33話 これが俗に言う一寸先は黒ってやつ。
そして迎えた本戦当日。
今日は午前中に第一試合、第二試合をやってから第三、第四となっていく。
結ちゃんが最初の試合なんだけど今日は胃が痛いみたいな事態にはなってない。
…泡吹いてるけど。
「っておーい!!大丈夫!?」
「今まで大変お世話になりました。この御恩は死んでも忘れません。」
「いや死ぬなよ!」
全く、試合が始まるとあんなに生き生きとするのに試合が始まる前はどうしてこんな感じになるん?
「行ってきます…」
「無理は良くない。」
「いえ、大丈夫ですよ、凛さん。」
顔面蒼白だけどね。
まぁ調子も戻ってきたみたいだしいっか。
「頑張って!」
結サイド
どうしていつも私が最初なんでしょうか。
操作されてませんか?
はぁ、切り替えていきましょう。
さて、お相手は奈良田さん。当たったら不味い感じですがぶっちゃけ当たる気がしませんね。
「始まりました!本戦第一回戦!解説は私!
御殿場美幸と!」
「礼仙仙花と申します。よろしくお願いします。」
「学園長!久しぶり見た気がするのは気のせいですか?」
「それ以上言うと減給ですよ。」
「と言うわけで黄燐寺結さんと奈良田幸助君。
頑張ってください!」
見事なスルーですね。
いえ、何も言えなかったのですか。
「では、開始!」
開始の宣言と同時に司会いっぱいに黒が襲いかかる。なるほど、これが一寸先は黒ってやつですこ。
奈良田さんもその影響で見えなくなってしまった。加速して避けるが避けた先にも黒がある。
なるほど。相手の作戦……いや。作戦とも呼べないようなものですが
「なるほど。単純な物量で奈良田君は勝負に来ましたか。」
「これにはいったいどう言った意味があるのですか?」
「まず前提として黄燐寺さんと奈良田君の相性は最悪とも言えるものです。単純に黄燐寺さんのスキルが回避が得意で奈良田君は当てなければ効果を発揮できませんからね。
ですので黒で動きを制限、あわよくば当てるといった戦法に出てるんですね。おそらく渾身の一撃を当てるための布石と言ったところでしょう。」
なるほど。そんな意図が。
「俺の作戦全部バラすのやめて貰っていいすか!?」
確かに可哀想ですね。
儲けもんですね。警戒を続けましょう。
「それにしてもお互いに動きがあまりありませんね。」
そうでしょうね。ではそろそろ仕掛けますか。
「奈良田君は下手に出るとカウンターで試合が終わってしまうからでしょうね。黄燐寺さんはそろそろ動くんじゃないんでしょうか。」
「私にも被害が!?」
こうなったらヤケです!突っ込め!
「うぉ!突っ込んで来やがったっす!でも甘いっすね!」
子分みたいな喋り方ですね。私を取り囲むように黒が動きますが少し加速するだけでこのとうり。
やっぱり回避は楽ですね。
「やっば」
「お終いです。」
首を刎ねてはい終了。なんとか勝てて良かったですよ全く。
「とはならないんだよな!」
へ?
その直後地面の黒から本物の奈良田君が飛び出してきた。
急いで確認すると黒で作り出された精巧な偽物だった。黒って着色可能なんですか!?
それはもうナ○トじゃないですか。
やばいですね。
実況の先生が何か言ってるがもう耳を傾けるほど余裕がある訳じゃない。
必死に相手の攻撃を捌き切る。
偽物の首を跳ねる時に触れてしまって結構ピンチなんですが。
「あなたそんなことできたんですか!?」
「最近訓練したっす!結構実戦に組み込むの苦労したんすよ!」
「声も出せたんですね!」
「黒で声帯も再現したら意外といけたっすよ!」
加速しようにも上手くスキルが起動できない。
この黒動きを制限するだけじゃなくこんな事もできたんですか?
一応使えないわけじゃないですが使いづらいですね。
これ俗に言う絶体絶命ってやつじやないですか?
多分今日もう一回投稿するんじゃないんですか?
多分。




