後編
7月某日、新しい法案が生徒会で可決された。
それは男子生徒のトイレの使用を禁止する、という恐ろしいものだった。
恐ろしいものだったが、生徒会は誰一人この案件に反対しなかった。
そもそも彼女たちにとって、男子はみな等しく汚らわしい害虫同然なのである。
「それでは男子トイレは今後、女子トイレとして再利用する、ということでよろしいかな?」生徒会長はすらりと伸びた足を優雅に組みなおして、円卓を囲んで座る仲間たちの顔を見回した。
「賛成ですわ。あんな下半身でしか物を考えられない低俗な輩にトイレなんて貸し与えたら、何をしでかすか分かったものじゃありませんもの」
でしゃばりな副会長はウンウンと首を縦に振って、賛同の意を表す。
彼女の会長に対する忠誠心は相当なもので、実はここだけの話…彼女は内心、会長お気に入りの豚にすら嫉妬していたほどである。
「それでは早速、この張り紙を校内の至るところにはってきてもらおうか……」
六法全書並にブ厚くなった紙の束を会長が手にした、そのとき。
生徒会室の扉が勢いよく開かれた。
「ちょっと待った!」
ここで俺の登場。
俺の復讐は、ついに実行の日を迎えたのだ。
「ブタぁ! あんた豚のくせに、ご主人様の命令を破ったわね!?」
普段は忠実な豚の思わぬ反抗に激怒した会長はダンッ!と円卓を叩いた。
その音にあわせて、彼女の金魚のフンたちが肩を震わせる。
「ちっちっち。残念ながら俺はもう豚じゃない。そして、今日から豚になるのは生徒会長、キミのほうだぜ」
そういって、俺は生徒手帳に記載された文章を読み上げた。
「校則第45条その1…。 本校の生徒は生徒会役員一名の推薦があれば、誰でも生徒会役員になれ、会議に参加する資格を持つ」
「ふんっ、なぁんだ。それがどうしたの?」
会長は俺を睨んだまま、ツヤツヤの髪をかきあげた。
「たしかに、わたしはあなたを推薦したわ。だけど、こんな校則をご存知かしら?」
全ての校則を暗記している彼女は、すらすらと暗唱をはじめる。
「生徒会は多数決により、役員の権限を剥奪できる。…つまりわたしはこの場で、あなたを追放することができるのよ」
言うまでも無く、生徒会は会長の支配下にある。
役員は全員、彼女の思い通りに動く駒だ。
もし多数決をとれば、俺は確実に追放されるだろう。いや、されるハズだった。
少なくとも、彼女の考えでは……。
「それではこの……えーっと、名前なんだっけ? うーん、まぁいいか。 このわたしのペットの豚。この裏切り者の豚を生徒会から追放したいやつ、手をあげて」
会長の質問が終わるより先に、室内の俺を除く全員の手が一斉に上がった。
日ごろから俺に対抗心を燃やしていた副会長なんて、背伸びまでしている。
しかし俺はこのときを待っていたのだ……!
「よし、お前ら。入ってこい!」
俺の掛け声と同時に、生徒会室はモワン、と熱気に包まれた。
廊下に身を潜めていた男子たちが飛び込んできたのである。
彼らは俺と同様、これまで辛酸をなめてきた戦友たちだった…。
その数50人。室内に充満する汗のにおい。男のにおい。
会長たちは絶叫し、部屋の隅にかたまって恐怖にわなわなと震え出す。
俺は会長愛用の鞭を片手に、怯える彼女たちに歩み寄った。
「実はね、こいつら全員、生徒会役員なんだ。俺が推薦したのさ」
校則第45条その1…。 本校の生徒は生徒会役員一名の推薦があれば、誰でも生徒会役員になれ、会議に参加する資格を持つ。
「それにキミはこうも言ったね。 生徒会は多数決により、役員の権限を剥奪できる。って」
ニヤリ、俺の口元に残忍な笑みが浮かぶ…。
そう、何を隠そう、俺の正体は会長をも超えるドSだったのだ…!どどーん。
我々男子は勝利の雄たけびを上げながら、会長とその仲間たちを生徒会から追放した。
次の日から、俺を会長とする新生徒会が本格的に活動を開始。
記念すべく第一回会議では「女子の制服をスクール水着にする法案」が可決された。
これから彼女たちは、毎日スクール水着で登下校しなければならないのだ…。
雨の日も、風の日も……。
このクソみたいな作品を最後まで読んでいただき、ありがとうございました!(僕には無理です!)
みなさんの投稿作品はどれもレベルが高いですねっ




