ケイラについて
ライトはイベントから戻ってくるとすぐに村田に駆け寄り、少年特有の無邪気さで彼に飛びついた。
その動きは溢れんばかりの活力と喜びを示していた。
「あっシュン!ただいまー」
と彼の声は広場に響いた。
村田はライトの勢いに少し息を呑むが、彼をしっかりと抱きしめた。
「うぶっ、おかえり。楽しかったか?」
と彼はライトの幸せそうな顔を見ながら尋ねた。
「うん、楽しかったよー!」
ライトの声には純粋な喜びが溢れていた。
彼は魔法のイベントで新たなことを学び、それが自分の中で新しい興奮となっていた。
二人はゆっくりと宿に向かいながら、村田はライトからイベントでの体験や学んだことを聞いた。
宿に到着して部屋に落ち着くと、村田はケイラのことに話を移した。
「そっか、おねえちゃん無事だったんだね..」
ライトは安堵の表情を浮かべたものの、その眼差しには複雑な感情が窺えた。
彼はケイラが無事であることには安心しているが、過去の出来事には未だに心が乱れているようだった。
「あぁ、それで色々彼女と話したんだ。昨日の事とか、今後についてな」
村田は落ち着いた声で説明を続けた。
「まず、ライトを攫った件について、かなり反省していた。その..まぁ攫った理由はお前の事が好きだったからみたいだ」
と村田は可能な限り優しく事情を説明した。
「あ..うん、それはおねえちゃんから聞いたよ。どこが好きだったのかはよくわかんないけど」
と静かに答えた。
彼の声はやや不安定で、過去の恐怖がまだ完全には消えていないことを示していた。
村田は次に、ケイラの現在の気持ちを伝える。
「で、ケイラは直接お前に会って謝りたいとのことだが、どうだ?」
「正直まだちょっと怖い..けど、やっぱり僕もちゃんと会って話しておきたいな」
とライトは一瞬俯いて考えるが、すぐに顔を上げて自分の意思をはっきりと表現した。
「そうか..ありがとうな。直接会うのはイベント期間が終わった後にしようか」
と村田はライトの成熟した判断を評価し、彼に感謝の意を示した。