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癒やされたいキャンパー。異世界を癒やしに行く。  作者: カトー
第8章 魔獣の進撃
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ショータイムです。ドラゴン登場

 帝国歴391年5の月13日

「カトー様、聖女祭り用のポスター? と仰いましたか、案内? 紹介? が出来てきました。六案を用意いたしました。どうぞご覧下さい」


「聖女祭り、夜の祭りに行きましょう。夜店も良いもんです。あなたも賢者様の生まれ変わりの方と会えるかも」

「花火大会と、ファーイアーショー。これは、何が出て来るかお楽しみ」

「練兵場のドーム中央に謎の岡が出現! ドラゴン飛来か?」

「噂の賢者様、ドラゴンがくるかも。魔導士が登場。輝く光球が空に大輪の花が咲く。花火大会に行こう」

「聖女祭りには夜店がいっぱい。王都の練兵場に行ってみよう!」

「メリダで聖女祭りが始まります! この王都遠征軍フェステバルは、毎晩夕方から深夜まで行われており、5の月いっぱい開催される予定です」


「僕の意見ですか? そうですねぇー。聖女祭りの当日は、メリダ中心部の王都の第一、二、三、四聖秘跡教会前の広場に夜店が並びます。この聖女祭りのイベントは今年が第1回目なのでそれを強調した方が良いです。王都の夜景を楽しみながら屋台めぐりはどうでしょう? メリダの観光ガイドブックか地図があれば各会場をハシゴすると言うのもあり。と具体的なのがいいと思います。フィオナさん、どうですか?」


「私ですか。例えば、……夕日の中、うっすらと見えるロンダ城を中心にして右回りがお勧めです。とか。お昼間は、軽食や酒場などのお食事処、服やアクセサリーや雑貨を売るお店の出張販売、射的などで遊べる屋台もあります。様々なお店の出張販売で、幅広い年齢の人が楽しめます! なんて具合ですね」


「さすが、フィオナさん。……またこの王都の聖女祭りのイベントでは、歌謡ショー、水芸の演劇、吟遊詩人の読み聞かせ、などの催し物も同時に開催されます。ここを強調すれば良いのでは?」


「では、こういうのはどうでしょう。……聖女祭りでは遊覧馬車に乗って遊ぶことも出来ます。この中では、皆さんに立ち寄り先にて第4のお食事(軽夜食)が出される予定です。ライトの魔法による照明で王都の水道噴水は、幻想的な色合いを見せてくれるでしょう。と、でも入れておきましょう」


「後、細かい情報も分かる方が良いんじゃないですか。そうですね、……この王都の聖女祭りのイベント会場へ行く公共交通機関には、辻馬車があります。メリダ聖女祭り期間中は、辻馬車は27時間運行しているので安心です。メリダには循環型のA線とB線の2本があります」

「そう言うのも良いですね」

「もし帰りも辻馬車や辻馬車でご帰宅される予定でしたら、事前に1日パスか往復分2枚の辻馬車の切符を購入されておくと良いでしょう。尚、王都守備隊や巡邏警備隊が居ますが事故や犯罪に会わない様、夜間は注意しましょう。念のため辻馬車や辻馬車に乗車したら身辺の安全を冷静に周囲の状況を観察・確認する事がとても大切です。は必要かもしれません」


