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卒業ー君と話せた最後の時間ー





ー今日で最後ー

頭にはその言葉が

離れない。



今まで

この学校で共に

過ごした仲間達。


そして

大好きな君。




君はあたしに

毎日最高のキラキラ

をくれたんだ。


学校に行くのが

楽しくて……

君と廊下で

会うのが嬉しくて。



そんでもって

廊下で会うと

お互い言い合って




"ばーかっ"


とか


"うっさい!"



とか

言いたい放題で。


でも、あたしには

それが嬉しかった。


時には

ある事がきっかけで

校庭でボールを

当てあったり……。




それも今では

楽しかった

ー思い出ーなんだ。











でもね

無情にも時間は

過ぎていくんだ。



卒業式の練習


とか

やりたくない。



だって

君に祝われるのが

嫌だったから。






そう思っても

"今日"は来た。







校門では

五年生が卒業生に

胸ポケットに

花を飾ってる。



そこには

君がいた。


行きたくない



行きたくない



行きたくない



でも、足は

進んでいくんだ。




とうとう目の前へ。


君は、あたしを

見てから

笑いながら

嫌そうな顔をして


卒業おめでとー

ございまーす



とだらしなく

言った。

そして胸ポケットに

花を飾ってる君。




涙がこぼれそう

なのを必死で

我慢した。




そして

体育館へ入った。










卒業式が始まった。



五年生は

歌を唄っている。




何だか……

君の顔をまともに

見れないよ。



一瞬でも見たら

泣きそうだから。


だから

斜め上をただ

じっと見てるだけ。







そして

今度はあたし達が

唄う番だ。




本番前は

卒業式だから

一生懸命唄おう



って思ったけど

無理だ。


その時、君の方を

見てしまった。

うつ向きながら

泣いていた君。



息が詰まりそうに

なった。


何で?

何で泣いてるの?




今まで

平気で笑ってた

じゃん……。







あたしの

視界はぼやけて

きていた。







そして










涙した。













退場する。



この時ね

君の顔を見ないと

一生見れない気が

したから

君の前を通る時

チラッ と見た。






そしたら

君は泣いていた。



涙を見せたくない

のか下を向いて

拳をギュッと

握りしめていた。









やだな。

泣いてほしくない。









嫌だよ。












記念撮影を

クラスで撮った。

君がいないこの

クラスは

楽しかったのかな?






記念撮影を

撮った後

先生が最後だから

五年生も混ぜて

撮っていい



だって。

しかも好きな人

同士でもいいって。




周りはざわつき

始めて

卒業生は五年生に

仲の良い友達と

撮ったり




卒業生の男子は

五年生の男子

数人とふざけて

撮ってもらってる。






あたしも

仲の良い友達と

集まって誰と

撮ろうか相談

している。




すると

ある一人の友達が









五年生の

男子の中で一番

こいつと撮りたい

って思う奴を

連れてこよう。









と言い出した。




あたしは

君を探しに校庭中を

探しまわった。









いたっ。

君は大勢の男子の

中で一番真ん中で

地面に座っていた。




君はみんなの

リーダー的存在

なのかなっ?










あたしは

駆け足で君の所に

向かって行った。










ーねぇっー


あたしは

精一杯の勇気で

君を呼んだ。


ーなにー


相変わらず

無愛想で答える君。


ー写真…一緒に

撮ってくんない?ー



あたしが

そう聞くと周りの

男子はざわついて

冷やかし始めた。










すると










ーいいよっー



期待してなかった

君の返答。

あり得ない と

何度思っただろう。



君は立ち上がって

あたしの手を引くと


ー行くぞっー



笑いながら

言ってきた。



ーあっ、

友達もいるからね?ー




あたしは

そう言うと

君は フッと

笑って




ー知ってるー




そう言った。












ーじゃあ

撮りますよーっー




写真を撮る人の

声と共に

シャッターが

押された。






あたしは

君の隣で最高の

笑顔をつくった。










写真を撮り終えると

まだ、自由時間

だった。




だから

あたしは最後に

君と話した。









ーあーあっ

せいせいするわっ!

