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癒やされたいキャンパー。異世界を癒やしに行く。  作者: カトー
第11章 燃える帝都
107/201

帝都。混戦

 ※ ※ ※ ※ ※


 魔獣は、人々が立て籠もっている教会と言う小要塞に押し寄せ、そこかしこで苛烈な戦闘が繰り広げた。最初に迎え撃った時、防衛軍が行った防御陣地が第二城壁だけの一線配備であれば、数の力押しで攻略する事は容易かっただろう。

 それが一時的であったとはいえ止んだ。僅かとも言える時間であったが、防衛軍は多重構造の陣地ともいうべき第二城区の陣地群を作り上げようとし反撃の準備を整え強化しつつあった。


 魔獣が、たとえ第二城壁を攻略出来たとしても、数を減らし過ぎればその後の侵攻は頓挫する可能性が高い。すでに魔獣は地形の優位性を失っている。その為、指揮個体は別の攻撃方法をとる事を考えたのだろう。指揮個体は防衛軍の計画をまるで見透かしたように、機動力を有する大型魔獣と機甲部隊ともいえる重魔獣を投入し、ワイバーンなどの航空戦力を連携させて攻撃をしかけたのだ。


 指揮個体は攻撃を実行する前に、まず予備攻撃を十分に行う事にした。これには後方の魔獣を帝都の重包囲網から一時的に移動させて予備軍として運用の自由度を確保し、防衛軍の反撃に対しても準備しておいた。作戦初期に第一波の戦闘で重魔獣を展開し、城壁の手前に設置されている防衛軍の警報装置や罠を速やかに除去する。そうすれば、城壁に近づく事でより詳細な防衛軍の情報を得られる。


 さらに魔獣を第二城壁の防備が手薄と思われる場所に接近させる。その後ワイバーンなどの航空戦力によって増援を足止めしておいて、本格的な突破攻撃を行うのである。突破にあたっては、数による飽和攻撃的な戦闘をして防衛軍の火力点や障害物を徹底的に破壊する。同時に、陽動ともいえる攻撃を第二城壁各所で仕掛ける。


 そして同時に突破・破砕攻撃をしながら予備軍とした魔獣で、水利施設への攻撃を強めて防衛軍の戦力を分散・減衰させるのだ。そうなれば、魔獣を迎撃している防衛軍としては一部を重要施設である水利施設の再奪還に向かわせねばならないだろう。そこを突けば抜けるはずだ。


 指揮個体の思惑通り、防衛軍は奪還の為、戦闘部隊を編成して教会南方の城壁近くまで進めた。この時の再奪還の為に出撃した防衛軍は、再編成され新たに徴兵された8700名だ。新兵は熟練の兵士の下に配属される予定だったが、水利施設を失う訳にはいかない。こうして防衛軍は1個師団の予備兵力を送り込んだ。歩兵銃と伝統的ともいえる白兵戦用の短剣を手にし、にわか仕立ての戦闘部隊となった予備兵達は準備もそこそこに出撃していった。


 ※ ※ ※ ※ ※


 第1機関銃中隊の兵の話

 エェ、そうです。第二城壁の南門で戦闘が始まりました。自分達は大隊長の指揮下で城門各所にて防戦を続行しておりました。状況はあまり良くありませんでした。何とか持ち堪えておりましたが、昼間は魔獣のため傷付いた戦友を後送できず、夕方まで待ってようやく運べるというありさまでした。


 陽が沈んでから兵六名で搬送班と即席担架を作りあげて、教会にある野戦病院に繰り返し担送いたしました。夜半になった頃にやっと最後の負傷兵を運び終えました。疲れ切った我々6名は病院横の小道で2時間ほど仮眠をとり、夜明け前に城壁に帰着いたしました。


 魔獣の攻撃圧力も翌夕方には減ったようです。自分達は第二城区の戦闘準備の為に汗を滴らせながら、全力で阻止線やトーチカ等の築壕の工事を行いました。兵員同士、互いに罠の穴は深く掘れ、労を惜しんではならないと声を掛け合い一睡もしないで夜明けを迎えました。


 丸一夜に渡り、不眠不休の築壕を続行したのです。おそらく魔獣は城壁突破後には、向かって右より侵攻するだろうと思われたので、迎撃準備を余念なく行う為に無理を承知で動かないと大変な事になると思っていたのです。


