イレギュラーな再会
「だ、誰だお前は!?」
侵入者が声を荒げる。
緊張がその声ににじみ出ていた。
「どうして....ここに..」
村田は若干意識が朦朧としながらも、驚きと安堵が混じった声で呟いた。
「私はケイラ。ちょっとそこの子に用があってね」
ケイラは妖しく微笑みながら、視線をライトに向けた。
「そうか、お前もあのお方の命令で..あんな大金を提示されては断れないわなぁ..」
侵入者は少し嬉しそうに目を輝かせ、仲間に向かってニヤリと笑った。
「あのお方?..よくわからないけど、私は金なんて求めていないわ」
ケイラは息を吐きながら、軽く肩をすくめた。
「私が欲しいのは、そう!..彼の血液よ!!」
ケイラはライトを指さし堂々と宣言し、その目が一瞬だけ赤く輝いた。
場が一瞬静まり返る。
侵入者たちは困惑し、視線を交わし合った。
「は?..何をいっとるんだお前..」
侵入者が呆れた様子で首を振った。
「とにかく、彼は私のものよ。邪魔するなら容赦はしないわよ?」
ケイラは冷ややかな視線で侵入者たちを見据えた。
「ふん!ただの小娘に何ができるってんだよ!」
侵入者たちは舐めた様子で、各自ケイラに斬りかかったりウィンドを放ったりする。
ケイラは一瞬にして侵入者たちの間をすり抜け、ライトの元に辿り着いた。
その速さに侵入者たちは目を見張った。
「はっ速い!!」
侵入者の一人が驚愕の声を上げた。
「ちょっとタンマ」
ケイラは侵入者に手のひらを向け、制止する。
彼らはその一言に一瞬ひるみ、動きを止めた。
「ライト君大丈夫?怖くなかった、怪我は無い?」
ケイラは母親のように優しくライトに問いかけた。
「えっあっ、だ、ダイジョブだよ。おねえちゃん、どうしてここに?」
ライトは少し混乱した様子でケイラを見上げた。
「へへ、欲には抗えないということよ。というかしまった、注射器忘れた」
ケイラは少しにやけながら肩をすくめた。
「注射器なら..そこに」
村田が机の上の救急箱を指さしながら言った。
その顔には痛みをこらえる表情が浮かんでいた。
「お、流石。てか村田、あんた大丈夫?」
ケイラは感謝の意を込めて村田に微笑みかけた。
「大丈夫だ、気にするな。それより、ライトを頼む..」
村田は必死に痛みをこらえながら答えた。
彼女は頷き、村田に向けて感謝の意を込めて軽く頭を下げた。
「というか、なんであんたらは攻撃してこないの?」
ケイラは挑発気味に侵入者たちを見渡した。
その声には冷たい鋭さが宿っていた。
完全にケイラのペースに呑まれていた侵入者たちは、慌てて攻撃を繰り出す。
ケイラはライトを片手に担ぎながら、敵の攻撃を見事に避け続けた。
彼女の動きはしなやかで鋭く、まるで舞うように軽やかだった。
「部屋を汚すから続きは外でやりましょ?」
ケイラは窓に向かって軽やかに跳び、そのままライトをしっかりと抱えながら外に飛び出す。