ドラゴンライダー
※ ※ ※ ※ ※
「エミリー、そうは言って出てきたが、順番を変えて要塞より先に北の龍の巣に行くべきかもしれないよ」
「そうだな、ハスミンに道案内を頼むとなれば荷を少しでも減らして軽くすべきだろう。いつもの要塞の部屋か、なんだったらホムンクルス達に預けておこう」
「皇帝のお土産の10箱のうち、本と3箱しか持ってこられなかったからね。後の七箱は公使に頼んでおいたから大丈夫だと思うよ」
「ハハ、またカレーだったら食べられてしまうかもしれんからな」
「カレーうまかったね。早く食べられるように急ごう」
「そうだ、元気を出してカレーを食べよう。ン、ちょっと違うか」
飛行コースを龍の巣に変えて、後500キロほどで到着と思われる時、不意に懐かし呼びかけが頭の中で聞こえた。なんとミリアだ。
「オー。久しいの、主殿ではないか?」
「ミレア、お久しぶり。元気だった?」
「まぁまぁかな。丁度良い時に会えた。今いるのはこの南だな。すぐに行く。3、40分でそちらに着くと思う。そこらで休んで待っていてくれ」
「休めと言われても、森の上だからなー。ごめんエミリー、ミレアがいた。思念波が来たよ。今説明するから適当なところに降りよう。僕らが行くより、うんと早くミレアが来てくれるよ」
「ミレア、久しぶり」
「ミレア様、お久しゅうございます」
「ウム、エミリーだったな。そんな硬くならんでも良い」
「そうだよー。エミリー」
「イエ、そうはまいりません。これは、お口汚しかもしれませんが、お納めください」
「ウン、すまんの」
と言ってエミリーが指さした方には、シカが二頭射貫かれていた。
「ほんの少し前、20分前に仕留めました。只今、血抜きをしております。後ほどステーキなどにいたしましょう。生がよろしければ、今すぐにでもお召し上がりください」
いつもはウサギだったけど、エミリーの腕前が上がっている?
「ホー、しばらく見ぬうちに遠視の魔法が使えるようになったか。重畳、重畳。できればステーキが所望じゃ」
「畏まりました。カトー、火を。焼き加減はいかがいたしましょうか?」
「ウム、雑作をかけるな。では一つはミディアムレアで、そうさなーあと一つはミディアムで頼む」
そろそろ止めさせないと、2人の世界に行きそうだ。今は話が先だと思う。
「楽しみじゃな。ウン主殿、火魔法の腕を上げたな。細かな調整も出来ておるではないか。それなら大型バーナーと同じ、シカ肉もうまく焼けるだろう」
「まだまだなんだ。肉を焼く腕は上がったと思うけど、エミリーの方が解体は上手いからね。じゃ、本当に2頭とも焼いちゃうよ」
「そうか、ワシの居ぬ間にそのような事が。魔獣がな……なるほど、これで大方の事が分かった」
「ステーキが焼けたけど。エミリー、何の話だったの?」
「主殿、順番に話す。今少し、魔核弾頭の事を知りたい」
「なるほど、埋めてあるのか」
「ウン。要塞から百キロぐらい離れているから大丈夫だと思うけど、どうしたの?」
「そうであったか、ではその魔核弾頭。ワシにくれ」
「イイよと言いたいけど、使い道は?」
「実はな」
それから第二世代のドラゴンが魔獣島にいるかもしれないという事。しかもスライムドラゴンによって地下の牢獄に囚われているかもしれない。加えて、その怒りが魔獣の侵攻を引き起こした事も知らされた。
「まったく迷惑な話だ」
「エミリーの言う通り、そいつを何とかしないと魔獣は戦い続けるという事になるね」
「その通りだ、ところが相手にするにも、魔獣島には防御結界が有ってワシだけでは近づく事も出来ん。このままでは侵攻は続くだろうな」
「どうにかしないと。あぁ、それで魔核弾頭の出番と言う訳だ」
「結界に効果はありそう?」
「やってみなければわからんが。その威力が聞いた通りなら十分やれると思う」
「保証はないけど。宰相の教えてくれた、帝都の結界装置は10メートル四方も無いと言っていたよ」
「それなら、上手く行くと思うがな。帝都の規模で防御結界装置がその大きさなら、魔獣島の研究棟にある装置は帝都より小さいはずじゃ。あくまでも推測だが、アレキ文明時代の装置なら小さければ防御力も比例して弱くなるからな」
「そうだね。この600年の間に、防御結界装置が再設置されたとも思えないし」
