実演の協力
「さて、ここからはですね..えー、私と今のような実演をしてみたいという人、いますかな?」
リゼルタが問いかけると、会場は一瞬で静まり返った。
先ほどの実演を見て名乗りを上げる者はいなかった。ただ一人を除いて。
「はいやります!!」
ライトが快く大声で名乗りを上げた。
「マジかお前!?」
村田は驚きと心配が入り混じった声を上げた。
(え!?ライト君マジで!?)
ケイラも目を見開いて驚き、思わず席から立ち上がりそうになった。
観客席全体がざわつき、リゼルタも興味深げにライトを見つめた。
「おっ..元気のいい子だ。ではこっちに来れるかな?」
リゼルタは嬉しそうに微笑みながらライトを舞台に招いた。
「おいライト..本当に大丈夫なのか?」
村田はさっきの実演の様子から、ライトが何かしらケガを負うのではという心配をしていた。
「え?何が?」
ライトはわかっていないようだった。
彼の純粋な瞳には不安の色がなく、ただ挑戦に対する興奮だけが輝いていた。
「何がって....いやまぁ、大丈夫かぁ..」
村田は考え込みながらも、ライトの無邪気な自信に少し安堵した。
(さすがにイベントの参加者にケガさせるなんてことはしないか..)
と自分を納得させる。
「いや、なんでもない。頑張ってくるんだぞ」
村田は笑顔でライトを送り出した。
彼の心の中にはライトの安全を願う気持ちと、
彼の魔法がリゼルタにどこまで通用するのかという好奇心が入り混じっていた。
ライトはLMAの生徒たちに誘導され、緊張と興奮が入り混じった気持ちでリゼルタのもとへ向かった。
周囲の観客たちの視線が彼に集中し、その場の空気が一層重く感じられた。
「お待たせ!」
ライトはリゼルタの方へ駆け寄りながら、元気に声をかけた。
「うむ..では始める前に簡単に説明をしよう」
リゼルタは微笑みながら、ライトに向かって穏やかな声で話し始めた。
「まず、魔法で私の事を攻撃してほしい。使う魔法の種類は問わない、好きに攻撃したまえ」
リゼルタの言葉に、ライトの心はさらに高鳴った。
「そして、私は一切攻撃はしない。当然魔法は使うがあくまで防御の為だけに使う」
リゼルタは優しく説明を続けた。その落ち着いた声が、ライトの緊張を少し和らげた。
「最後に、制限時間は1分としようか。もし一撃でも当てられたら....LMAへの入学試験を免除してあげよう」
左手首の金の腕時計に目をやりながら説明する。
リゼルタの目には挑戦的な輝きが宿っていた。
「わかった!つまり攻撃を当てればいいんだね!」
ライトは笑顔で要約し、意気揚々とした様子で返事をした。
「ふふ..そういうことだ。では始めようか」
会場は再び静まり返り、ライトとリゼルタの対決に注目した。