40話 一度も当たらなければ負けない。
本日1話目。
「さぁ!やって参りました本戦二日目!」
「あいも変わらずこの2人で実況していきます。
よろしくお願いします。」
学園長って忙しくないの?
もうずっと解説してるやん。
「学園長暇なんですかー?」
「仕事は終えて来てるので有給扱いですよ。」
え?あの人実はお休みだったの?
有休消化しながら仕事来るとか社畜の鏡だね。
ただし世界でもかなりのレベルの強さと経歴を誇る社畜だけど。
「春香。大丈夫かな?」
「まぁキツイだろうねー。」
つい前に春香ちゃんは死にそうな表情のまま控室に行った。
春香ちゃんは一対一ならこの学年でも結構下の部類に入るしね。
そのかわりバフデバフならトップだろうけど。
春香サイド
「はぁ…どうしてこんな事に…」
胃がキリキリして来た…
相性は最悪通り越して災厄なんだよ。
やれるとこまではやるつもりだけど…
でも…
やっぱりみんなが見てるのに恥ずかしいことは出来ない。
それにみんなには並んでたいから。
あの4人はすごい。
学年のトップ達が揃っていて揃いも揃って圧倒的な強さを持っている。
本当は私なんかが隣にいていいような人達じゃない。
それでもあの場所の心地よさを知ってしまったから。
一緒にいるには進むしかないよね。
「第5回戦です!」
「伊都さんはかなり厳しい展開にもちこまれそうですね。」
厳しい展開かぁ。
そうだよね。そうなるよね。
「よろしく頼む。」
「はい。おねがいします。」
大和くんが挨拶して来た。粗雑そうな人だと思ってたけどもしかしたら真面目な人なのかもね。
「それでは……試合開始!」
「[天秤は傾く]」
まずは使わないと話にならない。
私の身体能力にまで大和くんの身体能力を下げ、これで身体能力は同じになった。
けど…
「[金剛の拳]!このままじゃ負けるぞ!」
殴った物を破壊する能力。
今は物体だけだけど私と違って一発当てただけで勝てるのはアドバンテージなんて物じゃない。
「はっ!」
状況を整理しよう。
私が彼に勝っているものは戦闘面における技術。
彼が勝っているのは能力。
一度当たってしまったら負け。
逆に言えば…
結論。
一度も当たらなければ負けない。
「ふっ!」
大和くんの拳が私を捉える。薄皮ギリギリのところを避け腹に一発。
その隙に掴みかかってくるけど足を引っ掛け相手を転倒させる。
相手の能力性質上絞め技は使えないから、反撃されないよう注意をしながら太ももの付け根に一撃。
これで機動力を奪うことが出来る。
流石に大和くんも体制を整えてこちらを警戒する。
「……その戦闘技術、どこで教わった?」
「え?普通に母が教えてくれたんですけど…」
「え?お前の親って無能力者だよな?」
「はい。そうですけど…」
どうかしたんだろうか?
「これはもう能力二つだと考えた方がいいかも知んねえな。」
そう言って大和くんは拳を振り回しながら突っ込んで来る。
その拳は規則性のない言ってしまえばガムシャラなものだった。
このままじゃ予測ができない!
バックステップで距離を取りなお距離を詰めようとする大和くんの拳が迫る。
「[天秤は傾く]!」
大和くんの本来のスピードに合わせる事によって隙が生まれる。
「今!」
渾身の一撃を振り抜いて
受け止められた。
え?対応できないはずじゃ…
「悪いが予選で同じ動きをしてたからな。
じゃ、後で武術教えてくれよ。」
なるほど…
でも次は負けませんから。
そうして私の意識は暗闇に落ちてった。
第五回戦 勝者
奥鉄 大和
春香は戦闘における天才よりの天災児。
春香の能力は戦闘向きじゃないが、春香自体が戦闘向きじゃ無いとは言ってない。
お母さんが何者かはまた後々。
実は能力者とかではないです。
一つ言えることは彼女の家庭はかかあ天下です。