 第1機関銃中隊の兵は、以前は300名の中隊でしたが兵員減少のため、残存兵と大隊本部要員を編入しても2個小隊ぐらいの守備兵となっておりました。3個分隊を3丁の機関銃を中心にして編成しなおし、軍曹の指揮する第1分隊を中心にして、両翼に各1機の機関銃を準備して防御線を敷きました。また部隊直掩として、擲弾筒による肉迫攻撃分隊を右に置いて布陣し魔獣を迎え撃つ事にしました。


 軍曹の分隊は6名。両翼の機銃班は兵5名でありました。左の第2分隊は第1大隊砲の生き残りが連隊砲で援護するという事でしたので、背後の右後方には擲弾筒分隊、第2、第3中隊の残兵及び工兵が守備線を任されていたと記憶しております。ただ、分隊火器及び大隊砲の弾薬はいずれも不足しており十分な援護は出来ないだろうとの事でした。


 正面の城壁が手薄であったため、左に位置する我の分隊は、戦闘配置につくと同時に土嚢を積んだ機関銃座を強化する事から始めました。エェ、強化の為の障害物と言っても、にわか造りの柵の様な物を作るだけなんですけど。月中頃からは魔獣のこの陣地に対する攻撃が開始されており、障害を作っても壊されまた作り直してと繰り返していました。自分達も、いったい何回攻撃されたか憶えておれないほど障害物を作り直しました。


 そんな時に軍曹に呼ばれました。自分への依頼と言うか、命令ではありませんでしたが、小銃で貴重な弾薬を使って空飛ぶ魔獣を追い払う事が出来ないかと相談されました。対空火器として使えと言われたのだと思っていると、訳を話されました。前任者は肩を負傷してしまい銃が操作出来なくなったとの事でした。どうやら軍曹は自分が速成訓練時の射撃で成績優秀者だったのを憶えていたようでした。


 それと言うのも、これから本部の炊事班が水と食事を持って来る。対空火器を用意すると言うのは、そこでいつも襲って来る空飛ぶ魔獣から炊事班を援護せよとの事です。ご存じと思いますが、前線まで糧食を持って来てくれる炊事班は大抵やられてしまいます。炊事班の連中は命懸けで持って来るんです。これを聞かされた時には弱りましたが、腕をあてにされたのだと思い射撃姿勢をとり待機する事にしました。


 知らされた時刻になると炊事班が走り出します。隠れる場所も少ないので、すぐにワイバーンに発見されます。彼らは必死で駆けながらジグザグに走る事を繰り返していました。正直もう駄目かとも思ったんですが、襲撃するワイバーンにめがけて自分が撃ち始めると2匹に当たったらしく落ちてきました。


 運が良かったのか、まぐれ当たりか分かりませんが。直ぐには当たったかどうか分からりませんでしたが、近くにいた軍曹が2匹とも目に銃弾が当たったと言われました。この一件で当分の間、自分が対空火器要員を仰せつかる事になったんです。そのお蔭と言おうか、伍長になったんです。


 ※ ※ ※ ※ ※


 第1機関銃中隊の残存兵達の話

「空飛ぶ魔獣達も、防衛軍の対空火器の効果を低減させる為に幾つもの方法を駆使している。当たり前だが対空火器があれば少ない所を選んだりして侵入するルートを探ったり、高度を高くしてるな」

「生半可な奴らじゃ無いという事だ」

「飽和戦術を採用しているし、密な飛行隊形を考案していたるんじゃないかなー」

「伍長が言う通りですね」

「全く、個別でも慣れて来たのか、上手く避けやがるんだよ。これじゃ、小銃の10発や20発では追い払う事も出来ないなー」

「でも伍長もやるじゃないですか」

「俺なんて、偶然当たっただけだよ。軍曹が偶々見てたんだ。マァ、死の天使の様な腕の狙撃兵が一杯居れば良いんだけどな。サラ中尉、オッと今はサラ大尉か。あんな腕の良い狙撃兵はいないぞ。言っておくが俺をあてにしても真似出来んからな」


