第24章
四人目が小田原結華。そして、堅苦しい市立図書館。
幸を否定したい項目が既に二つ出てきたが、そのやり方によっては怒らせて頑なにするだけだ。
どうするか。僕が考えを巡らせていると、先に貴ちゃんが口を開いた。
「結華って小田原結華?」
「そうだよ」
「あのオタクでメガネで天パな進撃の巨人?」
「大田くん。なんでそういう言い方なのかな。よく女の子の容姿をそんなふうに言えるよね。ほんっと最低」
「いや、でもあと百キロくらい痩せて相撲から足を洗ったら可愛いかも、とは思うよ。有りだよ有り。アリーヴェデルチ」
「貴ちゃんやめろ。最近見た時は小田原痩せてた気がするしな。頭もめちゃくちゃ良いんだっけ。でもさ幸、俺達みたいなのに優等生の小田原付き合わせるのはまずくない?」
「それ、私はばかだから付き合わせてもいい、ってこと?言っときますけど、結華も私も指定校推薦の予定だし。だいたい、別に邪魔し合うわけじゃないんだから大丈夫だよ。それにさ、教えてあげることで理解が深まるっていうのもあるし、ね」
結局、場所のほうは喋っただけで怒られたりしないよう誰かの家でやろう、ということになったが、小田原結華の参加は覆らなかった。
別に僕は小田原を嫌いじゃないが、大きな体に小さな声、いつもおどおどしていていじめられ、幸に守ってもらっていた小さい頃の印象が強く残っている。
小田原のそんな頼りない姿を貴ちゃんに見せたら、貴ちゃんに亡くなったお姉さんのことをまた思い出させてしまうのではないだろうか、という気がしていた。
貴ちゃんはほとんど顔に出さないが、長い付き合いだけに、そういうのは気づいてしまう。