「聖秘跡教会の大きな鐘楼が見えます。水面を渡って来る涼やかなそよ風が、最高に心地良いです。ロマンンチックな夜をお過ごし下さい。なんて言うの、私好きですね」


 ※ ※ ※ ※ ※


レイナとルイサの2人の冒険者金髪の美人姉妹

「私達、本当に出るんですか」

「そうだとも、君たちの美声をみんなに聞かせないなんて社会的損失だ」

「カトーは少し言い過ぎだ。だが、本当に2人とも声が良い、ルックスもいける。なにより若い。あきらめなさい」

「エミリーさん、そんなこと言ったて」

「私だって、水芸をするんだ。それに、2人とも大切な前座要員だ。よろしく」

「それに、エマに個人指導して貰っているから、歌唱力も上がっているよ」

「でも、歌は良いんですけど、お店のメイド服だし。それに、カトー様。モー、なんでこの衣装、膝が出ているんですか?」

「私達。タティアナ店長からも、スタッフのシフトがきついから練習もいいけど早く帰って来いって言われているんですよ」

「君たちはアイドルなんだから。ブツブツ言わない。サァ、サァ、オンステージだよ」

「また、訳の分から無い単語を。カトー、チョット来い」

「何かな?」

「気を付けろよ。身バレするぞー。最近ではみんな、お前みたいに変な単語を言い始めているんだぞ」


 ※ ※ ※ ※ ※


「花火大会。練兵場のドームがメイン会場ですね。花火と言うのは、簡単に言えば火薬と言う物を空中で爆発させて、その色や形を楽しむものです。ですから、仕込みを含めて東方では専門の職人が居るほどで、大会と名が付けばそれなりの玉数と人手がいるのです」

「それを、カトー子爵。お一人でなさるのですか?」

「ハイ、そうです。ここは一部が屋根つきですが、解放感が素晴らしいのでね。ドーム形状をいかした、階段状の観覧席が全周に配置されていますし、中央には直径100メートル位の丘もあります。これシーロさんのアイデアをそっくり頂きました。舞台として最高になりそうですね」

「イヤー、丘なんてちょっと思いついただけなんですよ。お恥ずかしい」

「まあ、火魔法の応用なので花火の形だけです。ドドーンという打ち上げ音が有りませんが、爆発音は出る様にしてあります。とても幻想的で綺麗ですよ。輝く光球が空を飛び交いってね」

「ホー、それは見てみたいものですね」


「ライトの魔法も所々に使ってますので、会場全体はそんなに暗くはなりません。足元が危ないですからね。式進行と演出は色々と考えたんです。舞台になった5、6メートルの平らな丘の上から、2、3分おきに火の玉が一直線に上がって。そうですね、高度3・400メートル位にしておきましょうか、爆発して球状の光の珠になるのです。王都中から見られますよ」

「それは、綺麗なのでしょうね?」

「綺麗などと、色とりどりの光の花が、天空一杯にあふれ光の祭典になるでしょう。最後は、ナイアガラと言う特殊魔法を使い、光のカーテンを丘の廻りに作り出します。それが終わると丘の中央に魔導師が現れるんですよ」

(ここらへんで、光学迷彩タイプのフード付きのローブを脱いて、透明人間が丘の舞台に姿を現すと言う流れだね)


「直前には、風魔法で声を乗せて、ドラゴンを召喚するだとか適当に言います。そこで、会場全体に聞かすようにしてから、北の空を見させます。そこにドラゴンが現れる。そしてさっきまで、誰も何も居なかった丘に一人の魔法使いが現れる。空にドラゴン。動きのある演出を狙います。ドラゴンが丘の上を舞います。ここでドラゴンは炎を吹きだしながら夜空を舞います」

「カトー子爵。ドラゴンブレスは危険なのでは無いですか?」

「そこはチャンと危なくないように、やや上方に向けてですから大丈夫でしょう」

「そうですか。安心しました。しかし、何とかいう物語に出来そうな感じですなー」

「そうです。全ての事に物語は必要なのです。それに至った道筋が、多くの人に共感を呼ぶんです。伝説のドラゴンだ。凄いねーと、みんなが思うその時。会場に、一体感が出来る。その時、丘の中央で光り輝く、魔法使いが登場するんです」

「確かに、ミスリムの胴着は光るからな。でも、カトー、少し寒いかも知れんぞ」

「そうか、じゃ止めて。ライトの魔法に変更しよう。衣装は、いつもの灰色のガ●ダルフスタイルにするよ」

「そこで、盛大な拍手でも起こるんですか?」

「イエイエ、そんな簡単には終わりません。いいですか? 僕の手の平から、大きな一つの珠が作られて、これも、そうだな。空に向かってドーンと。みんな、か~め~は~●~は、は知らないでしょ。そこで再び、フッと姿が消え。あまりの驚きに静寂が広がる。しばらくして万雷の拍手と言う所ですね」