「もう城壁の砲は数門か、良くても10門も残っていないだろう。砲撃で魔獣の追いやる事は到底無理だな」

「魔獣は、依然と南城壁門に圧倒的な数で攻撃をしかけてきてますからね」

「ちっとも減らないなー」

「そうですね」


「予備兵達がいない様だが、水くみにでも出かけたのかな?」

「あぁ、命がけのな。水が無いと籠城は出来んからな。それだけじゃないぞ。今度は水利施設の奪還を行えと命令が出たそうだ」

「そうなんですか。軍曹」

「アァ、俺もさっき聞いた。水利施設の奪還となれば、その苦労も比では無いだろう」

「無茶を言うんだ」

「予備兵らは余分の水筒までも肩にして、夜陰に乗じて2回も給水に成功していたじゃないですか? まだ出すんですか?」

「軍だって承知さ。それだけ切羽詰まっているという事だろう」


「なんだ、慌ただしいな。どうした伍長?」

「報告します。軍曹、先ほど城壁正面からの伝令で大隊長戦死と告げられました」

「今は中尉が代わって指揮をしています。兵は頑張っていますが、防衛塔が奪われているそうです」

「城壁の防衛塔が無くなると事だな」

「このまま第6中隊の中尉が大隊長代理だそうです」

「そうか」

「軍曹。指揮官先頭という防衛軍の伝統に文句は無いですが、この魔獣大戦では早死にする若い将校が多すぎますよ」


 この本部前の城壁の運命もあと1、2日と思われていた。大隊長代理の若い中尉は、最後の阻止命令を出して玉砕するつもりであったかも知れない。中尉は、防衛軍司令部に伝令を発したが帰って来たのは、あく迄も諦めずに撤退して抗戦せよとの命令であった。軍司令部は玉砕を許可せず、第二城区に移動せよと命令を下している。だが、彼らが撤退した後の隙間を埋める事は出来ないだろう。


 撤退命令は届かなかった。受け取るはずの中尉を始め将校は既に戦死しており、命令を携えた伝令兵も途中でやられた。残念な事だがすでに第1機関銃中隊は中隊とは名ばかりとなり、兵員は3個分隊にすぎなくなっていた。戦友の亡骸も埋めてやることすらままならず、兵を減らしていたが彼らは防衛線を維持していた。そして魔獣の攻撃の度に戦死者や負傷した兵が増えていく。一縷の望を託して、負傷し動く事の出来ない者は地下に隠された。そして奇跡的に命ながら得た者が話を伝える事となる。


 夜は砲哮がとどろいていたが、急速に防衛軍の銃声が減って行く。恐らく、明日にでも魔獣がこの壕に襲ってくるだろう。魔獣の攻撃は激烈をきわめるだろう。撤退するかどうか皆が考えていた。既にここから撤退する事は不可能かも知れない。第一ここから引いたら、後ろの味方は総崩れする破目になるだろう。後ろの防衛線構築に時間が足らなのは分かっていた。兵達は、一匹でも多く魔獣を殺して時間を作ると決めて配置に戻って行った。


 夜が白々と明け初めると、早速に空飛ぶ魔獣が上空を悠々と飛び回り出した。第1機関銃中隊の生き残っていた兵は生存するという気持ちが全く無いのか、銃弾が尽きると擲弾を持って魔獣に突っ込んで行った。


 第一城区からの撤退戦の数々は、無謀で愚かな行為とも見えただろう。しかし、帝都で人々が戦禍に巻き込まれている時に、戦闘力を持つ者が立たなければならないという決断をないがしろにはできない。帝国防衛軍は帝国民を守る為に存在する物なのだから。


 ※ ※ ※ ※ ※


 13の月7日に入って、魔獣中央集団の正面では防衛軍が現れて散発的に攻撃を加えては後退するという、第二城区への誘導作戦が開始された。この誘いに応じるかのように、魔獣の群れの主力は防衛軍中央にむけて作戦通り、大規模に増強されつつあると思われた。

 そして帝都に攻め込んだ魔獣中央軍は、決戦の勝利が間近であると確信していた指揮個体の命により、市街戦に大型魔獣や貴重な重魔獣を惜しげもなく投入しはじめた。


 重魔獣は市街地の戦闘行動には不向きである。市街地は重魔獣にとって死角が多く、破壊・突破力が生かせない事から防衛軍の格好の標的になってしまっている。重魔獣と言えど、近距離からの肉薄攻撃によって葬る事が出来る。これは比較的小さい火力でも重魔獣の弱点に効果的な攻撃できた為だ。


