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次元眼の試練とオイラーの出現

悠真は静かに微笑んだ後、ゆっくりと指輪を手に取って見せてきた。その指輪のエメラルド色の宝石は、深い緑色に輝き、まるで夜空の星々が集まったかのように神秘的だった。悠真の手が指輪を示すと、そのエメラルドの宝石がわずかに光を放ち始めた。


その瞬間、俺の右眼に突然の激痛が走り、視界が急に歪んでいった。目の奥から全身に広がる痛みが、まるで鋭い針で突き刺されるかのようだった。俺の次元眼が反応し、その宝石と共鳴するように光が放たれた。


「ううっ…!」俺は呻き声を上げ、痛みに耐えながらも視界に広がる未来の断片に意識を集中させようとした。しかし、その痛みは一向に収まらず、視界は混濁していった。


悠真はその様子を冷静に見守りながら、微笑みを浮かべた。「あら失礼、また会えるのを楽しみにしておくよ」と、悠真は一言つぶやき、ゆっくりと立ち去った。彼の姿が遠ざかるにつれ、指輪の宝石が徐々に紫に変色していくのが見えた。その色の変化が、何か不吉な予兆を感じさせるようだった。

激痛に呻きながら、俺は必死に体を支えようとするも、膝が崩れそうになる。突然、背後から女性の声が聞こえた。振り返ると、公安の女が心配そうな顔をして駆け寄ってきていた。


公安の女は焦りを隠せない様子で、まっすぐに俺を見つめながら声をかけてきた。「大丈夫!?どうしたの?」


彼女の声は、痛みで混乱した頭の中に響く唯一の救いのようだった。俺はかろうじて息を整え、呻きながら答える。「悠真が…指輪を見せた瞬間に…」


彼女はすぐに状況を察したようで、すぐに行動に移る。慌ててポケットから何かを取り出し、俺の前にかがみ込んで手当てを始める。その動きは熟練したもので、痛みを和らげようとする彼女の手が、少しずつでも確実に緩和の兆しを見せていた。


「落ち着いて、呼吸を整えて。痛みを和らげるために何かできるかもしれない。」彼女の言葉は、冷静さと信頼感をもたらしてくれる。


その瞬間、俺の視界は暗くなりかけ、次第に意識がぼやけ始めた。だが、彼女の手が俺を支え続けてくれるおかげで、徐々に痛みが和らいでいくのが感じられた。

公安の女が心配そうに俺の右眼を見つめながら、驚愕の声を上げた。「眼の色が紫に変色してる!」


その言葉に、俺は痛みで朦朧とした意識を振り絞りながらも、無理やり目を開けた。右眼が見る見るうちに異常な色に変わっていくのがわかった。エメラルドグリーンから紫へと変わるその色は、次元眼と悠真の指輪との共鳴の結果だと理解した。


公安の女は急いで携帯端末を取り出し、誰かに連絡を取る様子だった。「これ、異常だわ。迅速に対応が必要ね。」


彼女の手際よい動きに、少し安心感を覚えると同時に、悠真が何かさらに大きな陰謀を企んでいるのではないかと不安が募る。痛みはまだ完全には収まらず、目の周りの紫色が徐々に広がっているのがわかる。


「おそらく、次元眼が何か新しい機能を発揮しようとしているんだろうけど、この状態は危険だ。」公安の女が説明を続けながら、焦りを隠せない様子で目を閉じるよう促してきた。


「どうにかして、眼の状態を安定させないと…」と彼女は続ける。手早く対処し、専門家に連絡を取りながら、俺の状態を少しでも良くしようと努めていた。

意識が遠ざかる中、突然、耳に届いたのは心強い声だった。「大丈夫、佐藤君。」その声は深く、落ち着きがあり、知的な響きを持っていた。


振り向くと、目の前に立っていたのは、歴史的な数学者の顔を持つ一人の人物だった。彼は白い髭をたくわえ、整った衣装を着ている。オイラーだ。彼の姿が現れた瞬間、視界はぼやけていたが、彼の存在だけは鮮明に感じられた。


「オイラーさん…?」俺は痛みと混乱の中でかすかな声を絞り出した。


オイラーは穏やかに微笑みながら、優しく言った。「君の次元眼は、私たちが想定していたよりもはるかに強力だ。今は痛みが強いかもしれないが、これからのために必ず役立つだろう。」


彼はゆっくりと手を差し伸べ、俺の肩に優しく手を置いた。その瞬間、体の痛みが少し和らいだような気がした。オイラーの存在が、どこかで支えになっていると感じた。


「君が持っている力は、大きな使命を果たすためにある。」オイラーは続けた。「ただし、力を使うためには、その力を理解し、制御する方法を学ばなければならない。これからの道は険しいが、一緒に乗り越えていこう。」


その言葉に、少し安心感が広がると同時に、意識が再び遠のいていく。オイラーの姿が、次第にぼやけていく中で、彼の言葉が頭の中に残り続けた。

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