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癒やされたいキャンパー。異世界を癒やしに行く。  作者: カトー
第8章 魔獣の進撃
73/201

ドームと食べ物フェス

 ※ ※ ※ ※ ※


「いよいよ明後日から始まりますな。アニバルさん」

「そうです。てんてこ舞いでしたが、何とかなりましたな」

「巨人の火祭りと違って、伝統衣装を身に付けたご婦人が花束を持ってパレードですよ。艶やかさが違いますよ。それを華やかな衣装の騎士様達がエスコートするんですよ、若い娘などキャーキャーですよ」

「騎士様達も、まんざらではない様ですからな。ところで今日は例の?」

「そうです。魔石・中の話ですよ」

「カトー様は、1個60億以上ならと言われましたが」

「私もなんです。それに買い付けの事も」

「やはり、そうでしたか。同じお話をされたのでしょうな」


「私は、前回のオークションで買い損ねた貴族の方から、110億で分けてくれとの話がすでに決まりました。これで貴族の方に、まだ手に入らぬのかと言われずに済みそうです。助かりました」

「それは、良かったですな。こちらは、93億でと、さるお坊様が声を掛けられまして。まず間違いなく」

「手数料などを、引いても180億にはなりますな。この販売代金を、使って投資ですよと仰ってました。小麦、大麦、豆、塩等を買えるだけ買えと」

「今から買って、15日後に皆売れとの事です。5の月8日でしたから5の月24日競馬大会の翌日ですか。で後は、幾ら増えるかわかりませんが、セシリオ殿下の口座に入れておけと」


「私は、商業ギルドの様に食料は扱っておりませんから、そちらに全額お渡しをして紹介料だけで結構でと言う処ですが、今回はご遠慮します。なに、知り合いのサンスという者に、一口噛ませていただければ、それで良いという事で」

「では、180億はこちらで。4品目、万遍なく買い入れましょう。多少手間ですが、書類で済むんですから。しかし、額が大きすぎてハラハラします」

「カトー様は、一度だけ目をつぶると仰ってましたな。なにしろ国家機密相当ですからね。よくこんな情報を手に入れる事が出来ましたね」

「声が大きいですよ。ここでは大丈夫ですが内密にという事ですよ。それはともかく、何とか同額を集めるつもりです」

「180が3倍でも、ギルドは500、600。殿下の口座には400、500は固いでしょうな」

「ハイ、最低でもと言う処でしょう」


「アニバルさん、カトー様が来られました。今、要談中だと言ってお待ちいただきましょうか?」

「イヤ、ルフィナ君。すぐにお通して、クラウディオさんもいらしていると伝えてくれ」


「カトー様、私も同席して、良かったでしょうか?」

「はい、ちょうど良かったです。この後、クラウディオさんの所にお邪魔しようと思っていましたし」

「では、例のお話ですね」

「エエ、そうです。魔石もどうなったか知りたかったし」

「今もアニバルさんと打ち合わせしていたのですが、魔石は2人とも売り先が決まり、後は入金待ちです」

「それを元手に、麦などの買い取りを始めております。おそらくあと3日もあれば、いや2日でもかなりまとまった数になります」

「信用で買っていますが、私が引きますので代わりにサンスを加えても宜しいですか」

「私は良いと思いますよ。サンスには、砂糖の事で苦労をかけているし」

「では、さっそく話しておきましょう」


「うちのギルドは、手早く現物を押さえましたので、今はエバントの商会と話を始めております」

「ベルクールの小鬼ですな。気を付けないと」

「それはもう、何時もやられてばかりですからね」

「しかし、カトー様は帰り際に、ため息なのでしょうか? 売るだけかと言われましたな」

「クラウディオさん! ひょっとして、買い方として反対商いでも利が出るのでは?」

「だとすると、売って買ってという事ですか? 倍の利益が狙えると、言われてみるまで気付かなかったとは」

「ウーン。カトー様という方は恐ろしい方ですな」


 ※ ※ ※ ※ ※


「カトー、本当に今から要塞に行くのか?」

「そうだよ、絨毯と違って片道10日もかからないよ。ミレアのスピードだとおそらく5・6時間だ。夜になっているから要塞近くに降りられる。そこから絨毯で移動する。司令官達とお話して、すぐロンダにトンボ帰り。一晩はかかるかな? 朝には、戻れると思うよ」

