【第2話】各階層の王
当分の間、更新は週2回になると思われます
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注)文中に出てくるゲームや漫画の批評は、あくまでも作者個人の感性によるものです。批判はご容赦下さいw
「魔神王様!?どうされました!?」
ブライト君が血相を変えて部屋に飛び込んでくる
「ブ、ブ、ブライト、これ…現実なのか?違うよな?夢だよな?」
夢だ、夢だと言ってくれ…
「魔神王様、これは夢ではありません。れっきとした現実でございます」
Oh…目眩がする
「魔神王様、しっかりして下さいませ!」
そのまま、またベッドに座り込んでしまう
「魔神王様…」
「ブライト…マジかよ?俺、本当に魔神王なのか?」
「…カイゼル様は紛れもなく、この魔界全ての王、魔神王でございます」
目の前にいるイケメン執事ブライト君が真面目な顔で言う
…どうやら本当に魔神王として生きていかないといけない様だ
「ブライト君…」
「ブライトとお呼び下さい。あなたは魔神王様なのです。配下に敬称を付ける必要はございません」
………
「ブライト、俺は記憶が全くない。力の使い方とか魔法の使い方とか全くわからないんだ。どうすればいい?」
「魔神王様の書室にはご自身が執筆された魔界の歴史書や魔法教本・武術教本、更には禁書まで多数保管されておりますし、この城の書庫には魔界中から取り寄せた蔵書が山の様にあります」
あ、そう言えば俺の趣味:読書・執筆活動だったな
「とりあえず、自分の書いた物から読んでみるか…」
「それがよろしいかと思います。ご自身で書かれた書物を読み返す事で失われた記憶も戻ってくるかも知れません」
まぁ、記憶がないって言うか、全く別人だからな
ブライトには言えないが、記憶を取り戻すと言うよりは力の使い方を覚えると言う感じか
「各階層の王がこの城に来城するまで2週間あります。少しでも記憶が戻ると良いのですが…」
「…そうだな。分からない事があれば都度細かく聞くかもしれん。迷惑をかけるがよろしく頼む」
「はっ!喜んで!いつでもお聞き下さい!」
よし、言質は取った。あとは2週間でどれだけ魔法とか覚えられるかな…
ちょっぴり楽しくなってきた
しかし、まぁ転生と言うなのべきか、精神を乗っ取ったと言うべきなのか…
何にしてもこれからはファンタジー全開の世界で、しかも魔神王と言う魔界のトップとして生きていかないといけない
地球で生活してた時から、開き直りの早さには自信るけども
さすがにこの状況はちょっと焦るものがある
と言う事で各階層の王が来るまで2週間の間、書室にあった魔法教本・武術教本・禁書の大半を読み漁った
不思議な事に、自分が書いた事になっている本に関しては1回読めば内容を全て理解出来た
おかげ様で自分が書いた本に載っている魔法に関しては全て使える様になったし、武術教本に書かれている武術の習得も全く問題なかった
ブライトと1度模擬戦をしたが、圧勝だったので問題はないだろう
魔界と人間界の歴史に関しての書物は、時間もなく概要はブライトから聞いていたので、後回しにしたが恐らく何とかなるだろう
そして2週間が過ぎ、各階層の王と初顔合わせの日がやってきたのだった
イシュターク城:会議の間
そこには《異形のモノ》が5名集まって、思い思いに話をしていた
「《魔人王》よ、此度の召集は魔神王様がお主の不手際にお怒りのせいかも知れぬのぉ?」
「………返す言葉もない」
「《魔獣王》!小童を苛めるでないわ!」
「がはははは!相変わらず《魔海王》は《魔人王》に優しいのぉ」
剛毅な笑い声が会議の間に響く
「《魔海王》も《魔獣王》もやめたら?魔神王様がそんな些細な事で《魔人王》を責める事は無いってわかってるでしょ?」
「《魔導王》の言う通りだ。恐らく此度の召集は魔神王様が記憶を失われた事だろう。その件に比べたら第1階層を奪われた事位些細な事だ!」
《魔龍王》が発した言葉に一同が沈黙した瞬間、会議の間の重厚な扉を開いた
「出迎えよ!魔神王様がおいでになられた!」
ブライトが一喝すると全員が立ち上がり頭を下げた
「各階層の王達よ、此度の召集によく来てくれた。まずは全員座ってくれないか?」
立ったままの5人に着席を促す
座った5人はお互い目配せをし、5人の中ではリーダー格なのであろう《魔龍王》が口を開く
「魔神王様!ブライト殿よりお記憶を無くされたと聞きました。お元気な姿を見れてホッとしましたが、お記憶は戻られたのでしょうか?」
「《魔龍王》、それに他の王達もだが心配をかけて済まんな。身体はすこぶる元気なんだが、如何せん記憶は未だ戻っておらん」
その報告に5人全員が悲壮な顔を浮かべる
「しかし心配はいらん。書室にあった自分が書いた書物を読んで力の使い方などは何とか思い出した」
「それだけでもよろしゅうございました」
5人の顔に安堵の表情が浮かぶ
安堵の空気が会議の間に広がるも、突然《魔人王》が席から立ち上がり、俺の前でいきなり土下座をし始めた
「どうした、《魔人王》?」
「この度、人間界の勇者一行に第1階層の管理者が倒された事、誠に申し訳ございませんでした!」
あぁ、その事か…
「《魔人王》、面をあげよ」
「いえ、まずは勇者を血祭りにあげ、その首をここにお持ちするまで魔神王様のご尊顔を拝する訳には…」
重いわっ!と思わず言いかけてしまう
「《魔人王》、俺は『面をあげよ』と言っているのだ」
その言葉に恐る恐る顔をあげる《魔人王》
「別にその件を咎め立てするつもりなどない。ブライトから話を聞いたが、勇者と言えど然程我等の驚異じゃないんだろ?取り返そうと思えばいつでも取り返せるんだ、気にする事はない」
この重い空気を破壊するべく、なるべく優しく笑顔で言う
「はっ…」
にも関わらず、何で《魔人王》だけじゃなく、皆顔が強ばっているのかねぇ…
「魔神王様のあの笑顔…まさか勇者をご自身の手で殺す気か?」
「いや、最早人間界そのものを破壊するつもりなのかも知れぬ」
「この召集の真意はそれなの?」
「ふむ…遂に人間界を滅ぼす時がきたのか」
なんでやねん
元々の魔神王はそんなに怖いキャラだったのだろうか
「皆も知っての通り、俺は記憶を失った。書室にあった本を読んで力の使い方なんかはだいぶ思い出したが、如何せん今までのお前らとの関係まで思い出した訳ではない。今日、召集をかけたのはそう言った事をお前らに聞きたかったんだ」
見た目で誰がどの階層の王だとかはわかるが、名前や性格まではわからない
「では、我々が魔神王様とお話すれば良いのですか?」
「あぁ、当然他の王に知られたくない情報もあるかもしれないから、1対1で話し合いたいと思ってる。異論はあるか?」
異論はない様で皆が首を横に振る
「まぁ、話をする事で俺の記憶が戻るかも知れないんだ。その手伝いをするとでも思ってくれ」
「「「「「はっ!」」」」」
まぁ、戻るとは思わないけどね
「と言う事で今から個別に話をしたいと思う。階層順で話をしていきたいから…まずは《魔人王》からしようか?」
「はっ!」
「じゃ、魔人王は書室に来てくれ」
個人面談スタートだぁぁぁぁ