私のお仕事はメガネです!
ああ、ついにその時がやってまいりました。
今日は主が眼科に行く日です。
やはり、私は捨てられてしまうのでしょうか?
今、主は検査を受け説明を聞いておられます。
ああ、どうやらお話しが終わったようです。
これから、徐々にコンタクトを慣らしていく
そう決まったようです。
主がコンタクトをつけています。
主は見えるようになってうれしそうです。
けど、まだ怖そうにつけておられます。
・・・私のことは、忘れているようです。
主が外から帰ってこられました。
主がスタスタと私の方へと歩いて来ます。
「・・・ごめんね、メガネさん。」
いきなり主がそう切り出します。
私は遂に来たか!と身構えます。
「やっぱり私メガネさんのこと好き!
メガネさんのことを捨てるなんてできないよっ!」
そう主がおっしゃいました。
え?どうして私にそんな事を言うのでしょう。
私は、主にとってはただのメガネで
私に意思があるなんて知らないはずなのに。
どうして、さん付けなんてするのでしょうか?
「メガネさん。気づいてた?
私、あなたの心の声、全部聞こえてるんだよ。」
主が衝撃的は事実を口にします。
「っつ!どうして!?
人間には、聞こえないはずなのに!
それに私は一言も喋っていないはずっ・・・!」
私はびっくりしてつい言葉にしてしまいます。
「なんでだろうね?
他のメガネの声は聞こえないんだけど
あなたの声だけは、はっきりと聞こえるんだよね。」
「そんな・・・馬鹿な・・・」
「最初はね、空耳だと思ってたんだ。
けど、しばらく聞こえない
振りをしていたら分かったの。
この声はあなたの声だって。」
「あるじ・・・様・・・」
「それからは、ずっとあなたの声を聞いて来た。
メガネさん達の世界の事も聞いた。
それで、人間に話しかけちゃいけないものだって知った。
それなら仕方ない。
って、思って今まで黙ってたけど
メガネが人間に話しかけちゃいけないってことは
人間からならいいってことでしょう?
だから、私はメガネさんに謝る。
ごめんなさい。
コンタクトなんかに乗り換えようとして。
そして、できればこれからも仲良くして欲しい。」
そこまで、一息に言い終わると主は私の言葉を待つ
「・・・っつ!はいっ!そうさせてくださいっ!
私も主のことが大好きです!」
「ありがとう!メガネさん。
これからもよろしくね。」
「はいっ!よろしくお願いしますっ!」
こうして、私のメガネ生活は奪われずに済んだ。
それどころか、憧れていた
主とお友達になることができた。
私は何という幸せ者なのだろうか。
ああ、願わくばこの幸せが永遠に続きますように・・・