「ウーン。徹夜になるんじゃないか?」

「ミレアの背中だから、今まで乗った事も無い、座席を倒せるファーストクラスだよ。何なら、足を延ばせるし寝袋にだって、ぐっすりと寝られるよ。統合官に話さないといけないし、74の再構築も頼んでおかないとね」

「寝袋が、良いのか? そうだな、113だけでは転送できんしな」


 ※ ※ ※ ※ ※


「ラザール司令官、マルタン大佐。お久しぶりです。夜、遅くにすみません」

「何の、やっとお会いできましたね」

「竜の巣を探索し、無事見つける事が出来ました」

「オォ、そうなのですか」

「残念ですが、対魔獣兵器は発見できませんでした。しかし、ドラゴンは偶然でしたが発見しました。現在はドラゴンと極めて友好的な関係にあります。山間部の転送ステーションは対魔獣用の兵器が昔あったかもしれませんが、実機は見当たらず図面も不明でした。ドラゴンには、会えましたので引き続き探索はしております」

「有りませんでしたか。残念です」

「次は、王国に有る転送ステーションの稼働を目指しますので、時間が惜しく感じます。すぐにもでも飛び立ちますので。よろしく」

「おぉ、ご苦労様です。以前、王都から来られるのに10日かかったとかお聞きしましたな。大変お疲れでしょうが、よろしくお願いしますぞ」


「統合官お待たせ、やっと戻れたよ」

「ご苦労さまです。首尾はいかがでしたか?」

「王国と、ちゃんと話をして来たよ、亡命は受け入れるそうだ」

「そうですか、良かった。ラザール司令官とはどうでした?」

「あぁ、納得しているとは思うけど。これから、すぐに出かけるよ。今はエミリーが司令官達と話していて、間を持たせていてくれるんだ。絨毯に乗ってミレアに乗り継いで。ミレアって、これドラゴンの名前ね。名付けたんだ。夜が明ける前には、王都に着くと思うのでトンボ返りするんだよ」

「分かりました。転送ステーションの事は任して下さい。必ず稼働させます」

「あぁ、お願いするよ。練兵場の建物は、引き続き完全閉鎖を頼んであるけど見つからないように注意してね」

「大丈夫です。作っていただけた、地下トンネルがありますので上手くやれると思います」

「次は、113が稼働してからだと思うけど。あぁ、そうだ、ゴーレムに乗っている助手達にもよろしく」

「はい?」

「来る時、見たんだ。練兵場の建物入り口で、転送部品の不寝番をしているみたいだからね。じゃ、またね」


 ※ ※ ※ ※ ※


 なお、この四聖女の祭りと同時期に、突如として出現した巨大建築物がある。王都の練兵場にある建物がそれで、中央部が大きく切り取られた一部が屋根つきの巨大なドームが造られている。全天候とは言えなかったが、ドーム形状をいかした階段状の固定された観覧席が全周に配置されている。

 ただ、一晩で造られた事(それも1分以下とされる)が、王都七不思議として知られている。極めてあいまいな話であるが、深夜ドラゴンが飛来して作り上げたと言う、巡邏警備隊々員の話がまことしやかに伝えられている。少し前、その真相を知る者が王都に近づきつつあった。


「主、ドームと言っておったな。ついでに作ってしまったらどうだ」

「眠かったけど、今の一言で目が覚めたよ。確かに、夜明け前で人はいないと思うけど」

「では、良いのじゃな。……! と。ウン、これで良いな。入口は八か所だったかな。階段状の席とドラゴンの丘も作っておいた」

「もう終わったの? ドラゴンの丘? ! とだけで」

「結界を張っておいたから主以外、何人も入れぬ丘じゃ。舞台にすると言っていたろ」

「覚えていてくれたんだ。ありがとう。ご苦労様。ゆっくり休んでね」


「巨大ドームとは何の事でしょう?」

「エ! アニバルさん。ご存じないのですか? 昨夜の話ですよ。朝から王都中の騒ぎになっていますがー」

「ルフィナ君。君と違って僕は家に帰れなかったたんだよ。パレードの用意で徹夜が続いたので、昼まで仮眠室で寝ていたんだがさっき起きた所だよ」

「当然なんです。練兵場に、巨大な建築物が出来ているんです。王家の秘匿の土魔法で出来たんじゃないかと言われていますよ。何でも、噂ではこの度の、軍編成の為に作られたとか言われているようです」