「おそらくその通りだろう。魔石のエネルギーも枯渇していたのだろう? 魔獣島だから魔石が有ったとしても、まともに整備して運用できる人間はいなかっただろうし」
「では、ミレア様は要塞戦で回収した魔核弾頭を使って防御結界を破り、首魁のスライムドラゴンを倒すという事ですね」
「エミリーの言う通りだが、どうやって仕留めるかだがワシに知恵を貸してくれんか?」
「もちろん良いけど。今の話だと魔核弾頭を魔獣島の上で爆発させるんだよね。それも近接爆発で、とても大丈夫だとは思えないんだけど」
「カトー、確か要塞地下のホムンクルス達がドラゴンライダーとか言っていたな」
「アァ、覚えているけど。今それを思い出す? なんだか悪い予感がするけど」
「ゴーレムのいる要塞は近いぞ。ミレア様は目の前に居られるし、ゴーレムの補助席は子供用だったかな?」
「エミリーの言う通りだけど」
「決まったな。頑張ってこい」
「アァー。なんてこった。それでも、エミリーの言う通りだよ」
「スライムドラゴンは、随分と長く地下に閉じ込められていたそうだ。人を殺す事が楽しみになるとは、哀れとは思うが成敗するしかあるまいて」
「それは、ミレアの言う通り。僕の自由意思が無いのが気になるけど。アーァ何か、苦労しそうな感じがヒシヒシと」
「対魔獣兵器は、それからでも良いのだろう?」
「マァ、スライムドラゴンが諸悪の根源みたいだシ。首魁を倒せば魔獣の侵攻がどうにかなるかもしれないシ、第二世代も囚われているかもしれないシ。それなら尚更だシ」
「シ、シ、シと煩い。シっかりとやってこい」
「フフフ、主もエミリーも仲の良い事じゃな。漫才は後にしてそろそろ決めようではないか」
「それは、ミレアの言う通り」
※ ※ ※ ※ ※
「で、カトー卿。練兵場にいるのは伝説のドラゴンですよね」
「ハイ、マルタン大佐。この要塞からでも見えると思いますが、ピカピカの伝説のドラゴンです」
「火を噴いて、強力な魔法を使うというドラゴンですよね」
「エェ、確かにドラゴンですよ」
「70メートルはありますね。カトー卿は、それを操っているのですか?」
「そうですよ。乗って来た所を見ませんでしたか。マルタン大佐は展望テラスにおられたと思いましたが。ドラゴンライダーと言う処です」
「確かに、生身のままドラゴンに乗っておられましたな? カトー卿は無茶苦茶ですな。失礼しました。どうやってですか? イヤ、ここはどうしてと聞くべきかもしれませんが……ウーン……」
「その事ですか。結界魔法で生身でも乗れるんですが、今回は魔核弾頭を使うのでゴーレムMS-●6S指揮官機にのり移るんです。フェードインという融合魔法でね」
「そうなんですか? 融合魔法で? イヤイヤそんな事が出来るはずは? カトー卿だったら可能?」
「ハイ、フェードイン魔法は、ゴーレムの体に溶け込むように一体になれるんです。かなり危険な魔法なんですけどね」
「それは、それは。大変なんですね。それで魔核弾頭を使うというのは?」
「エエ、魔核弾頭を爆発させるんでゴーレムの装甲が謂わば鎧替わりになるんです」
「エー! 魔核弾頭を爆発させるのですか? この間、鹵獲した危険きわまりない爆弾ですよね」
「イヤー、まいった。カトー卿は発想がすごいですな」
「ラザール司令官、お褒めいただいて恐縮です」
「ではドラゴンに乗って、魔獣島とやらに行き、魔核弾頭を爆発させて、首領のスライムドラゴンを倒して来ると? ウーン」
「その通りです。マルタン大佐」
「さすが、王国一の魔法使いはやる事が桁外れですな。ハハ、大佐がうなるのも無理ないですなー」
「司令官、それほどでもないですよ」
「ハッハッハ! 了解しました。では、ご武運を」
「ありがとうございます。行ってきます」
と言って要塞を出たのが2時間前、100キロ離れた場所に埋めた魔核弾頭をあっという間に回収し、魔獣島へ向かう。とカッコ良く行くはずだった。
「ミレアー。こんなにスピード出すの?」
「別に普通じゃぞ。魔獣島までは2000キロはあるからな、チマチマしておられん。これから一気に成層圏に上るぞ」
どんどん加速してかなりの高々度まで上がるらしい。成層圏って何色のお空らになるのかな……いかん、別の世界に行くところだった。こんな高速飛行、もはやスペーステクノロジーのレベルじゃないか?