 実際、瓦礫で身動きを奪われた重魔獣は弱点である上面をさらし、上方からの対重魔獣銃や火炎瓶で攻撃された。加えて爆薬を扱いなれた工兵部隊は、こうした市街戦のまさにプロフェッショナルと言える。重魔獣迎撃の為に重点的に派遣されていたが大型魔獣にとっても工兵は格好の標的となり、互いに急速に数を減らす事になった。


 槍や刀が届く5メートル以内で魔獣と向かい合う抱擁戦では、両軍がきわめて狭い空間に入り乱れて対峙して戦闘が行われる。魔獣は数の強さの秘訣であった小中魔獣による攻撃、大型魔獣による機動、空飛ぶ魔獣による効果的な支援を手放してしまっていた。

 廃墟と化した都市の瓦礫のなか、極めて近距離に相対する状況という市街戦は、たちまち消耗戦となり魔獣の優位性が失われ戦闘による損害は膨大な数に上り防衛軍の狙い通りになった。


 だが中には猛烈な反復攻撃を受けた為に思惑からほど遠い防御点もあった。当時、魔獣はアンベール皇帝運河右岸から、第三城壁に向かって進撃して来るだろうと想定されていた。その水利施設の外部は原型を留めていないほど破壊されていたが1、2階の内部はくずれていなかった。

 激戦の末に右岸は、魔獣から防衛軍に次から次へと、6回も占有者が変わったと言われる。その戦闘に巻き込まれた地域の建物は跡形もなくなっていた。建物の崩壊や爆破で形状が変わってしまうほどで、そこにどんな物があった事を記憶する者がいるのみである。


 こうした戦闘の混乱が続くなか、防衛軍は戦力を第二城区に集中する事に成功し、魔獣を釘付けにする事が出来た。これは予備兵力を効果的に運用し集中と展開の時間を、名も知られぬ人々が文字通り命をかけて稼いだ為だ。


 軍は徹底した持久戦、接近戦、および白兵戦を行った。経験を重ねた将兵は、小銃、ナイフ、刃を入れたスコップ、メイスなどを携えて魔獣に忍び寄り、執拗に近接戦を展開する。これは魔獣が潜む可能性のある部屋にまず擲弾を投げ入れ、爆発直後に突入する。粉じんの中で手当たり次第に制圧を開始し、さらに次の部屋の制圧に向かうという戦術が採用された為だ。


 魔獣は水利施設を占領すべく右岸手前までやってきていた。だが結局の所、防衛に成功して魔獣は退却していった。このため施設は破壊されないでいた。残った煙突と言われた場所の(実際には煙突ではなく通風孔である)地下に水道用設備と揚水ポンプが置かれていた。魔獣は上層階の一部を破壊していたが、基幹部と言える設備は稼働できる状態で残っていたので再稼働が可能であった。


 防衛軍の第三城区への兵員と物資移動は、鉄道馬車網が破壊されていたため人力にて行われていた。主要輸送ルートであり、水晶宮殿に続く一本道は聖なる道と呼ばれた。魔獣の執拗な攻撃が行われたのはアンベール皇帝運河の水利施設の奪取であり、生命線と言われるこの物資輸送ルートの破壊を狙っていたと思われる。

 なお、水利施設の攻撃時にカラス型や、ワイバーンなど空飛ぶ魔獣が組織的に帝都防衛軍の補給線破壊に投入された事は特筆すべき行動と言われるだろう。


 魔獣中央軍の両翼を守らせるという戦略の危険性については、指揮個体も直面している危険性を早い時期から認識しており、特に防衛軍による第二城区防衛戦では何度も撤退しようかと考えあぐねている様に思えた行動をしている。

 だがはるかに意外な結果がもたらされたのは、防衛軍が第三城壁への撤退命令が下されるわずか2日前の14の月4日の出来事であった。


 ※ ※ ※ ※ ※


 それは、時をさかのぼる事約1カ月前に起こった。

 13の月2日、魔獣は第一城区での侵攻を一時的であったが突然、止めた。それは戦線全体での戦闘が、一旦保留されたかのようだった。この不可解な一方的ともいえる、戦闘停止状態を引き起こしたのは他ならぬカトー達だった。


