神を超えた存在
アナウンサー「速報です。ギリシャで発生した謎の光線によって、300万人以上の重症死者が確認されています。現地は混乱の極みにあり、国際社会からの支援が求められています。」
公安の男「佐藤、そんな顔するな。お前がそれを聞いてどう感じるかはわかっているが、これ以上自分を責めるな。」
佐藤「…」
公安の女「これで済んだだけ救いはあるわ。もし君たちが間に合っていなかったら、被害はもっと広がっていたかもしれない。全力を尽くしているのは理解してるし、これ以上自分を責める必要はない。」
佐藤は言葉を失い、ただ黙っていた。目の前にあるテレビ画面から流れるニュースが、現実の厳しさを物語っていた。ギリシャの地図が赤く塗りつぶされ、影響を受けた地域の広がりが示されている。
公安の男と公安の女は、その後ろで慎重に見守りながら、佐藤に寄り添い、慰めの言葉をかけ続けた。彼らの顔には、佐藤が一人で背負うにはあまりにも大きな責任の重さが刻まれていた。公安の女は、佐藤の肩に手を置き、少しでも彼の心を軽くしようとした。
公安の女「これからも辛いことは多いだろうけど、私たちが一緒にいるから。君だけの戦いじゃない。」
佐藤はその言葉に少しだけ心を動かされるものの、やはり目の前に広がる現実を受け入れるのは難しかった。彼の内面には、過去の行動や選択に対する反省とともに、これからの道をどう歩むべきかを模索する深い悩みが渦巻いていた。
悠真が話し始めたその言葉には、普段の冷静さを超えた深い重みがあった。彼の顔には、これまでの戦いと苦悩が刻まれており、その口調からは自分が抱えていた秘密をようやく明かす決心がうかがえた。
悠真「ツークンフトの秘密を話そう。私が使ったツークンフトの時空操作は、実際にはほんの一部に過ぎない。」
その言葉に、周囲の人々は一瞬の静寂に包まれた。悠真が続けた。
悠真「そもそもツークンフトのノイマンの設計案は、始まりの男が使っていた真のツークンフトの模倣の模倣に過ぎないのだ。」
この発言は、悠真がこれまでの戦いで使用していた技術の本質を明らかにするものであった。彼の言う「真のツークンフト」とは、始まりの男が創り上げた、より高度で本質的な時空操作の技術を指していた。
悠真「始まりの男が用いたツークンフトは、単なる技術ではなく、時空そのものを操作する力を持っていた。それは私の知っているものとは比較にならないほど深遠で、広範囲に及ぶ。」
彼は一呼吸おいてから続けた。
悠真「私が使っていたのは、その模倣に過ぎなかった。つまり、私の力は始まりの男の力を真似ることができたに過ぎず、オリジナルの力には及ばなかったのだ。」
その言葉が放たれると、周囲の人々はその意味を理解し始め、悠真が抱えていた秘密の深さと、その影響力の大きさに改めて気づかされることとなった。悠真はその目に、未だ完全に解明されていない真実への執着と、これからの展望に対する複雑な感情を映していた。
悠真は深い息をつき、話し始めた。
悠真「そもそも、始まりの男とは一体何なんだろうか?」
彼の声には微かな不安が混じっていた。その問いに対して、悠真は言葉を慎重に選んだ。
悠真「わからない。ただ確実に言えることは、始まりの男は人間を超えた存在だということだ。神に等しい、いや、それ以上かもしれない。」
悠真の言葉には畏怖の念が込められていた。彼が語る「始まりの男」は、単なる技術者や学者ではなく、時空を超える力を持ち、宇宙そのものを操る存在であった。
悠真「彼が創り出した技術は、私が知っているものの遥か上にある。それは時空の法則を操り、宇宙の根源的な力を理解し、操作するものであると考えられる。しかし、彼自身がどこから来たのか、何を目指していたのかは、未だに謎のままだ。」
悠真は言葉を止め、一瞬の沈黙が流れた。彼の目には、未解明の深遠な秘密に対する畏怖と、その影響力に対する敬意が宿っていた。