ウウウー。加速していく。最初は、何故か耐用限界が百年を超えて使用されると言う、戦略爆撃機B-52ストラトフォートレスのイメージが浮かんだ。あの推力75.62kN ×8発のエンジンが全力で咆哮しているんだ。
次にメインロケットが点火し、加速上昇中のスペースシャトルのイメージが浮かぶ。これ途中で爆発しないよね。宇宙用エンジンの打ち上げには、それはもうもの凄まじい量の燃料が必要になるはずだ。魔石エネルギーの潜在的な凄さが分かる。打ち上げに要する費用は甚大だし、経費が洒落じゃなくて天文学的になるはずだ。
もちろんゴーレムの鎧のおかげで、成層圏まで駆け上がっても息は出来るし快適に過ごせるらしい。加速度は幸い重力魔法で凌げた。ここまでは良しとしよう。なんか息が白くなって、目の前に薄い雲が出来たような気がする。気密性は大丈夫だと思いたいのだが。ホムンクルス達に聞いてもそうですかと言うだけだ。彼らはその気になれば食事どころか息もしなくても良いから、空気が多少漏れてもあまり気にしないだろうけど……。
最後に大気圏再突入中の大陸間弾道ミサイル(ICBM)のイメージが浮かぶ。離陸して27、8分で目の前には魔獣島が迫ってきた。さすがミレア。高々度迎撃タイプ大型ドラゴン第四世代だけある。
※ ※ ※ ※ ※
突入角度が半端ない。やはり大気圏再突入時には翼の先が燃えるように赤くなって炎を引いている。ノーマル状態では燃え尽きてしまいそうだ。結界魔法で防いでいると思うが、なんかあったりしたら大変だ。仮に機体であるミレアが無事だったとしても、背中に乗っているゴーレムが無事では済まないだろう。思わずゴーレムの耐熱温度を考えてしまう。是非とも耐熱シートが仕舞ってあるのか聞きたい。
(アレー! 待てよ。そう言えば、この機体はMS-●6S指揮官機だった。無いと言われるとショックを受けるので確認するのは止めておこう)
「こんな事なら止め……」
「主、何か言ったか? これは急降下爆撃じゃ。歯を食いしばっておれよ」
「アー助けてー。もうヤダー。これ急降下爆撃機 ユンカース Ju87D スツーカだー!」
「まだまだじゃ。高度4万、行くぞ。カトー、ホムンクルス達」
「アイアイサー。オー! ちゃんとサイレンが鳴っているぞー」
「ヒャホー。高々度からの爆撃なんてワクワクする」
アストナージとサイはあんな事言っているが、ムリだよ。まだ、無重力体験は早いーというのに。
「アワワワー、体が浮いているー」
「降下!」「降下!」「降下!」
「投下!」「投下!」「投下!」
「気がついたか。もう遅い。ハッハッハ、スライムドラゴン覚悟せよ」
「エ? 何だ、何事だ! お前は確か第四世代ドラゴン? オオー?」
「無駄に600年を過ごした訳では無い。仮想空間を作り出しそこで様々な事を考えておった。例えばこのようにな」
「戯言を言うなー。ム、ムリじゃ。どうやって結界を突破するというのだ?」
「ワシは、カプセルの中で無為に過ごしたお前とは違う。600年、思考を重ねたのだ。生きるという意味を」
魔獣の王は邪悪な龍種なのか。誕生させたのは人ではないのか。ドラゴン同士が対決しているが、後に魔王と呼ばれるのか? テロを生き延びた生き物たち。再生と死が繰り返される。指揮個体の望みとは? 可哀想に、第二世代なのか? 溶ける? 溶けそう。遺伝子操作による自壊は本来ならば氷が解ける様だと聞いたが。対魔獣兵器によるものは体が膨れ上がり、弾けるよりはましに見えるかもしれない。
一瞬のうちに様々な思いが、ミレアとスライムドラゴンの間を駆け巡った。
「このような話、カトーには聞かせたくないな」
「思い知ったか、スライムドラゴン」
「引き起こしてー。引き起こして! ミレアー!」
中心部の研究所は結界装置で守られている。前回は近寄ろうとしては跳ね返された。しかし魔核弾頭の爆発でなら揺らぎを造れるかもしれない。投下は上手く行った。同時にミレアが思念波をスライムドラゴンに叩きつけるように送ったようだ。
