第55章
僕はリセットの原因を考えた。僕らは話していただけだ。
どうもあの状況では、女子どちらかが勝手に何か緑色に触れたとしか思えない。またやり直しだ。転がっている長髪の血をぼんやり見ながら、僕は溜め息をついた。
おそらく、緑色が見えていない小田原がうっかり触れてしまったんだろう。見ていない以上は推測しかできない。
今度は貴ちゃんと幸、僕と小田原に分かれることにした。全員にかなりきつく注意したが、気の毒な気もした。この三人は、まだ何もしていないのに。
「小田原、ちゃんと俺について来てくれ」
「えっ、あ、はい」
「いや、ごめん。……何て言うか、俺には気を遣わなくていいから」
「はい、あ、ごめん。うん」
幸と一緒じゃない小田原は、どう振舞っていいのかわからないみたいだ。さっきはよくも貴ちゃんと二人きりで模擬授業に行けたもんだ。
「なんか、久し振りだよなー、二人とか」
「小学校……以来、かな?」
「そうかも。小田原さ、あの頃からずっと、好きな人は変わってない?」
「な、う、ごふっ、げほげほ」
「いや、だいぶ変わっちゃったな、って思うんだ。貴ちゃんは。小学校では、学校中のヒーローだったもんな」
「ふう……で、で、でも、大田くんは、大田くんだよっ」
「……最近さ、あいつと話したりした?」
小田原が立ち止まり、俯いてしまった。
いくらリセットで記憶がなくなるからといっても、あまりに配慮なく切り込みすぎたか。僕は内心慌てた。
「桐島くん……私、謝りたいことがあるの。自分の願望を満たすために、桐島くんを利用したことがありました」
「……へ?え、それどういうこと?」
「中三の時、学校で私、幸と一緒にね、桐島くんのところに行って、大田くんがしてるゲームの話をしたこと、覚えてる?」
「いつかな……覚えてるような気もするけど」
「私、何とかして大田くんと関わりたくて、でもデブでブスだし、私なんかじゃ全然釣り合わないし……でも好きで、どうしようもなくて」




