第46章
四人でゆっくり階段を下りていくと、多くの物が目に留まった。さっきは見えていなかったようだ。ハンバーガーの包みやコンビニ袋が隅に大量に捨ててある。
あいつら三人だけかは知らないが、ここで頻繁に何かやっていた連中がいた、ってことだ。僕は嫌な想像をした。ふと横を見ると、貴ちゃんも同じことを考えたようで、顔が怒りに満ちていた。
もう少し行ったところで、その怒りの犠牲者は血まみれで横たわっていた。金髪だ。
やっと外に出る。
世界は窓から見るよりもっと異常だった。空は全体が緑、建物もほとんど緑、道も一部は緑。車はすべて、車道を走っている途中で人だけが消えた、という感じで停まっていた。
僕は路駐ワゴン車の中をドア越しに覗いた。鍵は閉まっている。と思うと音がして、開いた。
驚いて顔を上げると、貴ちゃんが「あいつらにはもう必要ないだろ」とキーを僕の目の前で振ってみせた。僕も少し笑って、女子のバッグを取り出した。
「……なんで誰もいないんだと思う?」
「悠、それだけじゃない。さっきから時間も止まってる」
「え?大田くん、どういうこと?」
「携帯の時刻が十三時三十三分から動いてないんだよ。この例の旧型だけじゃなく、俺が普段使ってるほうまで」
「……ほんとだ、普通に起動してるのに」
「あ、あの、腕時計も止まってるみたい」
「電話、かけてみるか。誰か試してみようぜ」
結局、全員で試してみて誰も繋がらなかった。どのみち百十九番も無理だった。僕はあの三人を救わなかったし、救えなかったのだ。
「とりあえず、大学まで戻ろう。……だめな気もするけど、誰かいるかも」と僕が言って、また歩きだした。緑色をよけながら。