投下後2秒で研究棟の空一面に紅蓮の炎が出現する。乳白色の防御結界が青白く瞬いて消えた。爆発は、20キロの衝撃波と炎が地上をなめ回す。見間違えたのだろうか、次第に魔獣の王の宮殿や研究棟が灼熱の炎の中に溶けて行くのが見える。
「フー、助かった。ところでミレア、第二世代は大丈夫なんだよね?」
「ウム、地下牢に反応がある。大丈夫だと思う」
第二世代は死にそうだが、生きていれば何とか出来る。癒しの魔法がある。しかし、ドラゴンというのはあまり考えないで行動するようだ。何か哲学者のようなイメージが有ったが、今は微塵も感じられない。
「なあ、ミレア。最後の降下の所。普通に落ちていただろ。まるで石みたいに。気が付かないと思ったのか? あれ、もう無しな」
「主は、分かるんだな。ワシ、落ちる時、気持ち悪すぎてな。垂直降下? 動力降下? と言うのか、気を失ったというのか、なんか意識がなー」
(スライムドラゴンと思念上の対決をしていたんだがな。まあ、良い)
「それ以上言うな。誰でも普通にビビるぞ」
「良し。魔核弾頭の爆発は上手く行った。火炎が収まるまで掃除だな」
「掃除?」
「対魔獣兵器を使うのか?」
「そうとも。人知を超えた絶対的破壊者のドラゴンが、対魔獣遺伝子砲を放つという事だ」
第四世代ドラゴンは数多くの武器を装備している。肉体的な攻撃は言うまでも無いが、面制圧用が可能な火炎砲の攻撃力は凄まじい。それだけでは無く、広域攻撃魔法も可能な上に結界などの特殊魔法も複数出来る。だが、対魔獣遺伝子砲は別格だ。この対魔獣遺伝子砲を撃ってもその効果は極めて地味に見える。直ぐには効かない代わりに1カ月後には助かる魔獣はいない。細胞の遺伝子が損壊し溶けるように体が崩れて、最後に弾けるのだ。
第四世代ドラゴンが人の耳には聞こえず、目にも見えない対魔獣用生物遺伝子操作兵器で絨毯爆撃を行う。高度3000メートル。約200キロ先が見通せる高度を飛行する。これだと一度の照射面積は、13万5116平方キロにもなる。この高さからなら魔獣島のほとんどをカバーできる。
よほど地中深くにいるものを除けば2度も照射すれば島の魔獣は全滅するという事だ。どこかで聞いた事のある滅びのラッパの様だな。ドラゴン係のサイが上手い事を言っていた。
「嘗てない強大な力を持つドラゴンが喜びの時の声を上げる時、魔獣の滅びのラッパが鳴る」
※ ※ ※ ※ ※
「見つけた。あそこだ」
「第二世代?」
「アァ、生きている」
「さすが、ドラゴンと言っていいのか? 助けよう」
覚えておいて良かった氷の魔法。アイスジャベリン。先ずは周りの温度を下げないとね。それにしてもゴーレムは中々手先が器用だ。もちろん排土機能も優秀である。やはり、初期型が建設機械として作られたというのが良く分かる。重いものはもちろん、微妙な所も人間の手ようにデリケートに行える。ドラゴンの手はそうはいかないから。
「第四世代のドラゴン?」
「良かった生きている。すみません。ゴーレムMS-●6Sです。今、思念波で答えているのは第四世代の主をさせてもらっていますカトーと言います。第二世代ドラゴンさんですね」
「ハイ、私助かったの?」
「エエ。今、手当てをしますね」
ゴーレムの中からだけど近いから良いだろう。外はまだかなり熱い。フードをかぶりなおして、結界発動。癒しの魔法も発動。
「ウン。急に体が楽になったわ。大丈夫だと思うけど、今のは?」
「癒しの魔法。これで一安心。ミレアも喜ぶよ」
「ミレアー、第二世代を見つけたよー」
「アァ、ワシもこの先で見つけた物がある。1キロぐらいだ。逃げようとはしたんだろう」
「魔核弾頭の爆発の中、よくあそこまで行けたもんだ」
地下牢に続く通路だ。黒くて丸いボールが転がっている。あれがスライムドラゴンか?
