残り少ない買い物
桜井との最後の研究発表が近づく中、俺たちは少し息抜きをしようと、久しぶりに一緒に買い物に出かけることにした。研究室を離れ、街の賑わいの中に身を置くのは新鮮な感じがした。
「今日は何を買うつもり?」桜井が少し嬉しそうに聞いてきた。
「特に決めてないけど、何かおいしいものでも買って、夕飯にしようかと思ってる」と俺は答えた。
桜井は俺の返事に満足そうにうなずき、ショッピングモールの中を歩き回った。クリスマスの名残りがまだ見える店内で、桜井は何度も目を輝かせていた。彼女は雑貨店に立ち寄り、小さな飾りや可愛い小物を見ては、楽しそうに手に取っていた。
「これ、どう思う?」桜井が、クリスマスの残り物セールで見つけた小さなツリーのオーナメントを手にして俺に聞いた。
「いいじゃないか。部屋に飾れば、少しは賑やかになるかもね」と俺は答えた。
桜井は微笑みながらオーナメントをカゴに入れた。その後も、彼女はお菓子売り場に立ち寄ってチョコレートやクッキーを選んだり、衣料品店で新しいスカーフを試してみたりと、楽しそうに買い物を続けた。
「ねえ、このクッキー、夕飯のデザートにどうかな?」桜井が大きなスマイルで言った。
「いいね。それに、今夜はゆっくり過ごそう。君が選んだクッキーを楽しみにしてるよ」と俺は返した。
買い物を終えて家に戻る途中、桜井は俺に寄り添いながら、「今日は楽しかった」と静かに言った。
俺は桜井の手を軽く握り返し、「そうだね。またこうして買い物に出かけよう」と約束した。しかし、心の中では、その時間が残り少ないことを知っていた。
この一瞬一瞬を大切にしようと、俺は再び誓った。