(か~め~は~●~は、体の魔力エネルギーを、打ち出す事だと思うんだ。なんだか自分にも、できそうな気がする技なんだけどね。演出過多かなー)


 ※ ※ ※ ※ ※


「ン……、……?」

「で、? どうしたのドラゴン?」

「ドラゴン。確かに、この上で飛んでいましたねー……」

「ドラゴンが来たって、あれだけですか?」

「本当に? チョイ出ですよねぇ」

「イヤ、もう飛んで行ったし。魔法使いの出現と言うのがメインなので」

「エー! せっかくのドラゴンの登場、もう少し見たかったのに……」

「そうですよね。皆、楽しみにしていたと思いますけど。……ドラゴン! 行っちゃいましたねー」

「エェ、もちろんカトー子爵様が悪い訳じゃ無いですよ。花火は綺麗でしたよ。でも最後の大きな花火を打ち上げたんですよねー」


「偶然だと思うんですが、ドラゴンのシッポに当たったちゃったし」

「観客のみなさん、ドラゴンの逃げて行った? すみません、言い方が何でしたね。エーと、去って行った方ばかり見ていたし」

「灰色のローブは目立たないしねー。大丈夫、フッと姿が消えましたから、犯人は分かりませんよ」

「マ、ドラゴンのお披露目だけは出来た事だし……」

「ちょっと、何でしたが、すべって無いですよー。いい、演出でしたよ。ネ、皆」


 ※ ※ ※ ※ ※


「気を取り直して、フェスティバル開催中!」です。お店は休みにして、キャラメル造りとイベントのお手伝い。もちろん、歌謡ショーは外せない。砂糖は、サンスが少し入荷してくれたので、この際ケーキ屋さんでは使わず、フェステバルでの露店で試食販売をする事になり、タティアナ達が頑張って作ってくれた。屋台は、話を聞いたアニバルが提供してくれたので、後で忘れずにキャラメルを持ってかないとね。


 従業員慰安の、お休みになる予定だったのに。ボランティア活動で、教会でご飯を作りに行くタティアナとデボラは、後で参加の予定だ。お店の営業より、忙しくなりそうである。


「歌謡ショーの始まる午後には、間に合うように行かなくっちゃ。ドリナ、エデルミラ、フリダは先に歌うんだろ?」

「トリオとやらで、舞台に立つ予定だよ。デボラ母さんたちは、ディオらしいね」

「ロンダっ子だからね。ここいらの、民謡はたいてい知っているよ。練習は、調理場でいつもやっているからドンとこいだね」


 ※ ※ ※ ※ ※


「やっぱり、こんないい職場は無かっなー」

「言ってた奴、正解」

「その通りだったな。給料はドンドン上がるし、女にはもてるし」

「もてているのは、この執事服が恰好いいからかもしれんが」

「男が着ても、もてる。が、あの3人が着ると凄いなー」

「ドリナ達、3人だろ。誰かが言っていたが、親衛隊と言うのが王都で出来ているそうだ」

「親衛隊? そんなの近衛師団に有ったかな?」

「違うよ。ほら、カトー様が最近ファン何とか……」

「あぁ、ファンサービスだろ」

「あの一環で、お作りになられた美味しいケーキの店の、会員サあービスだそうだ」

「無理にカトー様の言葉をマネしなくても良いんだぞ。それにサあービスじゃ無くて、サービスな。で、あの3人の、エマさんが描いた姿絵が抽選で当たるそうでな、はじめてから会員数がうなぎ上りらしい」

「今回の、歌謡ショーではトリオで歌うらしいぞ」

「俺も中で見たかったが、女性専用時間だからな。残念だよ。まぁいいさ、こうやって警備しているだけでも、弁当がでるからな」

「レイナルドさんとアイダさんは、花壇の水やりを済ませたら、弁当を持って来てくれると言っていたな」

「あぁ、アイダさんが幕の内弁当を作ってくれるんだ。レイナルドさんと、昨日市場に材料を買いに行ってたが、何とか協賛セールで、安かったと言って一杯あったぞ」

「幕の内弁当とか言ったな?」

「アァ、そうだ。カトー様の、故郷の料理法らしい。舞台が、開催中の時しか食べれないらしい。色んな物が少しずつ綺麗に並べられてな、うちの持ち帰り用のケーキ箱に入れてきてくれるそうだ」