お前がこの学校から

いなくなると

思うとなー




沈黙を破って

君は馬鹿にして

あたしに

そう言った。




ーう、うるさい!

それは、こっちの

セリフだしっー




必死で言い返す。


でも、それ以上

君は何にも

言い返さなかった。









沈黙..










辛いな。



もっと話したい。

だけどねそんな

気持ちとは裏腹に

話すと泣きそうで

話したくは

ないんだ。



だから

あたしは君が

話しかけて

くるまでは何も

言わなかった。










ーみなさーんっ

集まってーっー




先生の声がした。



行かなきゃ..



そう思って

立ち上がった。




あたしは

君に何も言わずに

去っていった。




泣きたい


泣きたいよ。




でも最後の

思い出を『涙』に

したくは

なかったから

必死で我慢した。













これで









本当に













最後だね










最後は

卒業生全員で

一列に並んで

校庭に赤い線で

描かれた一直線の










道。









あたしは

そこを通る。

両側には五年生や

親達が立っている。






君は

一番最後の方に

立っていた。




通りたくないな..







そんな気持ちを

噛み締めて

奥へと足は

進んで行った。









進む途中で

君との思い出が

溢れてくる。







廊下で突然

ぶつかって

謝ったのに君は

ツンとした態度で

許してくれなかった




けれども

色んな所で

すれ違ったり

していると

だんだんと君に

意識しはじめた。




その時は

何でか解らなかった




だけど




後から






知ったんだ。










好きなんだ って










ーおめでとー!ー




あたしは

誰かの大きな声で

現実へと戻った。






気が付くと


泣いていた






目の前には







君が近くにいた。




君を通り過ぎたら

もう本当に










終わるんだね




あたしは

この学校から

卒業するけど




君からも

卒業しなきゃ




いけないんだ









一歩一歩を


大切に歩んで行く




そして君の

前を通ったその時..















ー何、

泣いてんだよっ!

ばーかっー










いつも通り

馬鹿にする君。



振り返って

君を見ると


笑っていた。







でもね

何で君の今の声は







そんなに









震えていたの?











分からないよ..




涙は止まる事を

知らずなおも

流れ続ける。










五年生は

教室に戻って

あたし達は

最後の自由時間。





男子何か最後だ

っていうのに

鬼ごっこをしてる。

無邪気な笑顔で

だけどどことなく

寂しく

感じられるんだ。







あたしは

友達と集まって

校庭のはじらへん

に立っている

桜の木の下で

思い出話を

している。





だけど

思い出話何か

どうでもいい位に

君が気になる。




あたしはふと

顔を上げて君の

教室を見た。









すると

何人もの五年生が

教室の窓を開けて

卒業生達を

見下ろしていた。





その中で

君を探した。














いたっ。



一番真ん中で

静かに見下ろしてた。








でも

こっちを見てない。



当たり前か..




そして

自由時間は終った。









その後は

各自解散だ。



あたしは

お母さんと

一緒に帰る。





門を出るとき

もう一度君を

見てみた。





すると

君があたしを











見ていた。








君は窓から

身を乗り出して

手をメガホン

変わりにすると

大きな声で







ー頑張れよーっ!!ー




と叫んだ。

その瞬間あたしの

目からは涙が

あふれだした。






あたしは

泣きながらでも



笑顔を..

最高の笑顔を

つくって





ー当たり前ーっ!!ー







と君に向かって

叫んだ。

君は優しく

微笑んで

指でぴーすを

つくった。










前を向いて

あたしは新しく

一歩一歩を

歩んでいった。



















ー春ー




ーそれでは

新入生の入場ですー




パチパチパチパチ

パチパチパチパチ..







ー春ー




ーそれでは

新入生の入場ですー




パチパチパチパチ

パチパチパチパチ..





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