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少年Aと少女Bの逃避行!

編集の関係上投稿が遅くなりました。申し訳ありません。

「さて、帰りますか」


「ええ」


 生徒会室を出てから数分、西山先生先生にプリントを渡して、俺と東城は帰路に着く。


「東城、眼鏡を外してみてどうだ? 何か変わったか?」


 元々、俺が外せって言った様なものだったから、気になっていた。少しでも負担になってるんだったら――


「……少なくとも、あなたが危惧しているようなネガティブ面ばかりではありませんよ。無いとは言いませんが」


はっきりと答える東城を見る限り、どうやら杞憂だったようだ。


「まあ、すぐに打ち解ける事は出来ませんけど、きっかけにはなりました。……あなたのお陰よ。ありがとう、藤原君」


「たいした事はしていないさ」


 東城が変わろうとしている。でも、俺はただのきっかけで、変わろうとする事が一番大事なことだ。みんな、完璧な訳ではないけど、いい方向に向かおうとしなければ、何も変わらないのだから。

 ――なんて事を考えていたら、東城が笑いかけてきた。


「本当に、あなたは謙遜が好きなんですね。」


「……よく言われるよ」


 隣で歩いている東城の声は明かるい。迷惑になってないなら、それでいいか。


「……でも、藤原君。フィリスさんとの同居している

、というは本当何ですか?」


「ああ。いつかは言わなきゃいけない事とはいえ、初日からバレるとは思ってなかったよ」


 ――別にフィリスを独り占めしたいと思っていた訳ではない。ないったら、ない。ただ龍平達との衝突を避けたかっただけだ。


「あの、その……い、色々、問題とかありませんか? だ、男女の同居ですし、ええと……」


 しどろもどろになりつつも、俺とフィリの同居の県が気になるようだ。珍しいな、そんなにフィリが?心配なのか?


「同居を始めて一週間、確かに問題はあったかもしれないけど、上手くやってるよ。少なくとも、東城の心配している様な事はないよ。よく分かんないし」


 ――色恋沙汰なんて、よくわからない。彼女が欲しくないのか、と龍平に聞かれても、上手く返せなかった。茜は勘違いして告白してきたこともあったけど、断るしかできなかった。少なくとも、曖昧な気持ちで向き合えないから。


「そ、そうですか。なら、いいんですけど。くれぐれも気を付けてくださいねっ!?」


「信用ないなぁ」


 ――どうも最近、俺はあまりみんなから信用されてないみたいだ。心当たりは全くないのだが。


「……私の時の調子で、人をからかってそうですし」


 ――なんだ? 小声で何を言ってるか聞こえなかった。


「では、私はこちらですので」


「ああ、じゃあな」


 東城の家は反対方向にあるようだ。軽く挨拶してそれぞれの道を歩きだした。




 ――数分後、何やら複数人の男子にナンパされている女子高校が見えた。男達は俺より少し年上に見えた。髪は金に染め上げられていて、首にはチェーン、襟ポケットからは煙草の箱が顔を出している。あまり好好印象を受けない様な集団だ。

 最初は通り過ぎようと思ったけど、制服とリボンの色から、同じ高校の同学年だと知り、少し覗いてみる。


「ねぇ君、道に迷ってるんだろ? 送ってあげるよ」


 龍平でも使わなそうな手だな、今時。こんなのに引っかかる訳――


「……本当?」


 引っかかったらダメだろ! 何、人を疑えない程優しい子なの? ものすごくデジャビュを感じるんですけど……あ、あれか。フィリに行った、龍平講義か。って、待てよ。フィリだって?

 俺の頭の中に浮かんだのは、最悪な状況のビジョン。人違いであってくれと願いつつ、その女子高生の顔を覗きこむ。


 ――案の定、そこにいた女子高生はフィリだった。――




「さて、プランを考えよう」


 現状、目の前にはフィリと、3名の男子(大学生っぽい)。どういう流れかは分からないけど、フィリがナンパされている。

 正直言って、喧嘩して勝てる自信は全くない。俺の得意なことは思い浮かべると、あんまりない。

 しかし、フィリの方はこの状況に少なからず嫌悪感を感じているらしく、離れようとしている。でも上手く振り払えないでいる、かくなる上は……




 ――「なぁ、なんで一緒に来ないんだ?」


「俺らを一緒に遊ぼうぜ~」


「バーカ、お前らはがっつき過ぎてっから、嫌われてるんだよ」


 ――この人たちは、龍平(?)さんにそっくりで、でも何かが違う。あの人は多少悪ふざけもしていた気がするけど、この人達から感じるのは悪意だけだ。早く家に帰りたかったから、道を道を聞いただけなのに、ここまで執着してくくるなんて思ってもいなかった。

 どうしよう、聡のお手伝いがしたかったのに、これでは迷惑以外の何でもない。私はどうしたら――


「あー、ごめん、ごめん! 待たせちゃって。」

「「へっ!?」」


 場違い、と言ってもおかしくない私の周りにいた人たちが、呆けた声を挙げながら声のした方向を見る。

 そこには、いつも以上に爽やかな顔を作っている聡がいた。――




「ごめんなー、フィリ。ちょっと野暮用で龍平に付き合わされてたんだよ! だからさ、機嫌直して! ほら、帰るぞっ!」


 いきなり俺が現れたせいか、フィリはまだ状況が把握できていない。男たちからの視線が俺達に集まる。まあ、いきなりこんななれなれしい話し方をするやつが現れたんだから、当然の反応とも言える。


「……聡?」

「さて、とっとと帰るぞっ!」


 こんな風に出て来といてなんだけど、プランなんて全くない。周りがあきれている内で退散あるのみっ! フィリの腕を握って早足で歩き出す。


「おい、ちょっと待てよっ!」


「……何ですか」


 リーダーっぽい男が話しかけてきたのを、俺はそっけなく返した。


「何なんだよ、てめぇ! いきなり現れて、女の子持っていきやがってっ! 覚悟はできてんだろうな?」


 まあ、そうなるわな。他の男達も今にも迫ってきそうだ。やばい、背中に汗があふれてきた。


「覚悟? そんなものは、出会った時から出来てるっての!!」

「んなぁ!?」

「待ちやがれっ!」


 問答無用でフィリを引っ張って駆けだした。後ろの男どもに目をくれてやれるほどこちらに余裕はない。ただただひたすらに逃走するだけだっ!


 追ってくる男たちの罵声を聞きつつ、俺たちは全力で逃げ続けた。……いつまで続くんだろうなぁ、これ。


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