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癒やされたいキャンパー。異世界を癒やしに行く。  作者: カトー
第8章 魔獣の進撃
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転送試験と影達

 帝国歴391年6の月4日

どうやら、転送ステーション74と113が点検を終え再稼働したようだ。

(4日前の朝、いきなり魔方陣が出現し赤く輝きだした時は驚いた。正常に稼働出来ると信号を受けると直ぐに動かしたようだ。113はセバスチャンとエマが、74はホムンクルス達が上手くやってくれた訳だ)


「お久しぶりです。カトー様、エミリー様。そして、初めまして警備ユニットとサービスユニットのお2人」

セバスチャンとエマでは細かい調整は出来ないと思われたらしく、念の為という事で整備運用係の主任がジャンプして来てくれた。この後は、非接触型通信で情報の同期を取っていたらしく声は聞こえなかったが、そんな事だと思う。

「では、この後の運用は当分の間、私が致しますのでご安心ください」

「カトー様、それでは私たちは2、3時間で王都に戻りまして、転送ステーションが運用可能と報告いたします」

「じゃ、頼もうかな。道が良く成っているから、スピードに気を付けてね」


 帝国歴391年6の月7日

 転送ステーション113目指して、北国街道を二台の馬車が八人の乗客と荷物を載せて進んでいる。

「シーロさん、見た事の無い立て札があります。停めますか? 王都へ来る、馬車便の者からは聞いてはいたのですが」

「確かに、大きな立て札がありますね。何でしょう? 転送ステーションにようこそって?」

「この先の事を知らせているのでしょうか、ステーションまで後100キロ。次のパーキングエリア? まで50キロと書いてありますが」

「ステーションは目的地ですが、パーキングエリアとはなんでしょうね?」


「先程のパーキングエリアは便利でしたね」

「アァ、人も馬も休憩出来たし水場と竈が築いてあったからな」

「この道は、平坦でどこまでも一直線ですな。スピードも出せそうだ」

「これなら、ギルドの新型馬車でなくともいいですな。今までの馬車でも、揺れません、十分使えます」

「道を塞ぐようなものは何も無いし。先ほどの丘は、ど真ん中にくり抜いたように道が通っていましたね」

「シーロ殿、この調子なら2時間しない内に着くと思いますが、また見かけない物が見えてきました。停めましょうか?」

「あんな、所に尖塔が有ります。4本ですね」


 ※ ※ ※ ※ ※


「カトー卿、こんにちは。凄い建物ですねー、驚きましたよ。おや? もう人が居るのですか?」

「ハイ、先日、商業ギルドにお願いした派遣の受付嬢さん達です。確か28人だったかな、中々集まらなかったとフィアナさんが言っていましたね」

「そうですか。で、彼女達は何をしているのですか?」

「研修です。エマ、家のメイドですが、彼女に頼んで色々と教えてもらっているんです」

「ホー、例えば、どのような事ですか?」

「このステーションで行われる登録業務が主体になります。あと、イベント会場の整理みたいな事も必要です。殿下には、次にお会いしたらお話をしようと思っていましたが」


 派遣軍の人的管理記録をする為に、セバスチャンと整備運用係の主任に急遽システムを作ってもらった。目指したのは113で残された部品を再利用した、簡単な記憶装置と演算できる装置だ。思ったより優秀な性能を引き出す事が出来た。やはり、出来上がった装置には、ドアの入り口のセンサーが役立ったと言っていた。工夫した2人が器用なのかもしれないが、何でも使えるもんである。


 兵士20万人と輜重部隊に加えて酒保商人8万人、合わせて28万人が転送される。馬やロバも登録するが、50万件ぐらいは楽に処理できるらしい。

(羊、豚、少しの牛は食用なので登録はしないが、質量的にはかなり増えるそうだ。やはり、転送陣に追加のエネルギー源として魔石を一個追加しないと間に合わないだろうな)