「こいつ、動くぞ!」
オオ、あの有名なセリフを言ってしまった。人間は驚くと同じような事を言うらしい。だが、ピクリともしない。今にも死にそうな感じだが、ミレアにはスライムドラゴンの思念波が聞こえて来た。
「来たな。第四世代か、虫けらも一緒か。今回は負けたのかな?」
「観念しろよ」
「それはどうかな」
「ニーナとヨーダの事かな?」
「何故、お前がそれを知っている?」
「頭が良いようでそれほどでも無いな。第四世代は伊達に体が大きく作られた訳ではない。脳が3カ所にある故な。さて、長話はここまで」
「しまった! 時間の回廊か? だが、打つ手はある」
「往生際が悪いぞ」
「何が往生際だ。それはお前らの都合だろ。勝つのは俺だ。魔獣の王だ……。俺が死ぬと第二世代も……道連れにしてやる」
そう言い終わらない内に、わっと頭が痛くなった。何処かに強大な思念波が送られたらしい。
「大変だ、第二世代が」
「ああ、そうとも。往生際の悪い魔獣の王が殺したのさ。ハッハッハ、勝つのは俺だ」
ミレアが黒い丸いボールを噛み砕くより一瞬早く終わってしまった。第二世代は蒼い小さな魔石となり残された物は、2つに割れた魔石に刻まれたログだけだった。
※ ※ ※ ※ ※
ドラゴン (駆逐タイプ中型ドラゴン第二世代)の話
南のお家に、行っている子を探しに飛んでいた。眠くなったと思ったら、空飛ぶ獣がいたけど、喧嘩したのかな? 翼に怪我をしていた。あの島で良いかな? 少し疲れたから、ここで休もう。お腹減ったけど、お肉が無い。お魚いると良いな。
また、意識が遠くなる。頭の中の人の声が、大きくなると私は眠くなる。
「……状況開始……」
研究棟に接近中。我、発見す。タンゴ・ユニフォームを発信。応答なし。
探査モードから索敵モードに移行。
敵味方識別装置作動。応答信号のパルス列、符合せず。
敵テロリスト集団の戦闘部隊と断定。
300機と確認。さらに索敵圏外に多数の可能性あり。
付近に友軍機なし。単機による反撃不能と判定。緊急離脱を決定。
敵機、多数。急速接近。
戦闘回避モードに移行中。
出力全開! 急加速、撤退位置への緊急移動を開始せよ。
極大広域火炎魔法発動不能。妨害フレーアー発射。
航空機接近警報。緊急加速装置、燃焼確認。
残燃料警告。加速中止。離脱不能。
衝突警報 回避せよ。FOX4を警告!
体当たり攻撃発生。腹部に敵機衝突。
中破判定:飛行機能に支障あり。飛行継続不能。
ダメージコントロールを発動。
救難信号管制装置。オープン。
遭難ビーコン発射。
再度、離脱を勧告。
「……状況終了……」
お家が近くなる。気付かれて攻撃された? 2回程気が遠くなると怪我をしていた。最後は火炎も出なかった。何かに運ばれて魔獣島に近づく。もう空は飛べない。牢屋かな? 檻に入れられて鎖で縛られ足枷をつけられた。
※ ※ ※ ※ ※
デッドマン装置とは、本来は機械の安全装置の一種である。操作者が死亡・意識を失った時や、位置を離れた際は自動停止して事故を防止する装置である。スライムドラゴンは確かに死んだようだ。最後に強烈な死の思念波をデッドマン装置により第二世代に放った後にだが。




