王宮にて
三人称風に書いてみました。
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「王女殿下、大変です。今から神子様がいらっしゃるようです」
勉学が終わり、自由時間になっていたので、精霊様たちが出てくる絵本を読んでいた私に、侍女が慌てた声でそう告げた。だが、それはありえない。
「マリー、神子様は、カルリオン家の領地に行ったのよ。王都に来られるわけはないでしょう?」
神子様は、今はこの王都にいない。出発の前に一度会いたかったのだが、その願いは叶わなかった。
「精霊様のお力を借りて、神子様単身で、こちらにいらっしゃるようです」
「どういうことかしら?」
精霊様のお力は、偉大だ。高位の精霊が、一度その力を振るえば、人間など、塵芥にも等しい。その力を借りて、王都に来る。流石は神子様だ。
「詳しいことは、わかりません。ですが、我が国の守護精霊である、太陽の精霊様から、伝えられたのです。今から、王女殿下の顔色をうかがいに来ると」
「守護精霊様からお伝えされたのですか?」
どのような事だろうか?偉大なる我が国の守護精霊 太陽のマルグリットでさえ、神子様の前では、ただのメッセンジャーに過ぎないとは……同じ神々の加護を受けたものとはいえ、流石は神子、流石は精霊神。畏怖の念を感じざる負えない。
「そのようです。『コンコンコン』「王女殿下、お入りしてよろしいでしょうか?」
「下がりなさい、マリー。どうぞ、メイド長」
神子様に、お会いするにはこの豪奢だが、シンプルなドレスは、あわないだろう。どのような、ドレスにしようか?
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「ふぅ、やっと出れた」
私、マリーは、大きく深呼吸をした。第二王女付き侍女になってからは、王女殿下に、退室を命じられた時ほど、安堵する瞬間はない。
王女殿下は、決して暴君ではない。むしろ、おっとりしていて優しい、理想な主だとも言える。だが、立ち上る雰囲気は、決して心安らぐものではない。呼吸ができないほどの、神々しさで、顔を直視することすらできない。王女殿下を直視することができる人物は、両親である陛下と妃殿下、婚約者である神子様だけだ。
「今日は神子様が、おいでするんだよなぁ」
物凄く気が重い。別に、神子様が、どこぞの甘やかされた令息たちみたいな傲慢で、わがまま放題な性格をしているから、というわけではない。王女殿下と一緒でいや、それ以上の神々しさで、呼吸が止まりそうになる。ほかの侍女は、神子様に会えて羨ましいと言ってくるが、あった瞬間倒れると思う。
容姿能津久井差は、美しい容姿が多いとされるこの国でも随一、だが、そんなことは関係ない。本当に人間ですか?実は神だったりしませんか?と聞きたくなるような、呼吸が止まるほどの神々しさの前で、立っていられる人間がどれくらいいるのか、と聞きたくなる。あの神々しさの前だと、まだ王女殿下は、人間の範疇だ。神子様のように、神々のほうに近い感じはしない。
「マリー、神子様が、いらっしゃるお茶会の準備早く手伝って」
「今から行くー」
こっそりのぞいて、倒れる侍女が出ないといいけど・・・・・。