「アニバルさん、お聞きになられましたか」

「オォ、これはクラウディオさん。ドームの事ですな」

「そうです、今度のイベントの会場になる場所ですが偶然とは思えません」

「やはり、カトー様が何かされたのではありませんか。こうなると、警備隊の話も満更嘘では無いようですなー」

「ドラゴンまでも、意のままに操るという事なのでしょうな」


 ※ ※ ※ ※ ※


「王都の人々が30万ですか? もの凄い人出ですな」

「編成中の軍団将兵や、近隣の軍関係者等も王都に入って来ておるようですから4、50万は越えそうですな」

「何しろ、金券でしょ。練兵場に来た、最初の5万人に10万エキュを配ると言う。殿下も太っ腹ですなー」

「期日決めてありますから、これを過ぎたら、ただの紙切れになってしまいますからな」

「ただの紙切れ。上手いですね。確かに価値はありませんからな。でも、クラウディオさん、カトー様は、何やらドラゴンマネーはヘリコプターマネーと同じで空から撒かれるのと同じ仰ってましたが、魔石の対価を取らずに大量のエキュを王都に供給する政策と言うのは分かるんですが、ヘリコプターとはなんでしょうね」


「それにしても、この軍団編成記念実行委員会とか、ケドニアを救おう会実行委員会ぐらいならともかく。これ、カトー様も面倒でこっちに振ったんですぞ」

「確かに、伝統衣装を身につけた、数百人の花を持った女性が、遠征軍を応援するパレード実行委員会とは長すぎますからな」

「伝花軍パレード実行委員会と言うのは、単に短縮しただけですからな。この手であと全部、行きましょう」

「あぁ、その伝花軍パレードの時、簡単な振り付けで踊ると言うのが、意外と受けていまして。グループを作って○○連とか言うんだそうです。人気だそうですよ、女性のパレード。

 それに、巨人の秘蹟の祭りの人形じゃ無くても、と言うので助かりました。これからも同じ要領で、名前を変えて年何回かやりますか。四聖女の何とかで、3日間でも客足は良さそうですよ。生花が無くとも、造花でいいそうなので安定した開催が出来ますよ」


「では、そういう事で。次は、ロンダ城一周競馬ですね。お坊様達も、かなりの力の入れようですからな。1等から3等までは、騎士の馬で王都での優勝パレードに参加できますからな。これは、お任せしても良いんじゃ無いでしょうか」

「聖女の祭りの集客宣伝は順調ですけど、人が集まってなんぼだそうですから、まだまだ気を抜く訳にはいきません」

「グッツも受けていますよ。男女とも恋愛物を出していますが、やはり女性用が多いようで売れ行き好調だそうです」

「いやはや、たいしたものです。グッツの製作と、上納金も入って来ていますからね。資金的に、苦労しない祭りは初めてですよ」


「後はB級グルメ大会ですねぇー。いまいち、じゃないですか? この呼び込み文句。どう思われます?」

「王都にある、13の聖秘跡教会前の広場でB級グルメが催されます。これでは。平凡でしょう」

「各教会前広場の、B級グルメ関連のイベント製作ですが、やはりタイトルはご指示頂いた時と変わらずで良いかとおもいますな」

「では、王都に、あの名店や、ご当地グルメがついに集結!で良いでしょう」


「評判としては、いつもの食堂の方がなじみが有るのでしょうが、貴族様の食卓再現というのは人気が出そうなコーナーですよ」

「人間、食べている物を見れば人となりが分かると言われますからな」

「特に教区司祭様、推薦のB級グルメは評判も良いようで、教会のエールと、蒸留酒を試飲できるコーナー。これは、有料なのですが試してみる王都民も多いでしょう」

「交通の方は、守備隊と警備隊とにもう一度調整しなければなりませんが、上手く行くでしょう。各所の教会前会場に、足を運ぶには辻馬車が1番ですからな。馬車が待機しており、決められた順路なら王都1日フリー乗車券、4万エキュで1日何度でも乗れる・行けるは、前売り券だけで完売終了するかもしれないと言ったら、喜んで協力させてくれとの事です」


「フェスティバル会場は、観光スポットとして有名な市場近くですので、王国の食文化を体験できます。ロンダ城が会場として登場しますので、入城チケットセットの販売も考えております」

