現実妄創
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世界は、薄曇りの空のように曖昧で、日々を過ごすたびに自分がどこにいるのか分からなくなっていた。ユウキは、いつもその感覚に包まれていた。現実と夢が入り混じり、どちらもがかすかに手のひらの中で溶け合っていくような感覚。目の前にあるものは本当に存在しているのか、ただの幻覚なのか、もう分からなくなっていた。
「ユウキ、今日はどんな話をしてくれる?」
声をかけてきたのは、彼の親友、アヤだった。アヤはいつも、ユウキの混乱を理解してくれる数少ない人物で、彼が言うことを疑わずに聞いてくれる。しかし、その優しさが時に、ユウキをさらに迷わせることがあった。
「また、夢の話かもしれない。分からないんだ。現実が、どこからが現実で、どこからが作られた世界なのか。」ユウキはそう言って、窓の外を見つめた。
アヤはしばらく黙っていたが、やがて穏やかに言った。「それなら、一緒に探してみようよ。どんなに小さなことでも、現実がどこにあるのか、君が感じるものが本当かどうか。」
ユウキは微笑んだ。アヤの言葉には、彼の不安を癒す力があった。
「現実妄創…」ユウキは呟いた。自分が作り出した現実と、周囲の世界との境界が見えなくなる感覚。それがまさに、彼の毎日の体験そのものだった。彼はもはや、自分の考えや夢がどこまで現実の一部であり、どこからが無意識の産物なのかを区別できなくなっていた。
ある日、ユウキは街を歩いていると、ふと見覚えのある場所に足を止めた。そこは、幼少期に何度も訪れた公園だった。しかし、今その公園には、以前感じた懐かしさも温かさもなく、ただただ冷たい空気が流れているだけだった。
「ここは…夢の中の公園だったんだ。」ユウキはぼそりと言った。
その瞬間、アヤがそっと肩を叩いた。「それでもいいんじゃないか。君が感じていることが、君にとっての現実なんだよ。」
ユウキは振り返り、アヤの顔を見つめた。彼女の眼差しには、どこか確かなものが宿っているように見えた。ユウキはその瞬間、初めて自分の世界を受け入れる覚悟を決めた。
「そうだな…」ユウキは静かに答えた。「僕が見ている現実が、僕にとっての現実なんだ。」
風が頬を撫で、夕暮れの光が二人を包み込んだ。ユウキはその中で、ようやく自分の中に答えを見つけたような気がした。現実と妄想の境界が曖昧でも、それは彼自身の一部であり、決して間違いではないのだと。
彼の歩む道がどこに続いているのかは分からない。しかし、少なくとも今は、それが確かな一歩であることを感じていた。
結構頑張った