魔法を使ってみよう!
ライトは午後のイベントに参加していた。
参加者は五~六人ずつのグループに分けられ、
レムリア・マジック・アカデミー(LMA)の生徒が講師としてグループ間を移動し、
魔法の使用方法を教授したり、危険を未然に防ぐなどの対応をしていた。
また、メンバー間での教え合いをすることで教え手も聞き手も成長できるように考えられている。
ライトのグループには若年層から中年層まで様々なメンバーが揃っており、
その多様性が活発な交流を予感させていた。
広場は活気に満ち、遠くからは他のグループの笑い声や話し声が聞こえてくる。
「さて、と。まずは自己紹介からしましょうか」
黒髪の若い男性が笑顔で提案すると、グループの雰囲気が一層和やかになった。
「私はシオン。普段は街の床屋で働いています。えーと得意な魔法はウィンド、髪乾かすときに冷風だと乾きにくいので、誰かファイア教えてください!」
シオンは明るく自己紹介をし、周囲に親しみやすい印象を与えた。
「ファイア使えるよ!あ、僕はライト、色々教えてほしいな!」
ライトが元気に手を挙げて答えた。
彼の目は興味と期待で輝いていた。
「次は私、エリナといいます。主婦なので、料理で使えるファイアを使えるようになりたいですね」
中年の女性が話した。
彼女の声には日常生活への魔法の適用に対する具体的な願望が込められていた。
「俺はトーマス。元軍人で、今はこの街で飲食店を経営している。魔法が使えると光熱費節約できるからなんか教えてくれ!」
と大柄な中年男性、赤いオールバックの髪を持つトーマスが豪快に言い放った。
彼の声は力強く、グループに活気をもたらした。
「..アシリア。よろしくお願いします..」
ピンクのショートボブの少女、アシリアは恥ずかしそうに小さな声で言うと、
素早く視線を地面に落とした。
その慎ましやかな様子が、彼女の内気な性格を如実に表していた。
「よろしくお願いします!聞いた感じだとファイアを覚えたい人が多いですね。じゃあライト君、早速見せてもらえるかな?」
シオンは熱意に満ちた眼差しでライトに視線を向けた。
ライトは肯定的にうなずくと、一呼吸おいてから、手のひらに静かにファイアを生成した。
小さな炎が手の中で穏やかに揺れ、周囲からは驚きの声が上がった。
「これがファイア。最初は詠唱ありでやってみるとイメージしやすいよ」
ライトは彼の魔法に自信を持っているように見えた。
「なるほどね、じゃあ早速やってみましょう!」
シオンの声に勢いがあり、彼の熱心さがグループに活力を与えた。