ストーカー
「そういえば、あなたたちはどうしてこの街に？」
ケイラが質問を投げかけると、村田はちょっと考えるふりをしながら、
旅の真の目的を明かす準備をした。
「あぁ、それはな....」
と村田が口を開くと、彼はライトの出生の謎を解明するための旅であることを語り始めた。
彼の声は少し低く、真剣そのものだった。
「へぇ、じゃあどちらにせよそのカインっていう医者を調べるためにメガラニアには向かう予定だったのね」
彼女の口調には好奇心が溢れていた。
「面白そう..ねぇ、私も連れて行ってよ。メガラニアまでの道案内ならできるわよ？」
ケイラは若干興奮気味に問う。
彼女の目には冒険への渇望が明らかに輝いていた。
村田はケイラの目を見て、少し嫌そうな表情を浮かべた。
彼の顔には戸惑いと苦笑いが混在していた。
「ちょ..なんでそんな顔するの！？」
ケイラは困惑しながら尋ねた。
彼女は村田の反応に少し落胆した。
「いや..欲望に正直だなぁ、と」
村田はケイラの目が一瞬赤く輝いた様子を指摘しながら苦笑いした。
「え..？あぁ！これは、そういう事じゃなくて！」
ケイラは急に自分の反応が誤解を招いたことに気づき、急いで説明を試みた。
「いや、俺は別にいいよ。というかその様子から見てどうせ追っかけてくるつもりだったんだろ」
村田は少し楽しそうに問いただすように言った。
ケイラはその言葉にぎくりとし、その後苦笑いを浮かべた。
彼女の計画が見透かされてしまったようだった。
「あとはライトが受け入れるかどうかだな..」
村田は最後に付け加え、ライトの意向を尊重することを示唆した。
「..彼はどこにいるの？」
ケイラが静かに問いかける。
彼女の声には、ライトへの関心と軽い緊張が感じられた。
「今はスペルキャスト・デイに参加してる」
村田は冷静に答えた。
「..よし」
とケイラは席を立とうとする。
その動作には即座に行動に移る決意が表れていたが、村田はすぐにそれを制した。
「よしじゃねぇ。今はあいつの大好きな魔法のイベント中なんだ。話すとしてもこの三日間のイベントが終わった後だ」
と村田はケイラの動きを止めるように声を出す。
「..わかった、イベント終わってからね。私はもう少し休んだら家に帰るから」
とケイラは渋々了承し、再び椅子に腰掛けた。
彼女の声にはやや抵抗を感じさせるものの、村田の提案を尊重する姿勢が見て取れた。
ケイラは心の中でライトとの再会とそれがどう影響するかを考えながら、
カフェでの一時的な静けさを楽しんだ。
