第61章
「……なあ貴ちゃん、今もオンラインのゲームってやってんの?ずっと前からのネトゲ友達と」
「ああ、今は違うゲームを一緒にやってる。まあ同い年だし、お互い受験だから、って週に二回くらいだけど」
「どんな奴だったっけ」
「何かあるとポジティブな言葉を連発してひたすら励ましてくる、なぜか熱い奴。でもどこか女っぽいような気もするんだよな」
「どこかって?」
「んー……いや、何となく」
「もし可愛い女の子で、貴ちゃんが好きです付き合ってください、って言ってきたら?」
「そりゃあ有り有りアリーヴェデルチ。俺の恩人みたいなもんだしな。悠、おまえも二次元的な展開を妄想するレベルまで来たか」
「そんなレベル知らねえよ。しかもアリーヴェデルチって、さよならじゃないのか」
青空。
「……悠ってさあ、なんで四条さんのこと下の名前で呼んでるわけ?なんかやらしい」
「いや、最初のうち何回かは家族で見舞いに来てたから。四条さんって呼んだらみんな四条さんだろ」
「ふーん。そうですか」
「……ふっ、じゃあおまえが俺を名前で呼んでるのはどう説明してくれるわけ?」
「あ、ちが、それは違うじゃん。だって幼馴染だし……その、嫌?」
「おまえは俺に呼ばれるの嫌?」
「え、んん、全然。あっ、て言うか別に」
「じゃあ、俺もそんな感じで」
「……ばか悠」
青空。
「小田原、あのさ、そのことは絶対俺からは言わないから。安心しろよ。ていうか、俺も小田原を応援していいかな」
「えっ?ほ、ほんとに?……嬉しいな」
「まあ、貴ちゃんのことで何かあったら言ってくれ。相談乗るよ」
「うん。ありがとう……えへへ、大田くんも、桐島くんも、ほんとに優しいなあ。私、こんなだめな奴なのに、みんなに助けられて」
「あ、ほら。そういうとこがだめだって、さっき言ったばっかりだろ」
「うあ、ご、ごめん」
青空。




