44話 一体いくつ能力を持ってるんですか?
最初から結視点です。
「よし!頑張っていきましょう!」
「え?偽物?」
鏡花さんに失礼なことを言われた気がしないでもないですがしょうがないことでしょう。
今は試合10分前。
普段の私なら猛烈に胃が痛んでいるはずです。
ですがもう皆さんに心配をかけるのも申し訳なくなってきたので絶賛痩せ我慢中です。
つまりめちゃくちゃ胃が痛い。
この鬱憤は対戦相手にぶつけましょう。
凛さんから聞いたあの紫色の能力の感じ相性は今は良いでしょうしね。
松井さんが大人になって能力も強化されたら相性はゲキマズですけどね。
「では行ってきます。」
「うん!いってらっしゃい!」
「ガンバ。」
「ねぇ、結ちゃん。」
ん?綾が近づいてきて小さく囁く。
「無理しちゃダメだよ?」
…やっぱり綾は誤魔化せてなかったですか。
この子はなかなか勘が鋭いですからね。
「うん。私は大丈夫。行ってくるね。」
本当にいい友人を持ちました。
「天気は快晴!本戦3日目!
最初の試合は黄燐寺結さんと松井玲奈さんです!」
「両者ともに頑張ってください。」
さて、凛さんから聞いた話だと長期戦は避けないと不味いですね。
「よろしくお願いします。」
「うん。よろしくね!」
「ではいきましょう!開始!」
「[時壊する世界]」
まずは様子見。
加速して一撃を加える。
「はっ!」
「流石にそれは甘いんじゃないかなー?[回天]!」
衝撃波があたり一体を駆け巡る。
接近するならもっと加速しないとキツイですね。
「それじゃあ…[怪天]!」
急に体が重くなる。
これは…
「生命力の減衰ですか。」
「え?なんでわかったの?」
「優秀な友達が教えてくれたんですよ。」
一回戦で体力の武士たちが消えたのは生命力が消えてしまったからですね。
武士たちの時代はまだ能力はなかったとされているので一般の方がこの技を受けたら一瞬でお陀仏ということですね。
「まぁわかったところで何かが変わるわけでもないけどね。」
そうなんですよね。
とりあえずこのままいくと負けるので少し無茶をしましょう。
「世界停止。」
視界から消えるだけでも十分動揺させられると思うので背後に回りましょうかね。
「え?っ!?」
急に消えた私に気を取られて背後が疎かですよー。
ナイフを背中に向けて投げる。
「[回天]!」
はぁ。その技強いですね。
防御にも使えるのズルくないですか?
まぁ気を取られて怪天の効果が一時的に無くなったので無駄ではなかったですが。
「いきなりそういうことするのは良くないんじゃないかな?」
「ちょっと何言ってるかワカンナイ。」
「じゃあ片言やめてくれない?」
いじってて楽しい人ですね。
「使うはずじゃなかったんだけどなぁ。」
まだ隠し玉あるんですか!?
「[灰天]」
瞬間世界が灰色になる。
一体いくつ能力を持ってるんですか?
能力は…流石に考えるまでもありませんね。
周辺気温が上昇してる所を見ると熱の発生でしょうか。
「お察しの通り熱の発生だよ。私に対しては効果ないんだけどね。」
「厄介な能力ばかりですね。一体いくつ能力を持ってるんですか?」
「4×2個だよ。」
素直に8って言ってくださいよ。
うっ。流石に暑いですね。
体感60度越してるんですけど。
とりあえず突っ込みましょう。
「ええ!?この状況でこっちに来るの!?」
「はい。そうですが?」
「もうやだこの脳筋。」
だって何とか出来そうにないんですもん。
ヤケクソです。
「たぁ!」
相手の武器は無しですか。
回天さえあれば武器なんて邪魔なだけですもんね。
でも…
「え?なんで…」
「灰天を見てわかりましたが貴方の能力って自分だけ巻き込まれないように能力が発生しないところがあるんですよね。さながら台風の目みたいに。」
「見るだけでわかったの…?」
私のナイフは既に玲奈さんの体を貫いてる。
「これでも相当キツかったんですよ?」
「もう…嫌になっちゃうよ。」
玲奈さんは光となって消えてった。
世界停止は使いたくなかったんですけどねぇ。
鏡花さんとの戦いは相当厳しくなりそうです。
勝者
黄燐寺 結
新人賞に向けて執筆を諦めたので新作連載でも書きましょうかねぇ?