「メイン会場は、あの槍試合の御前試合が行われる、第二城壁前の掘割にある噴水広場だそうですが、ロンダ城のセットも良いですからな」

「食べ物フェスティバルの、中身はどうでしょう?」

「第九聖秘跡教会では、最近起こったと言う癒やしの魔法にあやかって、長寿のスープで勝負するそうです」

「そうそう、今話題のスイーツとシャンパンの、組み合わせを楽しむケーキ好きにはたまらないと言うのもありましたな」


「第十一聖秘跡教会で、絶品パンで至福のひととき やわらかパンの食べ放題の特別企画」

「これなんか、庶民の口には中々入りませんから」

「人気のチーズメニューが、ずらり勢ぞろい。その場で食べる、カットチーズ企画。これも、ワインが進むでしょうな」

「確かに、カトー様も飲み物は利が高いと勧めておいででしたな」

「第一聖秘跡教会では、王道の串焼きでしてな。教区は違うが、店主が住んでいると言って、無理やりの参加をさせていますがね」

「ウンウン。楽しみですなー。こだわりを楽しめるバーベキューガーデン。ですか。羊の丸焼きは、やはりはずせませんしな」


「あとは、第三聖秘跡教会で、お気に入りのワインが見つけよう。試飲OK」

「最強肉塊決定戦! あらゆる肉を食い尽くせ!」

「第四聖秘跡教会で、エールを片手に自家製ソーセージを味わう」

「第七聖秘跡教会では、20軒の人気料理店という事で数できましたか」

「無難なのは第五聖秘跡教会の、新鮮、もぎたての果実を楽しもう! でしょうな」


「これが無事終わったら、カトー様の仰ったとおりですな。ドームで時々、恒例としてイベントする事になるのでしょう」

「凄いもうけ話を、考えられたのですなー。有難い事です」


 ※ ※ ※ ※ ※


「歌謡ショーでしたね。うちの店の姉妹に歌ってもらいましょう」

「呼び込みは僕がやるとしても、前座に出る水芸も考えないと。エミリーは、水魔法を覚えたよね?」


「豪華出演者の歌謡ショウ、第三聖秘跡教会前。お湯屋さん、大広間にて近日開催」

「王都の人々から愛される名曲の数々。燦然と輝く名曲や、これからも歌い継ぎたい時代を彩るすばらしい曲をご紹介いたします。豪華出演者が素敵な歌声や楽しいトークで、ステージを盛り上げます。歌謡曲ファンに大好評!」

「大変、お待たせいたしました。歌謡ショーの開催が決定されました」

ウン。お店で、貼るビラはこれで良し。


「タラゴナ出身のレイナとルイサさんによる歌謡ショーはお昼前と夕食前に有りますよー、代表曲イリアの星屑やロンダのめぐり逢い、など美しい歌声が響き渡りますー。午後は女性専用時間ですー!」

呼び込みの声と共に広場に集まった人々の中から、さくらになった男性冒険者達による、大きな拍手や声援が送られている。


「本日はレイナとルイサさんによる歌謡ショーにあわせて水の曲芸師。水の芸術。謎の仮面の美女。ミス、エミリーが参加しますー。ワイン試飲無料のお手伝いや、取材対応の歓談会、握手会を実施し、お客様と楽しいひと時を過ごしますー!」

「王都商業ギルド聖女祭り期間中は、女性冒険者による剣劇ショーの同時開催をいたしますー!」


 歌謡ショーは満員、札止めになるほどの人気だ。王都の全お湯屋さんに、広まるのも時間の問題だろう。既に、演芸ノウハウはまとめて用意してあるので、適正価格で販売できるだろう。


 歌謡ショー以降に増えたのが、薄手のローブより人気のある、カトー発案の湯あみ着。加えて、お湯屋は混浴だったが、午後には女性専用時間(10才までは男子もOK)としたため、女性客が入りやすいよう配慮されている。


 ですが、お風呂屋さんの楽屋は男女別になっていません。こういうの多いんですよね芸能関係。うちの店の女性総出の歌謡ショーです。ムンムンの熱気は話に聞く、高校の女子更衣室ですね。だってここお風呂屋さんですよ。男女混浴の、裸の付き合いのある。中身は、27才と知っているエミリーがジト目見ていますが、もう慣れっこになっているのでね。色んな形の、胸があるなーと思う位です。

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