6話 入学式!そんな目でこっちを見ないで!
少し長め。もともと雀の涙みたいな量。
ここちゃんが生まれてから2年。
今日、私は小学生になる。
え?入試は受かったのかって?流石に小学校の入試で落ちたら切腹案件。
無事首席で合格することができましたとさ。
めでたしめでたし…
とはならないんだよねぇ。
別に、代表で挨拶する訳じゃ無いんだよ? でも首席となればある程度の注目は集めちゃうわけでしてね。
まわりの純粋な子ども達の視線が痛い…注目されることは好きなんだけど目が完全に珍しい物を見つけた目なんよ。
しかもこの子達も能力者。能力者っていうのは、スキルを得るだけじゃなくて純粋に身体能力も上がるんだよ。
だから子供が癇癪とかで暴れたら結構被害が出るんですよ。下手な大人より怖い。寮生活大丈夫かなぁ?
そんなことを考えているうちに入学式が始まった。人数が多すぎるから一人一人呼ばれるなんてことはないけど国のお偉いさんが優しい口調で話してる。
あかん、落ちる…。
そんなこんなで睡魔と戦ってると学園長らしい人が登壇した。
ていうか若くない?まぁ基本的にこの場にいるのは教員含めて全員能力者だから、実年齢よりも若い場合が多いから見た目で判断はできないんだけどね…
それでも20代前半のイケメンにしか見えないんだけど。
学園長や校長先生はおじいちゃんっていうのが相場だと思ってたんだけど。
「ようこそ礼仙学園へ。私は礼仙仙花と言います。
気軽に学園長先生とでも呼んでください。さて、皆さんは我が礼仙学園に入学しました。きっとこの場にいるほとんどの人は将来活躍する人間になるでしょう。
昨今の日本ではスキルを使った事件が多発し、多くの人が被害に遭っています。
皆さんは自分の力の使い方を間違えないでくださいね。
この学校では戦うすべを多く教えますが、できればその戦うべき状況にならないことが最善なんです。でもそうは言ってられない世の中です。
なので皆さんは自分の能力と向き合い、力の使い方を間違えないでください。
最後になりますがご入学おめでとうございます。皆さんが楽しく、安全に過ごせる学校生活にしていきますのでよろしくお願いします。」
そうして、学園長先生のお話は終わった。祝辞の文としてはかなり短いけど、さまざまな生徒を見てきて、自身も能力者の先立としての言葉の重みがあった。
こうして入学式は終わった。今は学校内でパパとママ、ここちゃんとお別れの挨拶をしてる。
「きょうちゃん、だいじょうぶ?さみしくない?やっぱり今からでもおうちから通う?」
ちなみに同じ東京だけど家から礼仙まで車だと片道3時間はかかる。
「だいじょうぶ。夏休みはお家で過ごすし、電話もするから。」
「栞、そろそろ諦めなさい。一生の別れというわけでもないんだし。」
「でもまさか寮から通うとは思ってなかったのよー。」
まぁ一年生から寮生活なんてほとんどないだろうしね。
でも4時半に起きないと学校まで間に合わないんですが。
「ここちゃんも元気でね!」
「ねぇね、ヤダ!」
一瞬嫌われてたのかと思ったけど、ここちゃんの顔を見るにお別れが嫌みたい。
よかった…ここちゃんに嫌われてたらガチ泣きしてたね。マジで。
「じゃあ、みんなまたね!夏休みには絶対帰るから!お手伝いさん達にもよろしく言っといてね!」
「鏡花!元気でな!」
「いっちゃダメー!」
「ダメー!」
相変わらず賑やかな家族だね。
まぁちょくちょく戻るとはいえ寂しいものは寂しいしね。さてと、寮に向かうとしますか!
不安をかき消すように私は寮に歩き出した。あれ?寮まで3kmもあるの!?
…私はバス停に向かって歩き出した…
能力者はかなり長生きするので実年齢より若く見えます。ちなみに礼仙学園は広すぎてバスどころか電車が走ってます。山手線みたいな路線図です。