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ドイツと影の繋がり
約半年ぶりのドイツだった。あの時はガウスに会えたことが、俺の研究にとって大きな意味を持っていた。彼との出会いが、俺の視野を広げ、新たな道を切り開くきっかけとなった。
しかし、今回はガウスに会うためではない。目の前に広がるのは、桜井玲央に関する手がかりを探しに来た古びた研究所だった。俺は以前の研究で知り得た桜井家の関係と、彼がドイツに関与していた証拠を解明するためにこの地に再び戻ってきたのだ。
車を降りて、冷たい風が頬を刺す中、三条と共に研究所の入り口へ向かった。建物は古く、時間が止まったような雰囲気が漂っていた。内部には、桜井玲央が遺したであろう膨大な資料や機器が積まれており、その中に桜井家の謎が隠されていると信じていた。
三条が鍵を回し、扉が軋む音と共に開いた。俺は慎重に中に入ると、古い書類や機器が所狭しと並んでいるのが見えた。その中に、桜井玲央の影がどのように残っているのかを探し出すことが、この訪問の目的だった。ガウスに会えた日の感動と興奮を胸に、俺は桜井家の秘密を解明するための第一歩を踏み出した。