人気のない物語の使い道

　三年間、小説投稿サイトにコツコツと投稿し続けた五百章に及ぶ、異世界転生恋愛の物語。
奇跡なのか、ブックマークゼロ。それでも腐ることなく頑張った――私。
二十八歳、投稿小説を支えに生きてきた。

仕事では一か月休みなく、体調の異変もかまわず働き続けて死んでしまった。

　『転生』した先――それは自分の書いた、まったく人気のなかった小説の中。
そこには、自分の理想を全部入れ込んだ主人公のヒロインとその幼馴染の騎士団長（予定）がいる。
だけど私が『転生』したのは、その騎士団長（予定）の幼馴染で、その騎士団長に恋をしてかなわず、ヒロインに逆恨みしてその命を狙って失敗。国外追放されて、追放先で病で死んでいく少女。

　このままでは死んでしまう運命なのに――なんだかおかしい。
小説にはでてこないキャラまで登場してきて、自分の運命がまったくわからない？
死亡フラグを回収するのか、私はこの小説の作者として一体どうしたいの!?