 システムではマイクで声紋認識、瞳で虹彩認識が出来るそうで、今回は全員が転送機を使用するのでまとめて管理しやすい。人事記録や管理が必要なのは当然であるが、今回は派遣軍の兵に生活保障する為に、お給料を月毎に支給する事に使用したいのだ。今までの様に戦場で戦功を上げた者のみ恩賞が渡されてきた。いわゆる武勲の出来高払いは無いだろう。兵たちの生活もあるし給料が無ければ略奪する者が出るかもしれない。


 資金的な事なら今の景気が続くなら、300日分は余裕で払える。他にも色々と策をめぐらしてある。兵達には100日分を転送時に前払いし、向こうで期間が伸びれば月毎に渡す。帰ってきたら200日分を上限にしてボーナスとして渡すと言えば励みにもなるだろう。2重払いしないためのシステムである。(他にも、使えるけど)


 兵員は、4か月分(1カ月は26日あるけど25日で計算がされている。文句は出なかったけど、少しせこい気がする)で王国金貨8枚(180万エキュ。地方では、1食900エキュ、宿屋が1部屋1日朝食付きで2万エキュである)が渡された。お給料の出ている常備兵以外は、下士官は金貨16枚。下級士官は金貨28枚。上級士官は40枚が渡される。

 但し、行きは金貨であるが、帰りは金券になるとした。フェステイバルの事が有って使い慣れた所為か、不満は少なかった。行きに、金貨が出るだけでも不思議なぐらいで、帰りも出れば儲けもんであると後から聞いた。


「大丈夫です、シーロさん。一瞬で、帝国要塞の練兵場にあるドームに着きます」

(シーロは転送の事が不安なのか、お給料の財源を聞きたいのか、決めかねたような顔をしていたが、とりあえず転送される事にしたようだ)


 王国にとっては、転送ステーションの使用など王国史始まって以来である。いきなり、1500名の将兵と装備品を送るのはためらわれるのも無理はない。まして20万プラス輜重部隊に商人達8万人を送り出すのだ。失敗しました、済みませんどころではない。王子は初回に、転送システムの確認の為に副官のシーロとその部下7人、ハト便を扱える影を共に送る事にしたのだ。


「シーロ卿、そんな顔をするな。カトー卿が大丈夫と言っていたではないか? 万が一の事が有っても骨は、拾ってやる。ハハ、冗談だ」

「私、副伯なのにー、中間管理職だった男爵の時より酷い扱いになってますよ」

「まぁ、愚痴はカシミロに聞いてもらえ。じゃ、元気に行ってこい」


 カト―が以前、転送ステーションで何気なしにスイッチを入れた転送システムが、今再び本格稼働を始めた。稼働し、転送完了するまでのほんの一瞬の時間だが移動距離は2000キロを超えている。

「カトー子爵、まったく殿下の冗談は体に悪いですよ。って、着いたんですか?!」

「シーロさん、転送はどうでしたか? ここは、帝国要塞の練兵場にある建物です」

「ウーン……。イヤ、失礼いたしました。これは、……カトー子爵。転送と言うのは実に凄いものですねー」

「そうでしょうね。私も初めての時は一瞬、何がと思いますよね」

「ハィ、おっしゃる通りです」


「さあ、あのドアを開ければケドニア神聖帝国の帝国要塞が見られます」

「そうなんですか……」

「そうです。入口を開けると、戦闘用ゴーレムが巡回して警備していますから気を付けてください」

「子爵が、貰い受けたと言うゴーレムですね」

「ハイ。では、宜しければ行きましょうか? 到着予定も日時も何も言っていませんから、まず司令部の方へ行きましょう。途中誰かに会うでしょうから、到着を知らせて貰いましょう」

