7話、同じ轍は踏みたくない
早朝。
俺は扉のしまったギルドの前でずっと立っていた。
先に人が来ている勝手の分からない場所へ行くのはとても緊張するけど、自分が先に来ていれば緊張も多少は楽になる。
やがて、ギルドに灯りがともり扉の鍵が開く音がした。
少し間を開けてから、ギルドの中へ入る。
まず受付、道具屋、武器屋があるのを確認する。それと酒場か。
「おはようございます。何の御用でしょうか?」
「あの、すいません、あまり詳しくないんですけど」
「はい?」
「僕はその、依頼とか受けたいんですけど、初めてで・・・」
「ギルドの利用は初めてなんですね?」
「そうです」
「そうでしたら、冒険者の登録をしてもらいます。こちらの書類にサインしてください」
と書類に載ってあるいくつかの項目を書かされた。
職業とか聞かれて剣士と書いておいた。嘘書いてもばれないよな?
登録って言っても依頼受けたとき区別するときとかそんなもんだよな。
「登録ありがとうございます。リュウさんは初心者なのでEランク冒険者となります。
冒険者にはいくつかのランク分けがされていて、最低でE、最高でSランクまであります。
依頼の難易度やこなした数、ギルドへの貢献など実績を積むことでランクは上がっていきます。
上位ランカーにしか通達されない依頼などもあるのでご了承ください」
「あの、依頼というのはどこで分かるんですか?」
「そちらの掲示板に貼り出されることになっています。時間がきたら依頼を持って、こちらの受付のほうまでお越しください」
「分かりました。ありがとうございます」
俺はその後、武器屋で鉄製の剣と鎧を買い、依頼が貼り出されるのを酒場のエリアの椅子に座って待つことにした。
あの都市でのようにならなくて良かった・・・。とりあずギルドの勝手が分かって助かった。
不安症の俺には、やっぱり何事も最初に来て待っているほうがよさそうだな。