第75章
僕らが大学の門を出たところに、ちょうどリムジンも来た。完璧なタイミングで。
「美弥子お嬢様、今日はお疲れのようですな」
「寺島さん、今日はすごい人多かってん……」
「わ、関西弁?四条さん、関西生まれなんですか?へー意外」
「えっ?ふあ、お恥ずかしい……わたし、母が京都でして」
「何も恥ずかしくないですよ。だって友達でしょ?京都弁、可愛いです」
「あ、はい……ふふ。幸ちゃん、ありがとう」
「さあ、外は暑いですから、皆様お乗りください」
「貴ちゃん、リムジンって正直、これも現実なのか疑わしくなるよな……」
「あはは、そうだな」
僕らは地元のバス停前に帰ってきた。半日の旅だったはずなのに、何年も経ってしまったような不思議な気分。
「皆様、ここでよろしいのでしたかな?」
「はい。今日はありがとうございました」
「寺島さん、ごめんなさい。わたしあの、今日はずっと待ってくれてはったん違うか思て……」
「いえいえいえいえ、私にはこのゲーム機がありますからな。しかし今、とても難しいダンジョンに挑戦中でして、もう何度やり直したことか」
「ふふ、それやったら大丈夫。きっと素敵な勇者様がね、助けに来てくれはるんよ」
「おや、美弥子お嬢様……」
「みなさま、今日はいろいろとご迷惑をおかけしました。それと、ありがとうございました。いろいろあったけど、わたし、とっても楽しかったです」
「あ、あの、こちらこそありがとうございました」
「そうですよ。ほんとに、こちらこそ、だよね」
「四条さん、ありがとうな」
「それじゃ、美弥子さん……ってまあ、次はまた明日なんですけど」