「この倉庫? も、かなりの大きさですけど」

「あぁ、これ僕が作りました。113に有る連結型倉庫と同じです。今は一つですけど、規格として覚えておけば、同じ形を沢山作る時に便利なんです」


 ※ ※ ※ ※ ※


「ご紹介しましょう。ラザール・ブレソール・ピエール・ショヴォー、ケドニア神聖帝国・帝国要塞司令官。ケドニア神聖帝国軍中将です。こちらは、マルタン・ルネ・マルセル・オリエ ケドニア神聖帝国・帝国要塞副司令官。ケドニア神聖帝国軍大佐と、マチュー・オーブリー・デサイー神聖帝国・帝国要塞、ケドニア神聖帝国軍少佐です。マチュー少佐は、今回皆さんのお世話をして戴けるそうです」


「シーロ・モンポウ・クエジャル副伯と申します。。イリア王国、第一王子セシリオ・アルバラード・バレンスエラ・カナバル様の副官です」

 紹介する人の名前を言えた僕も偉いけど、みんな、長い肩書持っているので以下略。王国の外交官も、今回3人来ている。後は事務方のシェルパと呼ばれる人達だね。セシリオ殿下の所の、外交か経済のメンバーなのだろうか。8人の内、1人は影らしいが。帽子を深くいつも被っているし。わかるよ。


 送られて来た荷物には伝書ハト達も含まれる。ハトの移動距離は、1日で400~600キロ程度が見込めるそうだが、魔獣の上陸の時の知らせてくれた様に、エバントの山のタカにやられる事も多いと言われている。だがこれからは、持ち込んだ数が増えた事により連絡回数が増えて、8日以上かかる片道連絡も1日だが短縮が見込めるそうだ。


 その夜、シーロは全員と装備品の確認を済ますと、影にその旨、王国にハト便を飛ばす様に命じた。

「発、シーロ。宛て、第一王子セシリオ殿下。本文、帝国要塞無事到着。転送異常なし」

10日もすれば、王国から次々に人が来るだろう。


 ※ ※ ※ ※ ※


ハト便が飛び立つ頃、カトー達は、名簿を統合官に渡していた。


「やっぱり、職業名で、呼ぶより名前が良いと思ってね。王国では一応、僕の保護下にあって領地で自由に暮らせるという事で話をするので、それらしい名前にするけど。もちろん、今からでも自分で考えてもらっても良いけどね」

「もちろん、各自が選ぶのも良いとは思いますが、今回の、87人はみな一族郎党としてカトー様とエミリー様の名を使わせていただきます。お願い出来ますでしょうか?」


 前回の亡命打ち合わせの時に、職業名だけでは何かとまずいだろうと、100人分の男性と女性の古代アレキ文明風の名前を考えて持参したのだ。普通の人は、人の名を百個も考えるなんて、頼まれてもするもんじゃないと思うよ。


「カトーと、エミリー・ノエミ・ブリト・ロダルテの合成で作ったんだ」

カトーの次がブリトで男性の名前になる。これはエミリーの父方の苗字。カトー・ロダルテが女性の名前、これはエミリーの母方の苗字。だから、

 アドルフ・カトー・ブリト、アラン・カトー・ブリト、アルベルト・カトー・ブリト、アルトゥル・カトー・ブリト、バルナバーシュ・カトー・ブリト、ボフスラフ・カトー・ブリト、ボレスラフ・カトー・ブリト、ヤロスラフ・カトー・ブリト、ドミニク・カトー・ブリト、ドラホミール・カトー・ブリト、イグナーツ・カトー・ブリト、エヴシェン・カトー・ブリト、フェルディナント・カトー・ブリト、ヤロミール・カトー・ブリト、ヒネク・カトー・ブリト……と50個の男性の名前が続く。


 アレクサンドラ・カトー・ロダルテ、アレンカ・カトー・ロダルテ、ベドジシュカ・カトー・ロダルテ、ビェラ・カトー・ロダルテ、ユディタ・カトー・ロダルテ、ダニエラ・カトー・ロダルテ、ダヌシェ・カトー・ロダルテ、ユーリア・カトー・ロダルテ、エミーリア・カトー・ロダルテ、ヘルミーナ・カトー・ロダルテ、イロナ・カトー・ロダルテ、ヤロミーラ・カトー・ロダルテ、ヤロスラヴァ・カトー・ロダルテ……と50個の女性の名前が続くのね。


