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作者: からくり

ビルが建ち並ぶ。


車が沢山走っている。


カツン、カツン、カツン、と音を鳴らしながら歩く歩道橋。


真ん中で立ち止まり後ろを振り返る。


そこには友人の姿。


下校途中のいつもの風景。


そして、いつもと変わらない夕陽。


ビル街を紅く染め上げる。


街はこれから夜になろうとしている。


友人は紅く染まっていくビル街を眺めている。


友人に対して手を伸ばす。


が、その手を引っ込めてしまう。


小さな声で「壊れてしまうから」と言い聞かせながら。


誰に対する言い訳なのか。


友人はただただビル街を眺めている。


夕陽はもうすぐ沈み、月が代わりに街を見守ろうとしている。


友人に対して「もうすぐ暗くなるから帰ろう」と声をかける。


手は引っ込めたまま。


友人はゆっくりと、だがどこか哀しそうにこちらに歩いてくる。


決して振り返るな。


そこには決して理解されない影があるのだから。


ただ、ただ、振り返らないことを願う。






夕陽は街を照らす。


陽として昇り、陽として沈む。


沈むほんの僅かな時、夕陽だけが知っている。


夕陽に照らされ、影が伸びるその先に大きなビルに影が映ることを。


その影が人間の形をしていないことを。


いつも、いつも同じことをしていることを。


夕陽が雲に邪魔をされない時はいつも震える手で隣の人間に触れようとしていることを。


その震える手が決して触れないことを。


果たしてその震える手は、人間の形をしていないソレは、何かを守ろうとしているのだろうか。


人間になのか、それとも


夕陽に考える意思はない。


あるのは昇り、沈むこと。


街を照らすこと。


そして真実を影で映し出すこと。


今日もまた同じ形をした影が、互いに震える手を触れないようにしていた。

ここまでお読みくださいまして、ありがとうございます。


お久しぶりでございます。


連載の方も書こう、書こうと思っているうちに何故か仕上がってしまいました。

何故でしょう?


恐らくしばらくはこのようなサクッと読める短編をいくつか投稿すると思います。

気が向いた時に、お暇な時にお読みください。


それではまたどこかで。

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