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ゲノム~失われた大陸の秘密~  作者: Deckbrush0408
第四章【メガラニア王国編】
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女湯

夕暮れの街を彩る灯りが少しずつ増え始める頃、

ケイラとライトは宿を出発し、並んで歩きながら銭湯へと向かっていた。

ライトは相変わらず顔を赤らめながらも、ケイラの手を握ったままトコトコと歩いている。

スカートの裾が小さく揺れ、帽子のリボンが涼しい風にそよぐたび、

彼の羞恥心がじわりと増していくのが分かった。


(うぅ..やっぱりこれ恥ずかしいよ..)

ライトは頬を染め、つま先を見つめるようにして歩く。

小さく震えるその肩が、緊張を物語っていた。


「可愛いんだから堂々としてなさい。あたしだってついてるから不安なんて何もないでしょ?」

ケイラは笑顔でそう言いながら、ライトの手をもう一度きゅっと握った。

その一言に、ライトは目を細めるようにしながら、わずかに頷いた。


やがて、角を曲がった先に現れたのは、年季の入った木造の小さな銭湯。

柔らかな灯りが外に漏れ、どこか懐かしい匂いが鼻先をくすぐる。


入り口をくぐると、受付には湯守の中年の男が座っていた。

その親父さんはちらりと二人に視線を向けた——そして、ライトに目を留めると、ふわっと頬を緩めた。


「おぉ..可愛らしいお嬢ちゃんだね。お姉ちゃんと一緒かい?」


ケイラの心臓が一瞬きゅっと強張る。

しかしその横で、ライトが背筋をぴしっと伸ばして、小さくコクリと頷いた。


「そうかそうか」

親父さんはにこにこと笑い、疑う様子もなく帳面に人数を記す。


「女湯はこっちだ。お姉ちゃんと仲良く入るんだよ」


「う、うん....!」

ライトは少しだけ声が裏返りながらも返事をし、ケイラに視線を向けた。

その顔には、安堵と羞恥が入り混じった微妙な表情が浮かんでいた。


ケイラはライトの背中をそっと押しながら、女湯の入り口へと導いた。

「ほら、大丈夫でしょ?堂々としていれば誰も疑わないわよ」


計画通り、何の問題もなく——というより、完璧なまでに自然に、

可愛い女の子として銭湯へ潜入することに成功した。


脱衣所は静かで、ほのかな湯気と木の香りが立ちこめていた。

白木の床は清潔に磨かれており、明かりの反射でほのかに光っている。


「あら、全然いない..いや、一人だけ入ってるっぽいわね」

脱衣かごの一つに丁寧に畳まれた衣服があった。

どこかで見たような色と形だったが、彼女は深く考えずにスルーした。


「まぁいいわ。ほら、脱ぎましょ?」

ケイラがさりげなくライトの方へ手を伸ばす。

指先が触れようとしたその瞬間——


「自分で脱げるからいい!」

ライトは顔を真っ赤にしてそっぽを向き、

手に持ったタオルを抱えて、壁の陰にすたすたと隠れてしまった。


「んもう、つれないわねぇ」

ケイラはわざとらしくため息をつきながらも、

くすりと笑みを浮かべると、手際よく自分の服に手をかけた。

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