「リストに男女合わせて100個あるから、足らなくなったら言って。好きなのが重なったら、一世とか二世でもいいから。ダメなら考えるから。決して、面倒だとは言わないから」

「はい、カトー様。有難うございます、戴いた名に恥じぬよう精進致します」


 名前の次は、亡命方法と手順になるが、王国入りしてからの事も考えなくてはならない。王国にも帝国にも知らせてない転送陣で113の地下の秘密の部屋に行ってもらう。ホムンクルスなら、別荘まで走っても行ける。

 領地の別荘で、一時待機しがてら狩りをする。文字通り肉体を作り、しかるべくしてから町と交易すればよい。別荘近くにはシエテとタラゴナの町もある。頼りになる知り合いもいる。鍛冶屋のテオドシオとの話もある。


「カトー様、以前お話した、警備用ホムンクルス7人の用意が整っていますが?」

「何処まで、準備が進んで居たかな?」

「一般訓練と、常識程度ですが、ここは113に転送してセバスチャンでしたか? 彼に教育してもらえばと思うんですが。それにここですとタンパク質が無いので、外皮の組織などを作った方が傍におけると思います」

「113には主任も居るしね、何かと協力してくれると思うんだ。じゃ、名前だけ決めてあるので送って貰おうか。ドック、グランピー、ハッピー、スリーピー、バッシュフル、スニージー、ドーピー。のホムンクルス7人ね。一応、7人の小人と考えてみたけど」

「カトー、名前を付ける才能。凄いなー。あっと言う間も無かったぞ」

「そうでもないよ、エミリー。僕、男女合わせて100人分考えたんだよ。それに比べたら」

そう言って、7人の小人の人名表を見せたんだ。人間は誰しも、隠れた才能が有るのかもしれない。


 ※ ※ ※ ※ ※


 帝国要塞には、メイド達がいる。要塞に初めて来た時から、いつも世話をしてくれるハスミン・ソルデビラ・ルカスさんは小柄な女性だ。失礼かもしれないが、ちょっと可愛い小型犬の様な感じの様な人だ。後輩には、同じく小柄なメイド。絶対に、ネコ耳をつけるとかわいいエメリナ・サラビア・カプデビラさんがいる。

(犬系と猫系。感じのいい、可愛い系でもあるな)

「カトー、いつものメイド達では無いか。失礼だろそんなにジロジロと」

「イヤ、この間の歌謡ショーのレイナとルイサのメイド服。あれと本物を比べて見て改善点をですね……。なるほど、レースカチューシャなんだ? フリルカチューシャも良いな? でも少し大きいのか。うちの店はヴィクトリアンだからな、やっぱり食品関係はキャップじゃないとなー、不味いかもしれんしな。シニヨンカバーぐらいまで譲歩するしかないかな。それとも、思い切ってネコ耳カチューシャはどうかな。指示してくれる層はいると思うんだけどな。残念だけどフロアーの接客ぐらいが限界かも知れんなー」

「もういいだろ、行くぞ」

「ウン。でも、もうちょっと待ってー」

「カトーちょっとこい。いいから」

「あの2人、気を付けろ。私が見た処、身のこなしが王国で戦闘訓練された者の動きだ。イリア王宮や、貴族に仕えるメイドは戦えるのが当たり前だが、ここはケドニアなのだからな。おかしいと思わんか?」

「エミリーさん! それ本当なんですか?」

「あぁ、訓練も、戦えるのも本当だ」

「イヤ、そうじゃなくて。イヤ、そうでもあるか……?」


 ※ ※ ※ ※ ※


 私がケドニア要塞に入り込むのは、魔獣の侵攻もあって楽だった。ハスミン先輩は、かなり苦労したらしい。今回、帝国要塞に潜入し任務中なのは私たち2人だけだ。


 エミリー様が、あのメイドたちには気をつける様にと、カトー様に言っていたのはさすがだ。メイドは、お屋敷のどこに居ても怪しまれないし、夜中にウロチョロしても仕事ですと言えば誤魔化しやすい。普通の人は、まずメイドが影だとは気が付かないだろう。


