フレイムブラスト
午前中の講演が終わり、ライトたちはエコオの元に向かい、村田が礼儀正しく声をかけた。
「講演お疲れさまでした。魔法について初めて知ることが沢山あり非常に有意義な時間でした」
と村田が礼を言うと、エコオは心からの笑顔で応じた。
「ありがとうございます。そう言ってもらえるとこちらとしても助かります。えっとそれで、複合魔法についてだったよね?」
エコオは親しみやすくライトに向かって問いかける。
ライトは熱心にうなずき、期待に満ちた表情でエコオを見つめた。
「午後の準備もあるから簡単にはなってしまうけど..まず、君は基礎魔法をどこまで使えるかな?」
エコオの声は落ち着いていて、ライトへの質問は教育者の優しさを含んでいた。
「ファイアとアクア、あと最近ウィンドも使えるようになったよ」
ライトの声は自信と興奮を含んでおり、自分の進歩を誇りに思っているようだった。
「もう三つも使えるんだね。そうするとファイアとウィンドの複合魔法がいいね」
エコオはライトのスキルに感心しながら提案した。
「まず大前提として、二つの魔法の同時発動..『ダブルキャスト』と呼ばれる技術が必要となるよ」
エコオは教育者としての役割を果たしながら、その技術の重要性を説明した。
「すぐにはできないと思うから、一つづつ詠唱しながらゆっくりと....」
エコオがそう説明していると、ライトは集中して手を動かし始めた。
「えっと..こう....かな..」
ライトがゆっくりとではあるが、左手にファイア、右手にウィンドを発動させていた。
彼は詠唱せずにダブルキャストを成功させていた。
(いやすごいな!?..しかも詠唱してねぇし!)
エコオは心の中で驚きながら、ライトが純粋な瞳で自分を見つめているのに気づいた。
「あぁ!えっ..と、そしたら..どんな魔法を使ってみたい?」
エコオは若干驚きを隠せていなかったが、ライトの能力に興奮していた。
「一番最初にやってたやつがいい!」
ライトは元気に返答し、期待に満ちた表情でエコオを見つめた。
「あれか..じゃあファイアに向かってウィンドを吹き付けるように放ってみて。あ、こっちに向けないでね」
エコオは安全を確保しながら指示を出した。
ライトは言われた通りに天井に向かって実行する。
その瞬間、ファイアが火炎放射の如く放射された。
「それが複合魔法『フレイムブラスト』だ。初めてなのにすごいよ!」
エコオは嬉しそうにライトを褒めちぎった。
ライトはその褒め言葉に顔を輝かせ、さらに習得への意欲を燃やした。