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売れないバンドが異世界転生したら大人気バンドになりました  作者: 名古屋 大八
異世界転生しました編
1/6

プロローグ

初めての連載作品となります。よろしくお願いします。

 俺の名前はTAKI「Blowing out satisfaction」というバンドのボーカルをしている。俺たちのバンドは結成から6年でついに、メジャーデビュー直前と言われるくらいまでに成長した。


 そして現在、3バンド合同の対バンツアーをしている。


 1つ目のライブハウスから、2つ目のライブハウスに移るためワゴン車で真夜中の首都高を走りながら、俺たちはライブの反省をしていた。


「なにが、いけなかったんだよ!」


 と叫ぶのはドラムのRYUYA


「仕方ない、俺たちの実力不足だ」


 と冷静に分析するのが、ベースのMASAFUMI。


 こう、みんなが荒れてるのは、1つ目のライブハウスでのライブは、大失敗に終わったのだ。俺も途中から歌うのが辛かった。そうなった原因はいろいろあるが、やはり対バン相手の「MILKY HEAVEN」の雰囲気に飲み込まれたのも、原因だと言える。


「MILKY HEAVEN」は俺たちと同じくインディーズバンドでありながら、ワンマンライブツアーでは、総動員数が5箇所で、1万をこえる大人気バンドだ。それに対して俺たちは、8箇所で、1000人超えないほどだ。俺たちは、実力の差を思い知った。


 それぞれが、敗北感にうちのめされて車内はカーステレオからの音楽しか流れてなかったが、運転中のギターのKAZUNORIがその静寂を破った。


「次頑張りましょう、次こそ盛り上げれますから」


「そうだよな」


「できるよな」


「俺たちの音楽で盛り上げよう」


 と俺たちが、やる気が出ていたところ、車内が突然明るくなった。後ろを見ると物凄いスピードで走るトラックが迫っていた。そして、俺たちの乗っていた、ワゴン車にものすごい勢いで、衝突した。アスファルトに投げ出された俺たちは、この怪我の具合から死ぬことを悟った。


 しかし、全員


「「「「ここで終わりたくない。」」」」


 と思ったのだ。その願いは、叶うことなく俺たちは息を引き取った。


 ――――――――――――――――――――――――


 はずだった。目が覚めるとなにもないところにいた。死ぬとこうなるのかと思った。周りには、なにもない。自分の体すら見えない、ただ概念だけの存在になっていた。


「聞こえますか、稲沢(いなざわ)汰樹(たき)。いや、TAKI」


 どこからか、声が聞こえた。ちなみに稲沢汰樹というのは、俺の本名だ。


「聞こえてます!」


 概念だけの存在だった。このままずっと漂い続けるかと思った時に、声が聞こえたのが、嬉しくて前のめり気味に反応してしまった。


「TAKI、あなたはバンドマンとして活躍するという夢を叶える前に死んでしまいましたね」


「はい、そうですが。ところで、あなたは誰ですか?」


 と聞くと声の主は、


「女神です」


「女神様が、来たということは、もしかして俺生き返れるとかするんですか!」


 とノリノリで聞いたところ女神は、


「無理です」


 少し期待し好きたかもしれないと、へこんでたとこで女神は、


「ただし、あなたの死ぬ間際の願いは、とても力強かった。なので、それを叶えます」


 死ぬ間際の願い。それは、何だった思い出してみる。痛い苦しいなどの感情の中抱いた願いは、


『ここで終わりたくない』


 しか、思い浮かばなかった。


「やっぱり生き返らせて、くれるんじゃないですか。」


「だから、それは無理です。でも、その代わり異世界で転生させてあげます」


「もしかして、転生ボーナスでものすごいチート能力とか、ハーレムになれるとか付くんですか?」


「そんなものは、付いてきません。アニメの見すぎです」


 とんでもないな、この女神。異世界に裸で放り出す気だぜ。


「安心してください。チート能力なんかは、ないですが。あなたの仲間は一緒についてきてくれます」


 仲間が付いてきてくれる、それなら安心した。俺たちのバンドは最高で最強だ。きっと異世界だって乗り越えられる。


「それなら、大丈夫そうです。女神さま」


「それじゃー異世界に送りますね」


「最後にお願いがあるんですけど、いいですか?」


 すると、女神はにこやかな声で


「度を越さなければ、いいですよ」


「俺の相棒を一緒に連れていかせてください」


 俺の相棒、それがあれば異世界でも歌える。


「相棒とは誰ですか?」


「人じゃなくて、マイクです。俺のマイマイクです」


 俺のマイマイクは、バンド結成当時にメンバーがくれたものだ。それから、俺はそのマイクでどんなライブも歌い続けた。だからこそ、異世界にも連れていきたい。


「いいですよ、目が覚めたら、胸のペンダントを触ってください。それで、マイクを呼び出せるようになります。」


「本当ですか。ありがとうございます」


「それでは、TAKI異世界に行く準備は大丈夫ですか?」


「OKです!」


 そして俺は何も無い空間に飲み込まれた。



 ――――――――――――――――――――――――


 目が覚めると白い天井があった。

 そして、近くから声が聞こえる。


「MASAFUMI、RYUYA! TAKIが起きたよ」


 この声は、KAZUNORIだ。


「おっせーぞTAKI」


「悪いな、RYUYA」


 と握手を交わす。


「女神から、事情は聞いたか?」


「大丈夫だ。MASAFUMI」


 そして俺は、「Blowing out satisfaction」のリーダーとしてメンバーに質問した。


「俺たちは、一度死んで異世界に来た。なにをやってもいいと思う。でも、俺はお前達とこの世界で『Blowing out satisfaction』としてバンド活動をしたい! お前達はどう思ってる?」


「「「当たり前だ、やるに決まってるだろ!」」」


 即答だった。


 俺が目覚めた部屋は、約15畳ほどの部屋に、各々のベッドがあるだけの部屋だった。その部屋の広いスペースに立って、俺たちは胸のペンダントを握った。


 すると、なにかが流れる感じがして俺の手には、愛用のマイクがあった。メンバーの手にも各々の楽器があった。


 そして、RYUYAがドラムの音を部屋に響かせた。MASAFUMIとKAZUNORIもベースとギターを弾き始める。俺は、息を吸い歌い始めた。


 歌う曲の相談も楽器の調整もしてない。でも、歌いたかった、弾きたかったんだ。この『New World(ニューワールド)』という歌を。


 この歌は、そもそもは俺とMASAFUMIが22歳を超えて、周りの同級生が社会人となった時に彼らを応援するために作った歌だ。そして、今の俺たちの状況にぴったりだと思ったのか、全員がこの曲を選んだ。


 MASAFUMIの音が乗っている。それだけでない、RYUYAも調子がいい。KAZUNORIなんて、いつも以上にノリノリだ。俺も自分の歌が今までで、一番いいのではと思えるくらい調子がいい。そして最後のワンフレーズをこの調子で歌う。


「新しいこの世界を希望いっぱいで前に進むんだ」


 完璧だ。俺たちの異世界の初演奏は、客はいないが最高のスタートをきった。

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