 獣人の里での女の子たちの訓練は、メイド研修から始まるのが普通だ。もちろん基礎を覚えた後はウエイトレスも良いし、酒場のマダムに憧れる人も多くいた。猫系の人は、元から下地はあるそうだが私には、押しが足りないらしい。犬系の人は、先輩の様にどちらか言うとまじめだ。猫系の人は夜型で、昼寝をよくするのんびり屋さんが多いみたいだと言われる。里の中ではそんな感じだが、外では夜型と言うのは作戦行動に役に立つと言われた。


 森の他何もないと言われる里だが、祠が沢山あるのが唯一の自慢だ。この里の者でも、長老以外は入ってはいけない掟が有る。実際、子供が入ると危ない大きな洞窟もあるのだ。御神像のR様がおられるのは、東の祠だ。1人、入口に立たれて何かを警護している感じなのだ。R様は苔むしている石の様な彫像にも見える。高さは、17・18メートルはあるようだ。


 今となって分かったが、この要塞の騎士の間の彫像達はゴーレムだったのだ。ひょっとして里のもと思ったが、何百年も前からあるのは同じだが、残念ながら目が二つある。スカートみたいなのも、履いてないし体の形も違う。ハスミン先輩に話したら、「一応、報告として挙げておくが重要とも思われないので、報告書の山に埋もれてしまうだろう」との事だ。


 王国からシーロ副伯様一行が来られたので、要塞中があたふたした感じになっている。表向きには転送システムの再構築が有った為その運用を帝国と協議するのとイリア王国の援軍を呼ぶ準備の為と言われた。カトー様達も、同行されていたので、今回も担当のハスミン先輩共々慌ててしまった。


 要塞でのゴーレムの事も驚いたが、極秘に言われた小頭の命令では、地下のホムンクルスの亡命を手伝う様にとの事だ。実際に動くのは、同行された先輩なので、ハスミン先輩と自分はサポートになる。普段なら、とてもレベル4になりたての、私が知る事は無かっただろうという案件だ。先輩だってレベル7なのでちょっとだけ無理だと思う。


 ※ ※ ※ ※ ※


 後輩のエメリナが、里の御神像の話をした時にはなるほどと思いかけた。しかし、すがた・かたちがまるでちがう。後輩がせっかく気付いた事なので、報告書にして提出すると言っておいた。のんびり屋さんに見えても、鋭い処が有る新人だ。


 今回の、ケドニア要塞の潜入任務は苦労した。平時の要塞では、メイドは殆ど必要が無いのだ。需要が無い所に無理やりと言うのはおかしいので、小頭の指示でしばらく貴族のメイドをステファノ市でしていたぐらいだ。幸い、空きが出たので良かったが、下手をすれば任務を失敗する処だった。それに比べ、エメリナはすんなりと入って来た。この時には、人には運というものが有るなと思った。


 定期報告には、エメリナの言っていた里の御神像の話を加える位と思っていた。後は、コンスタン・ジルベール・ドゥスト帝国軍少尉が転任してこられて、私たちの部屋近くに入室されたぐらいだ。今回は近況と、要塞の備蓄状況の報告ぐらいになるだろう。まぁまぁ、好みのタイプで大柄のちょっとイイ男だった。


 お頭は、次期国王陛下セシリオ殿下の副官シーロ様の部下だ。シーロ様は、表向きは帝国への援軍について、その実はカト―様のお話でホムンクルス達の亡命と移動のお手伝いに来たと仰っている。これは、同行して来た影から知らされたが、地下にそんな秘密が有ったなんて気づきようも無い。イリア王国は今年181年になるが、要塞に潜入した歴代の先輩達や小頭も気が付かなかったのだ。いくら私が、レベル7でも気付くはずがない。全くとんでもない事が起きたものだ。


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