52/77
第52章
僕の恐怖心は急激に膨れ上がった。永遠の中に、僕らは閉じ込められてしまったのか?
みんなのように、何も知らないならまだ幸せかも知れない。しかし、僕だけが覚えている。みんなの記憶は消えてしまった。
気が狂いそうだった。いや既に狂っているのか?しかし、この世界はそういう情動にさえも否定的だ。
心臓は脈も打たない。汗も出ない。疲れもない。温度もない。感覚が欠如した世界は、僕の感情すら遮っていた。
僕は再度、三人に一通りを説明した。途中で嫌になりかけ、不審な顔をされたのでへらへら笑ってごまかそうとした。やはり不自然だった。
「貴ちゃん、ごめん。俺、どうすればいいのかな」
「……話を聞いた限りでは、この世界を終わらせる何かを探す必要があるんだろうな。緑色に触れないようにしながら、世界中を調べていくしかないだろ」
「そうだよな……ごめん」
「悠、繰り返しってのは、ゲームやってて誰かにリセットボタンを押された時の絶望感、みたいなもんか?」
「俺も思ってた。たしかにそんな感じだよ。その千倍くらいリアルだけどな」