 ワイバーンが放ったと思われる魔核弾頭の爆発はカトー達にも衝撃を与えていた。空飛ぶ絨毯のカトー達は、公使達一行と別れ対魔獣兵器の捜索・発見が急務となっていた。皇帝から渡された文書により明らかになった手掛かりは、帝国の龍の巣とイリア王国の獣人の里と分かり捜索に行く途中だ。


 途中、イリア遠征軍本隊を見つけて連絡も取る事が出来るだろう。殿下への報告はもちろんだが皆の意見も聞きたいし、影の小頭で獣人のセフェリノもいる。ケドニア要塞には獣人の里の場所を知るハスミン達がいるはずだ。


イリア王国遠征軍本隊は、リューベック川沿いに帝都ヴェーダ目指して東進していた。

「エミリー、見つけたよ。本隊だ。ほら、あそこ」

「では、殿下に会えるな」

「みんなともね。少し離れていただけなんだけど、なんか懐かしいな」


「オー、無事に戻ったようだな。上手く言ったのかな?」

「はい、何とかなりました。ですが」

「まあまあ、少し休め。エミリー少佐から聞いたぞ。公使達も無事だったそうでないか」

「そうですよ、カトー卿。公使達の事なら大丈夫です。話を聞いてすぐに公使達一行に護衛の兵を出すよう命令しておきました」

「いや、休むなどと。そうゆう訳にもいきません。直ちに会議を開きましょう」

「エミリー少佐が直ぐにと言われるなれば、致し方無い。カトー卿、よろしいですな」

「エ、エー。ハイ」

「では、会議の用意も進めるがざっと流れを説明しくれ」


「そうか、魔核弾頭の爆発があったのか。やはり先の異音は只事ではなかったのだな」

「こんなところまで聞こえたのですね。風向きもあったでしょうが巨大な爆発だったのは間違いないでしょう。帝都が気がかりです」


「殿下、影から報告の有ったように、どうやら魔獣はフルダ渓谷に大軍を上陸させたようです。リューベック川をどうやって渡河したか分かりませんが、かなりの数だと思われます」

「帝都の西、フルダ平原では帝国軍が対陣していますが、先の爆発が気がかりです。もしあれが思った通り魔核弾頭の爆発でしたら帝国軍はかなりの被害を受けるでしょう。いや、悪くすれば壊滅するかもしれません」


「帝都には防御結界の装置かありましたが、何時止まるかわからないような600年前のアレキ文明の物でした。装置は長くはもたないと思います」

「古代の装置だからな。耐用年数は、とうに越えているという事か」

「魔獣がまだ魔核弾頭を持っていれば大変です。公使達からも報告があるでしょうが、帝都は今未曾有の危機にみまわれています」

「カトー卿はあんな兵器が、まだあるかもしれないと思うんだね?」

「確実とは言えませんが、一発目で防御結界が壊れたとは思えません。ですが、2発目も防ぐ事が出来るかは正直言って分かりません」

「そうなのか……」


 帝都の出来事をかいつまんで話すと、影の小頭のセフェリノが里のしきたりと伝説を話してくれた。確かに里の伝説には興味が引かれた。御神像はいったい何を守っているのだろう。殿下の許可は下りているので、要塞にいた影のハスミンに里までの案内をさせるという事になった。事の成り行きを文に書いてもらい要塞に向かう事にした。

「おそらく帝都から救援依頼がすぐにでも届くでしょう。魔獣もワイバーンなどでそれなりに警戒しているでしょう。援軍に気付いた魔獣の群れもやってくるでしょう。戦に備えて下さい」

「もっともだな。気を付けて進もう」

「何、その時はイリア王国軍の力を見せてやりますよ」

「君達も気をつけてな。何しろ一刻も早く対魔獣兵器を見つけ出さねばならんのだからな」

「そうですね。在るか無いかも分かりませんもね。でも頑張らないとね」

「そうだとも。カトー卿、エミリー少佐、頼んだぞ」

 帝都の出来事の詳細な報告は、後から来るだろう公使達に任せておこう。今は魔獣との戦いの切り札になるかも知れない対魔獣兵器の捜索に出かける時だ。

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