魔法とは？
「まず、魔法とは、体内に宿る魔力を別のエネルギーに変換し放出する技術のことです」
とエコオが語り始めると、舞台上で彼の落ち着いた姿勢と自信あふれる表情が観客に安心感を与えた。
「このように..」
彼の人差し指が軽く前に突き出され、その先端から小さな火の球が生成されていく。
エコオは続けて、
「魔法を使うことで火を生成することができます。他にも水、風、雷などがあり、これら4つは基礎魔法と呼ばれ、分類されています」
と説明した。
彼の声には誇りと情熱が感じられ、火が彼の指先で静かに踊りながらも、
完全に彼の制御下にあることが示されていた。
次いで、エコオは手を振って火を消しながら、
「そして先ほどお見せしたような火と風、水と雷を組み合わせたものを複合魔法と呼びます。これがかなり奥深いのですが、ここで語ると日が暮れてしまうので、またの機会に..」
と述べ、舞台上を悠然と歩きながら彼の話術に引き込まれる観客たち。
ライトは特にエコオの火を消す動作に興味を持ち、そのテクニックに違和感を覚えた。
「ところで、なぜ私の声がこの会場中にはっきりと聞こえているのか..そんな事を考えている方もいらっしゃるでしょう」
エコオは舞台を歩きながら、ゆっくりとした動作で周囲を見渡した。
「今私は魔力を『音』に変換することで拡声し話しています。このように基礎魔法に含まれないものを『特殊魔法』と分類します」
彼は口元を強調しながらそれを説明し、聴衆はその技術に感心した。
「魔法について簡単に説明させていただきましたが、ここまでで聞いておきたいことありましたら..」
エコオが言い終わる前に、
「はい！！」
ライトが非常に大きな声を出しながら手を挙げると、声が会場中に響きわたった。
「え～と、一番奥の白黒の子だね、元気にありがとう！質問は何かな？」
エコオが微笑みながら問い返すと、
「はい！さっき火を消すとき、火が体に吸収されているように見えたけどそれって何？」
ライトは人差し指で火を生成しながら尋ねた。
「吸収..？あぁ、『魔力還元』のことかな？生成した魔法を魔力の状態に戻す技術のことだよ。それにしてもよく観察していたね」
とエコオが賞賛すると、
「ありがとう！あと複合魔法についてもっと教えてほしい！」
ライトはさらに興味を深めて質問を続けた。
「うーん、複合魔法については長くなるから、これが終わったらこっちに来てくれるかな？」
エコオは親切に提案した。
ライトは満足そうに頷き、続く講演に目を向けた。