 ※ ※ ※ ※ ※


「アニバルさん。私、そろそろ帰らないと」

「ああそうだな。フィアナは、帰れる時間なんだな」

「カトー様がいらしてから、残業は当たり前ですしお休みも無いのは当たり前でして。みんな倒れそうなんですよ。モー、肌は荒れるし、お化粧の載りも悪くて」

「そうか、僕も目の廻りが落ち込んでいて、アイシャドー状態になっているんだよ」

「アニバルさん、冗談に冴えがありませんよ」

「そうかい。そのままの事を口に出しただけなんだがー。私も、家に帰りたいよ。家内が、ちゃんとお弁当と替えの下着を持って来てくれるのが救いだよ。でも、この前なんか、家に帰ったら孫に知ら無い人って言われたしなー」

「しかし、こんなにも人というのは、働けるものなんですね」

「こんなにしても、終わらないぐらいだしな」

「私まだ、受付嬢、30人の派遣案まとめてないし。でも、イベントは王都競馬優勝パレードでお終いのはずですよ。何とか、やり貫きましょう」

「甘いね。カトー子爵のお考えは、そんなもんじゃ無いよ。私は、その翌日にクラウディオさんを招いて、小鬼達と一勝負しなければならんのだよ。まだまだ、続くんだよ。それに、君には明日から帳簿付けが待っているよ。フフッ、楽しみにしていなさい」

「アニバルさん、随分と黒くなってますよ」


 ※ ※ ※ ※ ※


「本当に、毎回、私がやらなければならんのか。フェスティバルとやらは、もう終わったのに」

「当然でしょ。憶えたんだから。他の人は、お店で忙しいの。それにエミリーは、美人で水魔法が使えるんだし、もったいないよー」

「ウ、ウ、なんだかなー」

「サッサとやる。みんな、見ているんだからなー」

「カトー。お前な、赤い頭巾と、赤いマントを着て。仮面を着けて舞台に出て行く、身にもなってみろ。モー」

「始めるよ、良いね。ハイ、皆さんお待たせいたしました。では、本日の真打ち、謎の仮面の美女。水の饗宴。はじまり、はじまりー」


「ここの、水芸。凄いそうですよ」

「オァ? このチラシ。仮面着けているのに、王国一の美女ってわかるのか?」

「イイじゃないですか。演芸なんですから、軍曹。こっち、こっち」

「そうそう。伍長の言う通り。指先から、足の先だって。この間なんか、俺の手に持っている剣先からだって、水が吹き出るんですよ」

「普通の、水魔法じゃないのか?」

「そうだとしても、演出も凝っているんですよ。これは、水魔法というより噴水術ですよ」

「伍長の言う通り、水からくりですね。まず、見ている者の目を集める。つかみ、コマ回し、水芸をして、玉取り水と言うのがあって、綾取りが終わると、大水と言う大技で、舞台中が水の饗宴になるんですよ」

「工夫された仕掛けなんです。何と言っても、手際の良さがいい。これが受けない筈ないですよ」

「ちょっとー。お前達、詳しすぎないか?」


「カトー、もう止めないか? 春とはいえ五の月だし。風邪をひきそうだよ」

「エミリー、あと一回で契約終了だよ。実演付きなんだよ。頼むよ、舞台に穴が開いちゃうよ。サァ、サァ。水の曲芸師。水の芸術。謎の仮面の美女」

「おかしな事を言うんだな。何の契約だ? でも、私の前が玄人の歌謡ショーと抱き合わせと言うのもな。前座が盛り上がりすぎると後がやり難のに、また今日も。ウン、幕が上がったか。しょうがない……! カトー、出るぞ。お囃子よろしく」


「がんばってねー! エミリー、待ってました。ヨ、大統領! ……演芸ノウハウは販売できたけど、言えないよなー」

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