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Scissors  作者: リコピン
15/18

第14話 最強の壁

挿絵(By みてみん)


会議場の空気は、重く淀んでいた。

円形の席に座る各国代表たちの視線が、

俺に突き刺さる。


中央に立つ俺と、対峙する男——タイタン。


レオンの後、ランキングの頂点に立った男。

無表情の顔に、鋭い目。

その瞳には、競争の炎が宿っていた。


「弱者は淘汰され、勝者が世界を進化させる……

それが人類が辿ってきた歴史だ」


タイタンの声は、低く響く。

ゼロの平等とは正反対。


「……そうかもしれないな……

だが、俺もここで負けるわけにはいかない。

ゼロを止めるのは俺だ」


審判が頷く。


「両者準備は良いか?」


両者、構える。

俺の目は、すでに痛みを帯びていた。

視界の端が、ぼやけ始める。


——チョキしか出さない。

それが、俺のスタイル。


Rock(じゃん), Paper(けん), Scissors(ぽん!), Shoot!」


一戦目。

俺のチョキ。 タイタンのグー。

一瞬の優位——タイタンの勝ちだ。

その瞬間、俺の瞳孔が開く。


「不知火流・斬瞳……」


殺気が、波のように叩き込まれる。

タイタンの手が、震える。

グーが、開きかける。

恐怖心が、手を広げさせる。


だが——


「ぬぅ……!」


タイタンの意志が、信念が、

開きかけた手を途中で止める。

チョキの形に、強引に留まる。


あいこ。


衝撃波が、互いの体を襲う。

俺の腕に、鈍い痛みが走る。

タイタンの肩が、わずかに血をにじませる。


観衆のざわめき。


Tie!(引き分け!)


間髪入れず、審判が叫ぶ。


Again! (あいこで)Shoot!(しょ!)


再び。


俺はチョキ。

タイタンはグーを貫く。


「……不知火流……嵐瞳」


瞳孔が渦を巻くように開き、殺気の嵐を放つ。

タイタンの手が、激しく震える。

グーが、指一本ずつ開き始める。


「ぐっ……競争は……耐えることだ!」


タイタンの目が、燃える。

4本まで開きかけた手を押し戻す。

チョキで耐えられる。

あいこ。


床が、衝撃で揺れる。

視界が、一瞬暗転し、

タイタンの額に、汗が流れる。


三戦目。

限界が近づく。 俺の目が、焼けるように痛い。


Ready?(準備はいいか?)


審判が仕切り直す。


Rock(じゃん), Paper(けん), Scissors(ぽん!), Shoot!」


チョキ vs グー。


「不知火流・奥義……鏡瞳」


瞳孔を無理矢理開き、殺気を反射させる。


タイタンの視界が歪み、手が開きかかる。


相手が絶対にグーを出すと決めている時の

必殺のカウンター。


のはずだった。


だが、競争の意志が、反射を払う。

またしてもチョキで踏みとどまる。

あいこ。


体が、互いにボロボロ。

血が滴り、息が荒い。

見守る各国の代表たちの視線が、冷ややかだ。


Tie!(引き分け!)


審判の声も遠くに聞こえる。


Again!(あいこで) Shoot!(しょ!)


(もっと……もっとだ……出し尽くせ……)


「……不知火流・斬瞳!」


チョキ vs グー。


究極の殺気が、タイタンを貫く。

手が、開く。 グーが、パーへ向かう。


彼の目が、俺を見る。

競争の炎が、静かに消えたように見えた。

衝撃が、タイタンを吹き飛ばす。


(勝った……のか……?)


俺も立っては居られなかった。


「はあ……はあ……」


膝をつきながらタイタンを見る。


「なぜ……?」


タイタンは、微笑むように目を閉じる。


「使う場所のない力は凶器だ、ピース。

……だが今は違う……その力を向ける場所を、

貴様は見つけた」


その言葉を、観客はただの敗者の言葉だと思っただろう。

だが俺だけは知っていた。

——今の一戦、最後に手を止めたのは、俺じゃない。


勝利宣言が、響く。


Winner(勝者!):ピース・シラヌイ」


鳴り響く拍手の奥に、

俺を「使える道具」として見る目を感じた。


平等じゃなく、競争でもない。

俺は、前に進む道を選ぶ。


ポケットの端末が震える。

リナからメッセージが来ていた。


「ピース。おめでとう。信じてたよ」


兄貴、これで対等だ。

——必ず俺が、止めて見せる。


ピース失明まで:斬瞳、残り32回。

——欠けた世界に浮かぶ影を頼りに、

俺はもう一度だけ戦う。



読んでいただきありがとうございます!

ブクマしてくださっている皆さん、本当に感謝です。


読んでいただけるだけでも嬉しいのに、

ブクマや評価まで励みになっています。


まだの方も、

「続きが少し気になるな」と思っていただけたら

ブクマしてもらえると嬉しいです。


評価は★1からでOKです!

楽しんでいただけましたら、

ぜひ星を増やしてもらえると励みになります。


次回:第15話 世界を賭ける手

撃たれない未来か、進み続ける未来か——

兄と世界を賭ける。




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