろう。)

日菜乃は最初にそれに感動した。


「こんちわ~~。」

そう言って叶恋は自動ドアをくぐって行く。

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